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【Das Resultat sagt alles ~vierzehn~】


長編第14話です~。フェイト視点。
……いつもよりちょっと長いのでご注意を。





=======

何が嘘で、何が本当なのか。
今の私には――……もう、それすらも分からない。

私はどうすればいい?
私は何を信じればいい?

もう、分からない。


でも、これだけは言える。
胸を張って、真っ直ぐに。


君は――……絶対に、私が守るよ。

だから、お願い。


私の名前を、呼んでください。


-----【vierzehn ~(Kafig)~】-------


肌を撫で付ける風は硝煙と血の臭いが混じり合い、いつもより重々しく感じられた。

眼前に黒く大きな煙が立ち込めて。悲鳴と、魔力光の軌跡により
以前あんなにも青く澄んでいた空が、今は絶望と焦燥に彩られてるような気がする。

今日で、戦場となった城下へ出てから――……2日経つ。


戦況は未だあまりいいものではないと感じていた。ゆっくりと足を進める。

あんなにも賑わいを見せていた街並みは今は見る影も無く、
瓦礫と土煙、そして大きく立ち上る炎の柱がその姿を露にしている。

思わず目を瞑りたくなる現状。ぐっと溢れ出そうな涙を堪え空を仰ぐ。
……先を覆うように、そこは未だ曇天が広がっていた。

ピピッ。

ふと軽い音が鳴り響く。
――……どうやら誰かから回線の接続要請が入ったらしい。
周りに敵がいないことを確認し、なるべく影に隠れ回線を開く。

ぶわっとモニターに連絡先の隊のマークが浮かんだ後、
やや疲れ気味とも感じられる男性指揮官の姿が現れた。

『そちらの状況は…?』
『……あまり思わしくない。敵軍の挟撃により……西部はほぼ陥落だ』

その言葉に、思わず唇を強くかみ締める。

『街の人たちは平気なんですか? 救出は?』
『そちらは私の部隊の1つが先行している。君の隊はこのまま前線へ行き給え』
『……ありがとうございます、どうかお願いします』

一人も、死なせないでくれ。紡がれたその言葉に深く頷く。
もちろん分かっている。……失っていい命など、どこにもないのだから。

『任せたぞ』
『了解』

手短に思念通話を切り上げ、そのまま最大スピードで空へと翔け上がる。
相変わらずの空の先には混じり合う魔力光が渦を巻いて飛び交っている。

……南部へ行くにつれ、益々その戦況は酷くなっていた。

高空飛行から徐々に高度を下げ、低空飛行へと変えていく。
先日まで空に浮かんでいた太陽は雲の陰に身を隠し、その姿を見せない。

ああ、雨が降りそうだ、と。
――……そう、思った。

「フェイト隊長!前方、味方部隊が現在交戦中です!」
「加勢しよう!…私が遊撃するから怪我をした人達を城内へ連れていって!」

「ぬうああああああああぁ!」

言葉を告げると同時に、それをかき消すような慟哭が響き渡った。
大気を切断するような轟音がし、膨大な剣圧を纏う衝撃波が空を駆け巡る。

無理やりその軌道に割り込み、寸前のところでシールドを展開する。
それにより目標へ向かうことを阻まれた魔力は拡散し、
被弾した地面を大きく陥没させ、その姿を消した。

「フェイト部隊長!」
「……私の隊も加勢します。状況は?」
「敵国魔道騎士と思われます。数、残り約70っ」

立ち煙るその先には、視界の先の空を埋め尽くすほどの騎士の姿があった。
感じられる魔力が異常なまでの雰囲気をかもしだしている。

全員が……明らかにAランク以上。戦場なのだから、それはおかしくない。
だけど……どうして重要拠点でもないここに……こんな人数が?

前線が薄くなるのを承知で配置されているのだろうか?
……それとも、まだ他にも魔力値の高い騎士はいるというのだろうか?

……まさか。そんな。

浴びせられるような光弾を弾きながら、大きく旋回をして。
射程内の、出来る限りギリギリまで引き寄せ、私も光弾を打ち込んでいく。

瞬間――……がつん、と軽い音がした。

光弾が直撃し大きくひしゃげた右腕からは、無数のコードが覗き込んでいる。


「まさか……ここにいる全員が…戦闘、機人……?」


……どうして。製造には高度な技術が要するはずだ。

当国だって、まだ試験運用の段階にも全然満たない……
……それなのに一体……小国の彼らの、どこにそんな技術が?

愕然とする私をよそに、なおもこちらへ向かってくる彼ら。

「プラズマランサー」

シールドを展開しながら身を捻り、なるべく最小の動きを取って。

「ファイア!!」

なるべく距離を取って、再度打ち込んでいく。
――……立ち上る煙と、墜ちていくその身体。

だめだ……通用するけど、魔力ダメージだけで倒すのは、少々力が掛かりすぎる。
それに、1人1人はそんなに強敵ではないけれど、この調子で相手をしていては、
目的の配置に着く前に魔力切れの心配が大いに懸念される。

……こんなところで足止めをされている場合ではない。
――……なら、どうすればいいか。

更なる加勢を待っていては、遅すぎる。

「ファイア!」

私を中心に宙で舞っていた光弾が瞬く間に増大し、絶大な流光が空を翔る。

真っ直ぐに向かったそれがびりびりと音を立て、行く手を阻む騎士を呑み込む。
その身体に当たると同時に火花が散り、彼らが力なく墜ちていった。

目の前を覆うもやが消え、徐々に視界がクリアになる。
すっかり晴れた頃には、その数はやっと両手で数え切れる程になっていた。

『フェイト隊長、こちらは全て撃退しました』
『こちらは交戦中、Aランク魔道騎士……約残り10』

「ぬう、ああああっ!」
「――……っ、くっ」

向かい来る光弾を薙ぐ。……数が、多すぎる。
交戦している他の子達のその身体は、徐々に赤く染まりつつあった。
……もう魔力切れを起こしている子も多数見受けられる。

排出された空の薬莢が吸い込まれるように地面へ落ちていく。


ばらばらと、音を立てて。

それを横目に、なるべく敵を私の方へと引き付けるように機動し、打ち落としていく。
――……瞬間ふと、睨むように敵を見据えていた眼前が、暗く染まった。

叩き付けられるような豪雨が身体に降り注ぐ。

「……これはついてる、のかな?」

『皆、ちょっと離れて下さい』
『了解!』

視界に味方の騎士がいなくなったことを確認して。

「ファイア!」

もう一度。今度は大きく切り立った崖へ光弾を撃ち込む。
被弾したそこが大きく抉られ、重みに耐え切れなくなった岩石と土砂が崩れ、
その傍にいた魔道騎士を飲み込んでいく。

足止めされ身動きが取れないことを見計らい、残してあったカートリッジを装填する。
それにより更に大きく輝きを増す魔力光に身を包まれながら陣を展開した。

雨。……つまりは、水。


そして。私に帯びるその魔力は――……

「サンダ―……!」

雷光だ。

「フォ―ルッ!!」

目の眩む様な閃光の後、ビリビリと轟音が辺りを包み込む。
水の力を借り通電をしやすくなった敵の体内へ、いつもより早くその雷が駆け抜けていく。

閃光が消え、立ち上る煙の後には――……何もない空。
視線を下げると力なく墜ちていく魔道騎士の姿を捉えることが出来た。

『……任務、完了。撃墜した騎士の捕縛、お願いします』
『了解しました』

ため息を、一つ吐く。
――……少しばかり魔力を使いすぎたかもしれない。

ずきずきと頭が痛んだ。
ああ――……でも、行かなきゃ。

俯けていた顔を上げると、またぞくりとあの気配を感じて。
振り返ると、そこには――……

「……さすが、ですね。あの数を撃墜されるとは思いませんでした」
「――……っ、あの時の……!」

先日の任務先で見た、女性の姿があった。
あの時と同じように頬に笑みを浮かべ、楽しそうに声を出す。

「……フェイト隊長?」
「ここは私に任せて――……皆は先に行って」
「でも……っ!」

「お願いだから。もう……誰も……死なせないで」

真っ直ぐに、向かい合う女性に視線を外さないまま、そう告げる。

「……了解しました」

背後にあった気配が無くなり、辺りがしん、とした静寂に包み込まれた。
ただ、雨の降る音と、自身の呼吸だけが耳に聞こえてくる。

「くすくす……フェイトお嬢様。一体いつまで、そうしているつもりですか?」
「――……意味が分からないな。」

その言葉に、また笑う声が大きくなる。瞬間、また頭がずきずきと痛み出した。
脈を打つその痛みが全身を駆け抜けて。

彼女の視線に、まるで心臓をそのまま握りつぶされるような圧迫感さえ感じる。

「……そんなにそちらは居心地がいいんですか?」
「……だから、何を言ってるの、あなたは。」

――……苦しい。
胃がねじ切れそうに、痛い。

がちがちと震える右手を左手で支え、バルディッシュを構えた。
刃を喉元に突きつけられたにも関わらず、その女性は身じろぎ一つせず笑っている。

「……待ってますよ? プレシア様が」
「――……っ、その名前を呼ぶなっ!」

[フェイト]

――……あの声が、また聞こえ出す。

痛い。痛い。

「……あ、あぐ……っ、っ、思い、出す、なっ!」

痛い、痛い、痛いよ。


「だめ、だっ。止めて……、お願い、だ…思い、出すな」

[カエリタイ]

――……幼い女の子の声。

「ふふふ……。もう。プレシアさまも強く封印をしすぎなんですよね」
「思い、出す…な!」


[カアサン]


「ぐ、ああ……っ、思い出すなっ、思い出すなっ!!」

痛む胸を押さえ、頭を振って声を消そうと、いくらもがいても。
――……芯から響くその声は、まるで嘆きの様に脳へと訴えてくる。

「フェイトお嬢様。我慢は毒、ですよ?」

胸元にあるペンダントが、熱を持つ。なのはとおそろいの物ではなく、もう一つの。
……拾われた時に私が握り締めていた、あの古いコインの着いたペンダント。

そこに触れている肌が、焼けるように熱い。


「違う、違う、違う!! 私は、わたしは……私、が!」

頭の中で色んな声が響き渡る。
わたしの声だ。あの人の声だ。私の声だ。

痛い。――……痛い。


「……、っ、ふっ……ぐ」

助けて。持って行かれる。

誰か。――……誰かっ!!

ずきずきと痛む頭。視界の端の女性の顔がぐにゃりと歪む。
薄れていく意識。真っ白に、染まっていく。

も、う……、


[フェイトちゃん]


諦めかけた脳裏に、ふと……声が聞こえた気がした。

「……なの、……」
[フェイトちゃん]

温かい、あの声が。優しい温度が。


「……なのは」

愛おしい、笑顔が。


「まさか――……無理やり、押さえ込んだ? 」

――……先ほどの痛みが、嘘のように引いていく。

乱れた呼吸を落ち着かせるように息を吐くと、面白いものを見るかのように
長い髪を振り乱し笑っていた女性が、まるで能面のように無表情になった。

「……大分強固な意志をお持ちで。だからいつまで経っても解けないんですね」
「……あなたは誰なの? ……なぜ私の名前を知っているの」

やれやれ、と頭に手を置き少しだけ歪められたその顔。
ややあって、また楽しそうな笑いを貼り付け、こちらにそれが向けられた。

「フェイトお嬢様。私はアナタの味方ですよ?」
「嘘を、言わないで欲しいな」

向けたバルディッシュを、振り下ろす。その刹那閃光が弾けた。
……次の瞬間に見えたのは、彼女の右手から見える長い爪状の武器。

宙に描かれていた金色の光の軌跡は中程で途切れ、ゆっくりと姿を消した。

「――……っ!」
「もう、せっかちなんですね」

その爪先が、ひたりと私の首筋に触れる。
少ししてびりっと鋭い痛みを感じ、それに伴うようにぬるりと体温が流れ出す感触。

「味方という証拠に、少しばかりプレゼントを差し上げます」

くすくす、とまた笑い声が聞こえて。

「私達は、願いを叶えたいんですよ」
「……ねが、い?」

「そうです、願いです」

だから、と。

「だから、石とその鍵が欲しいんです」
「……いしと、……かぎ?」


――……何を言っているのか、分からない。
でも、その言葉にまた頭がガンガンと痛んだ。

「そして。その為に、あなたがいるんですよ ……フェイトお嬢様?」

がんがん、と焼きつくように、激しく。

「……何を、言っている? あなたは何を知っているんだ!!」

またお会いしましょう、笑いながら去っていくその背中。
追いかけることも出来なくて。……ただ、それを見つめるしか出来なくて。

降りしきる雨が、私の身体に染み付いた硝煙を消していく。
――……でも、この胸の痛みまでは消してはくれなかった。

***

その夜、一時帰還の令が出た私の隊は城内へと戻った。

皆無事とは行かなかった。大きな怪我をした子は沢山いて
救護室のベッドはすぐにその数を満たされた。

つん、と鼻につく消毒液の匂いと。首に焼け付くような痛みと。
それよりも、もっともっと痛む胸。

――……あの女性の言葉が、離れない。

手当てを受けながら、備え付けの小さな窓から空を望んだ。
曇天で、未だ大雨。……そして、そのことを歓喜するように鳴り響く雷。

手当てを終え、報告へ向かう。

「……敵軍と思われる一人が、石と鍵を欲している、そう言っていました」

あの女性のことは極力押さえ、報告をそう締め括る。

すると、私の最後のその言葉に、総指揮官長の目が見開かれて。
それは本当か? と確認をされ、それに首を縦に振ると急いで緊急回線が開かれた。

「……指揮官より上の者には全員収集要請を。……私は国王をお呼びしてくる。
 ハラオウン部隊長――……君は残り給え。情報の提供者として同席して貰おう」


重苦しい中で始まった会議。そこで聞かされた内容に、愕然とした。
――……ただ、胸が詰まって――……苦しかった。


嫌だ、嘘だ。

ぐるぐると痛みが渦を巻く。――……叫んでしまいたかった。

それをなんとか留めるように、ぎゅっと唇の端をかみ締める。
じんわりと口内に鈍い鉄の味が広がって。

そのことに、それが現実なんだと言われたような気がした。

「……なのは」


あの女性が、言ってること。
ただ単に言葉遊びだと思っていた。

――……でも、そうじゃなかった。

「……どうして、君がっ」

あの愛くるしい、人懐っこい笑顔が思い浮かばれる。

ああ――……君は今までどんな思いで笑っていたんだろう?
どれほどの痛みを抱え、笑顔を作って笑って来たんだろう?

末の姫にも関わらず、なのはの警護が他の方よりも厳しかったその理由が。
どうしてなのはが自由に外に出れなかったのか、その理由が。

なのはがこの籠から出られなかった、その理由が。

「……どう、してっ」

全て、あの女性の言葉に含まれていた。


なのはにとっては、ここは籠なんかではなく。



――……強固に出来た、檻だったんだ。
-----------------
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非公開コメント

No title

うおっほおううううううう!!!(何の雄叫びだよ

フェイト格好いいよフェイトwww
都築がどうなっていくのか楽しみで仕方ありません。
最後に二人が幸せになってくれればいいですねぇ(*´∀`)
都築楽しみにまっとります!!

No title

おつです。
納品終わったんで2.5週間ぶりに帰って来ました。
なんかもうしにたいくなってきた・・・・・( ゚Д゚)
あたいの家にいねえぇぇぇえ・・・・・・・・・・・・・・

Das Resultat ~。どんどん進んでますね~
いつのまにかなのはさんとフェイトさんの想いがつながっていたり~
はやてさんかっこええし・・・・

はやてっ!!!最高だっはやてっ!!!!



・・・・・・・・・・・・テンションおかしいんでとりあえずねます。。。。。。

No title

>アクエリアスさん

ほああああ! ありがとうございますっ!
次回よりかっこいい(?)フェイトさんのターンが続きます!…た、多分;
最後は、2人とも幸せになってくれるように書いていきたいと思います(><)

ありがとうございます!続きもまったりですが頑張ります~!



>あかいひとさん

おお!お久しぶりです!
そして本当にお疲れさまです (つ□T)<しなないで~…)
汐薙も最近はベッドで寝てないですね…ソファーで寝オチ… orz

長編はちまちまと進んでますw
はやてさんはかっこよく!をテーマにっ!!

……もう、本当、あまりご無理をなさらないようにゆっくり休んでくださいね?

WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
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