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【Das Resultat sagt alles ~elf~】


第3部開始です。

第11話。はやて視点です~。

==========

無数に煌めく満天の星の中、彼女は泣いていた。
膝に顔を埋め、うずくまり……目の前の柵を堅く握り締めて。

「ごめんね、なんでもないの」

心配掛けてごめんね。そう力なく微笑む彼女は、
まるで今にも空に溶け込んでしまうかのように儚くて。
空いた片方の手で、ぎゅっと胸元のペンダントを握り込んでいた。

「……風邪、引いたらあかんから。……中、入ろ?」

そっとその肩を抱き寄せる。
……細い肩は外気に晒されひんやりと冷え込んでいた。

「……うん」

その冷たさに、胸がぎゅうっと痛む。

耐えるように瞼をきつく閉じると……先ほどの光景が浮かび上がった。
……違う、きっと。もう焼きついてしまったんだ、私の脳裏に。

精一杯手を伸ばそうとするフェイトちゃんと、
それを掴もうとするなのはちゃんと。

まるでそれを禁忌と言わんばかりに引き裂く、鐘の音。

「部屋、戻ろか。……何か温かいもの、飲も?」
「……うん」


――……カミサマ。

どうしてあなたは、2人を隔とうとばかりするのですか。
一体、2人があなたに何をしたというのですか。

「……はやてちゃん……」
「うん?どうしたん、なのはちゃん」


そんなにも、自分に素直に生きることは罪なのですか。


なら、なぜそんな感情を与えたのですか。
なら、なぜこんな感情を与えるのですか。

「……いつも心配ばっかりかけちゃって、ごめんね……」
「なのはちゃんは何も悪くないんよ。だから謝らんといて?」


2人の想いを、禁忌だと好きなだけ叫べばいい。
それでも私は、あなたには従わない。

私だけじゃない。……きっと彼女らも。


「……うん、ありがとう……」

私は――……泣き顔じゃなく、笑顔が見たい。

大好きな彼女と、彼女の想い人で親友のあの子と。
そして、真っ赤な顔の2人を茶化す私。
それを窘める様に引きとめようとする守護騎士の子ら。

笑いあって、温かい太陽の下で伸び伸びと街へ遊びに行く。


「……今日は、星が綺麗やね」
「うん、そう…だね」

そんな、笑顔と幸せに満ち溢れた未来が見たい。



そう。私が従うのは、先にも後にもただ一人。

「私」にだけだ。



だから、カミサマとやら。

あなたがどんな未来を突きつけてこようと。
あの2人が願う限り。私の力が届く限り。

――……絶対に、邪魔なんて。

「また、皆で星……見に行こか。実はベストスポットがあるんよ」



させてやるものか。


-----【elf ~(Betrieb)~】-------

あの夜の翌日。前までは曇り続きだったが、
今日は珍しく陽もよく、透き通るような青が目に眩しかった。
まるで、絵に描いたような晴天。

開け放たれた窓からは心地よい風が吹く。着晒しのシャツ越しに感じる
その温度は、今が夏の一歩前だということをすっかり忘れさせる位で。
大きくぱたぱたと揺れるカーテンの隙間からは綺麗な空が覗き見える。

無限に続く空の彼方、大きな太陽がその存在を際立たせて。
すぐ眼下にはいつもと変わらない街並み。

行きかう人々。楽しげな声。
……更にその向こうには、深い深い新緑の草原が広がっていた。

風に薙ぎ、流れる雲の影を映しこみ、踊るように大きく波を打って。
さわさわと、こちらにまでその音が聞こえてくるかのようだった。

ふと、目を閉じ耳を澄ます。
すると、聞こえないはずのその音が聞こえてくる気がした。

さわさわと。肌を撫でる風。
木の匂い。草の匂い。お日様の匂い。

『はやてちゃん』

――……優しい、声。
まだ幼かったあの日。懐かしい、あの日の昼下がり。
こっそり城を抜け出して、草原で追いかけっこした。

内緒だよ、そう笑って。
雲ひとつ無い空に浮かんだ彼女。私は、その背中を追って飛んだ。
桜色の魔力光は、まるで桜の花のようだと思った。

青い空に映えて、とても綺麗だった。


「……やっぱり、笑顔の方がええよ。」

ため息をついて、テーブルに置いてあったカップを右手で遊ぶ。
持ち手に指をかけそのままひと口に含むと、中のそれはすっかり冷めていた。
酸味が一層引き立ったそれが、思い出に浸りぼんやりした脳を覚醒させていく。

かたり、と。カップを机に戻す。すると視界の端に一枚の用紙が映りこんだ。
上の方に大きく赤い文字で「至急」と書きなぐられているそれを見て。
また、ため息を一つ。

「……なんで、無くならんのかな。」

一通り目を通したそれにまた目を通していく。
分かりやすく明快だったけれど、書かれていた内容を認めたくなくて。
一文読んでは目を閉じ、という行為を何度も繰り返し……今に至る。

「戦争なんて……大嫌いや」


先日、密偵として放たれていたある部隊が持ち込んだ、情報。
偵察先は、3年前に私が任務で行った、東の国だった。


『……近々、当国を巻き込んだ大戦禍が起こる可能性が拭いきれない』

上が重い腰を上げたのは、あれから3年も経った今になってのことだった。
あれほど何度も言ったのに。今更かと思わざるを得ない。

戦争の始まりなんて、きっとほんの些細なことでしかないのだろう。
地位、名誉、金、色欲。人間の欲望など無限に尽きないのだということを
嫌と言うほどに思い知らされる。……なんて、悲しいんだろう。

「……何かあってからなんて、遅いんよ」

そう、思っても軍に居る以上、やるしかない。
その中で私は守るのだ。私の世界を。

大好きな人たちの笑顔を。
これ以上悲しみの連鎖を増やしてはいけない。

……だから、戦うしかないのだ。
でも、それはまた悲しみを生むことになるのではないだろうか?

――……そんな思いが、ぐるぐる廻る。

苛立ちをぶつける様に、指揮を希望する部隊の名に丸をつけ
書きなぐるように「Hayate.Yagami」とサインを書き込んでいく。
そのまま端に捺印をし、くるくると丸めて紐で結んだ。

「届けて来ましょうか?」
「……いや、ええよ。すぐそこやし……寄りたい所もあるから」

ありがとう、そう言って席を立って。シャツの上にジャケットを羽織る。
しゃら……と、肩の勲章がぶつかり合い鈍い音を立てる。

私は、――……この音が、嫌いだった。


***


書類は提出し終わった。今日はコレといった任務も無い。
窓一つ無い重苦しい廊下。敷かれた絨毯の赤がやけに目に痛い。
そこから逃げるように視線を煽ぐ。

そこには空は見えず、ただ白く高い天井。

とてつもない閉塞感と。身をつぶすような圧迫感。
――……あまり居ない私でも、ここは苦しい。

「……失礼します」

ぼんやりとそんなことを考え込んだ意識が、その声に引き戻された。

「フェイトちゃん」

目の前には、防護服を纏ったフェイトちゃんの姿。

「これから任務へ行って参ります。本日中には戻れると思いますので
 ――……どうかその間、私に代わり姫様の護衛の方、宜しくお願いします」
「……ん、そか。頑張って……な」

あれ以来、フェイトちゃんも笑わなくなった。
見てるこちらが痛くなるくらいに……”冷たいふり”をしている彼女。

「……素直になりや、フェイトちゃん」

去っていく背中に声を掛ける。その返事は、なかった。
……声は届かなかったのだろうか。

追いかけてなのはちゃんの所へ連れて行きたい気持ちをぐっと抑える。
そのまま、私はなのはちゃんの部屋へと向かった。

ドアを開けた先には、彼女の姿。
少しだけ開け放たれた窓から見える空は、私の部屋から見えた
それより小さく、そして狭かった。……ぎ、と大きな音を立て窓を大きく開く。
それでも、格子が邪魔をしてあの綺麗な新緑の草原を望むことは出来なかった。

「どうして普通の家の子に生まれなかったのかな……」

見上げた視界の先には幾重もの光の筋で染められた空。
中でも金色の光は群を抜いて輝いていた。

……その光を捉えながらぽつり、と。
……少しだけ冷えた格子を掴み、なのはちゃんが呟く。

「なのはちゃん……」

諦めたような、声だと思った。
細い細い、今にも途切れそうな旋律。


「ただフェイトちゃんの傍に居たいだけなのに。……それも叶わない」

――……逃げようと思えば、きっと出来た。
彼女が幼い頃、一度だけ一緒に空を飛んだことがあった。

空を飛んだ彼女は、凄く楽しそうだった。きっと、誰よりも高く飛べる人だ。
空に映える魔力光と。それが映りこんだ空が、誰よりも似合う人だ。

誰よりも、誰よりも。

だけど。

彼女は、それを選べなかった。否。
選ばなかった。

彼女を想ってくれる、全ての人の為に。
期待を背負って、地にいることを選んだ。


それがどれほど彼女にとって辛いことか、なんて。
きっと私の想像では補うことが出来ないはずだ。

それでも彼女は、笑っていた。

『本当は……飛びたいんだけど、ね』

悲しそうに、笑っていた。

あの時の笑顔と、今、目の前にある笑顔が重なる。
また。胸が――……ぎゅっと、締め付けられた。

彼女が、彼女らが。今でもどれだけ想い合っているか、なんて。
そんなのは、傍に居た私が一番よく知ってるから。

「……叶わないのかな。諦めなきゃ…いけないのかな……」

にゃはは、と困ったように笑うなのはちゃんの笑顔が。
――……まるで、泣いているみたいだった。


押さえ込むことを強要され続けて。自身を守る為に摩耗した心。
昔より、ずっとずっと「大人」になってしまった感情。

「諦めたく、ないの」

それでも、とても凛とした……強い、声だった。

「私のわがままなのかな…?フェイトちゃん、本当に嫌いになっちゃたのかな…」


籠を壊そうとしている、綺麗な鳥。
空を求めて、羽根を伸ばそうとするのなら。

――……飛ばせて、あげたい。だから。


「そんな訳ない。

 ……もし仮に、誰かに否定されたとしたとしても。私が全て肯定したる」


軋む心を抑えて、手を伸ばす。

「大好きな親友、やから」

落ちかけた陽の光を浴びて。色を濃くしたその亜麻色の髪に触れる。
細く艶やかな髪をゆっくりと梳いて、流していく。

――……痛いの、痛いの、飛んでいけ。


「だから、なのはちゃんのしたいようにしたらええ」

そのままぎゅうっと抱き締める。柔らかい体温と、甘い匂い。
もう、はやてちゃんからからないでよ~!と頬を膨らませたその様子に笑いながら
心の中に、もう一人。本当の気持ちを押さえ込んだままの親友の姿を思い出す。

フェイトちゃん。手を伸ばせば、この子はこんなにも近くにおるんよ?


心の中のフェイトちゃんは、まだ悲しそうな表情のままだった。
その事に、なぜだか嫌な予感が渦を巻いて圧し掛かってくる。

違う、気のせいだ。
そう思って、ふるふると頭を左右に振る。


それでも、なぜか。
その嫌な予感を拭い去ることは、出来なかった。


そんな私をあざ笑うかのように。

――……どこか遠くで、また。





あの鐘の音が大きく響いた気がした。
-------------

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初めまして

初めまして。sohassといいます。いつも楽しくSSを拝見させていただいております!!
もう、なんていうか…汐薙様大好きです!!!
素敵なSSばっかりで、sohass萌え死にしそうです!!(むしろ萌え死んで本望なんですが…)
いつもは読んでるだけなのですが、今日は勇気を振り絞ってコメントしてみました(汗)
第三部始まったということで、もの凄くテンションがあがったのでvvv
これからも応援してます!!

それと、よろしければ、私のサイトにリンクを貼らせていただいても構わないでしょうか?
ずうずうしいお願い申し訳ありません!!

初めましてw

>sohassさん

初めまして。
嬉しいお言葉、本当にありがとうございますっ!

いえ、そんな勇気を振り絞るだなんて; もったいないお言葉です。
このような辺境サイト如き、すかーんとものっそい軽い気持ちで大丈夫ですよっ(><)
でも、コメント、本当に凄く嬉しいですw ありがとうございますww

そして応援、本当にありがとうございます~。
きちんと最後まで完結できるよう、頑張ってきたいと思います(本当に)

えとですね実は汐薙、sohassさんのサイト、ちょくちょく拝見させて頂いてましたw

『君を守る空』 はもちろんのこと、個人的には『高町なのはな日常』 が大好きです。
フェイト→なのは←はやてな関係で、もう。フェイトとはやてが微笑ましくてww
もう思わず、2人とも頑張れ!と応援してしまいたくなりますww
なのはさんがとにかく鈍感すぎるのがツボですww

はっ ∑(@□@) こ、こんなところで長々とすみません;

こちらこそ、このようなブログで宜しければ是非宜しくお願い致します~(><)ノ
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
一報を頂けると管理人が喜びますw

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