スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【Das Resultat sagt alles ~zehn~】


今日は風がもの凄い強かったですね~。
朝起きて一番に思ったことは「うあ~仕事行きたくねぇ…」でした。

はい。ダメ社会人ですね。…しかしこれが春一番、なんでしょうか。
これから温かくなると良いなぁ…。……と、前置きはここまでにしておいて;

長編第10話です~。フェイト視点。

これにて第2部完となります。
では、続きからどうぞ↓




==========

思い切り手を突き出して、高い高い空を仰いで。
決して手が届かないような、遥か高みにある鳥籠を壊そう。

必要なのは、道具と力。
そして、その高みへと向かう為の翼。

目標はこんなにもはっきりと形作られているのに。


どんなに足掻いても手を伸ばしても。
その高みに届く翼が――……手に入らない気がしてならない。

ねぇ。


今の私は、その鳥籠をもう、壊すことが出来る?

壊した先で。中に閉じ込められていた君をこの腕に抱き締めることが出来る?
君の隣で。私の隣で。温かい体温を分け合って。笑いあって、抱き締め合える?


……何度目を瞑って、その光景を思い描こうとしても。

籠には手が届かずに、ただ谷底に落ちていくしかない私の姿と。
……その姿を呆然と眺める君の姿しか、思い描くことが出来ないんだ。

ねぇ……、いるかいないか分からない『カミサマ』


私は。一体、あとどれだけ努力をすれば
――……大事なあの子を傷つけずに、その籠を壊すことが出来ますか?


-----【zehn ~(Sturm)~】-------

しん、と静まり返った部屋の中、荷物を片付けていく。
……持ち物は少ないほうがいい。

使っていたカップと、毛布と。……首に掛けているネックレス。

これだけでいい。


元々物が少なかったせいか、20分程度で部屋は綺麗に片付いた。
しん、と静まり返った部屋の中にゆっくりと視線を這わせる。

3年間暮らしてきた部屋。
……なのはとの思い出が詰まった、場所。

淋しくない、といえば嘘になる。……だけど。
ぎゅうっと痛んだ胸を押さえつけ、大きくそのドアを開け放つ。

――……向かう場所は、新部隊の女性隊舎。
私ははやての隊を抜け、リンディ母さんが直轄している隊の一つに移った。

一心不乱に厳しい訓練に望み、それこそ任務にも進んで出るようになった。
朝が始まって……夜になる。シャワーを浴びて、泥のように眠り、朝が来る。


何度も何度もそれを繰り返して。


気づけば……2年という月日が経っていた。

駆け出しだった私も、今では部隊長という立場にもなり、それなりに
大きな任務も任せられるようになった。お城にも自由に入れるようになった。

その間にも、なのはには会わなかった。
……いや、会えなかったという方が正しいのかも知れない。

会えばきっと。……何も知らない君を。……なのはを、泣かせてしまうから。
君のその存在を……この腕の中に、求めてしまうから。

「……なのに」

緩々と廊下を進みながら、今朝指揮官から告げられた言葉を頭の片隅で反芻させる。
……総指揮官より私宛に、命令があるらしい、との事。

向かった先で告げられたその内容は、――……無期限の護衛任務。


そして、その相手は……


「……ふぇ、と……ちゃ…?」

ドアを開けたその先には。深い深い、蒼が――……あった。

記憶の中にあるよりもずっとずっと、大人びて。
可愛い、というよりは綺麗、という言葉が似合うようになったその表情と。
私よりも頭一つ分だけ低いその背と。艶やかな、亜麻色の髪。

「……フェイトちゃ…っ!」

会いたかった。会いたくて、壊れそうだった。
何度も何度も夢に見た。

君のぬくもりだって。言葉だって。

今でも、私の体は焼け付いたように覚えている。

でも。

――……ああ……ほら。
君がそうやって差し出してくれた手を――……

「遅ればせながら……お会いできて光栄です」

君が向けてくれた、温かな微笑を。

「初めてお目にかかります、姫様。フェイト・T・ハラオウン。
 本日より姫様付きの近衛兵となりました……どうか、宜しくお願い致します。」


今の私は……まだ。きっと受け取っては、いけない。

「……ど、して…っ!」


――……そうして……この想いが。
守りたいはずだった君を、傷つける。


***

ただ――……その顔が、見たいと思った。
ああ、何を言ってるんだろう。もう毎日君の傍にいるのに。

それでも会いたかった。


自分から壁を作っているのに。
それがなのはとの距離を遠ざけてしまうんじゃないか、なんて。

矛盾もいいところだ。


……でも、どうしたらいいかわからないんだ。
抱き締めたいのに。怖くて手が伸ばせない。

その部屋のドアノブに手を掛けたまま、私は動けずに居た。
あんなにも冷たかったノブは私の体温を奪い、今は温かい。

震える手に、力が入らない。

かちかちと震える右手を左手で支え、深呼吸をする。
夜更けの妙に冷えた空気が、熱を持った私の頭の中さえ冷やしていく気がした。

――……鍵ははやてが持っているじゃないか。
今、力を込めても……開くはずがない。

だから、そんなに不安がらないくてもいい。
試すだけだと思えばいい。

ため息を吐き出しぐっと力を入れて、ノブを回す。
すると、そんな想いとは裏腹に大きくドアが開いてしまった。

眼前に広がっていく――……深い、闇。


その中に――……君の姿が、あった。

寝ていることを確認し、そっと起こさないように近づく。
すると……その目元には涙が浮かんでいた。

寝付くまで泣いていたんだろうか?
頬が少しだけ腫れ、赤い。

ふと、あの時の彼女の泣き顔が思い浮かばれる。
――……ああ……きっと。また、私のせいだ。


「……ごめんね。……ごめん」

大切にしたいのに。本当に本当に大事なのに。
曖昧な想いは、きっと傷つけることしか出来ない。

抱き締めたいのに。
――……抱き締められない。

こんなにもすぐ近くにいるのに。手を伸ばせば届くのに。
現実を知れば知るほど……遠い気がしてならなくなるのはなぜなんだろう?

「……傍にいるよ。」

それでも私は傍に居るよ。


もし……このまま、望む結果が得られなくても。


ずっとずっと……

「……そばにいるよ。……どんな形でも、ずっと」

……ああ――……そんなの、嘘だ。
なのはの手を取り合って、笑っている相手は、私がいいのに。

怖いんだ。まだ力が足りないんじゃないかって。
……足りない力で、籠を壊しそこねて。

君を残して、真っ暗な谷底に落ちることが。

落ちていく私を見つめた君の寂しげな表情を、見ることが。

壊し損ねた鳥籠の破片で、君を傷つけることが。


――……その全てが、怖いんだ。

ただの予想でしかないのに。もしかしたらもう力はあるかもしれないのに。
だけど。……自分ではそれを測り知ることなんて、出来なかった。

「……なの……、」

目の前の彼女に触れる。寝ている時には「なのは」なのに。
その名前を呼んだら、君を求めてしまう心を抑えていられなくなる様な気がして。

不完全な私の力で、そのまま曖昧に籠を壊してしまうような気がして。


――……呼ぶことが、できなかった。

誰に抵抗しているのか、何に抵抗しているか。それもわからないままに。
私はなのはの唇へ、自分のそれを寄せようとして。


それでも、――……結局は。その抵抗を持ってさえも。
臆病な私は。求めた先ではなく、その端へ触れさせることしか出来なかった。


***

――……あの夜から、また半年が経った。

私達は相変わらず「騎士」と「姫」だった。
乾いた笑顔を貼り付けて、いつも通り護衛をして。

嘘で身を固めて。痛んで膿みそうな心を隠して。
手を伸ばしてしまいそうな、この気持ちを押し込んだ。

相変わらず、私は成長していないのかもしれない。

苦笑しながらため息を一つ吐く。見上げた先の空は、満天の星々。
そんな中。遥か遠くに、響き渡る雄大な音楽と楽しそうな談笑が聞こえている。

――……今日は、なのはの16回目の誕生日。

ドレスに身を包んだなのはとその世話役のはやてを見送って。
私はそのまま指定の場所の警備任務へとついた。

誰も来ないであろう、ホールの一番隅にあるバルコニーが見える広場。
そこを自ら名乗り出た。私以外には、誰も警備の人は居なかった。

パーティーの行われているホール内にいる人が、肉眼でやっと
確認できるという程に、遠い位置。……でも、それでよかった。

皆に笑顔を向けるなのはは……見たくなかったから。
なのはは、今誰にその笑顔を向けているんだろう。なんて。

……自分勝手な、嫉妬だ。
今の私には……なのはを縛り付ける資格なんて、ないのに。


「……あとどの位努力すれば、いいのかな……」

冷たい甲冑に包まれた自分の手のひらを眺める。
月の光を反射し鈍く光を放つそれが、情けない私の顔を浮かびあがらせた。

「……フェイトちゃん……」

そんなことをぼうっと考えていると、ふと名前を呼ばれた気がした。
不安を織り交ぜたような、小さなかすれる声。

きょろきょろと視線を這わせると、頭上からこっちだよ、と声を掛けられる。
――……その声の方へ、顔を向けて。

瞬間、どくん、と強く心臓が跳ね上がった。
それを押さえつけ、なるべく冷静を装って声を絞り出す。

「……どうしてここに居られるのです、姫様」
「えへへ……抜けてきちゃった」

私の頭上に位置するバルコニーから見えるのは。
はにかんだような彼女の、花開いたような笑顔。

嬉しいと同時に……また、つきんと胸が痛む。

「パーティーの主役が抜けて来られては、皆様が心配なされます」
「……大丈夫だよ、誰も気づかないよ。きっと」

なのはの背後にあったカーテンの隙間から覗くのは、相変わらずの光景。
確かに、主役がその場に居らずともパーティーは滞りなく行われているらしかった。

視線を彼女に戻すと、その顔が悲しみで歪んでいた。
……なんだか諦めが入ったような、そんな笑顔。

私は何も言えずに、ただその姿を見ていることしかできなかった。

「あのね、料理ちょっとだけ持ってきたの。……一緒に食べよ?」
「……今は、任務中ですので。」

バルコニーの柵の隙間から差し出されたお皿をやんわりと手で戻す。
するとちょっとだけ頬を膨らませるなのは。

むぅ、フェイトちゃんは頭が固いなぁ、なんて小言が聞こえてきて。

「じゃあ、なのは……姫、からのお願い、……じゃ、だめかな?」

なのはは自分から自分を「姫」なんて言うことはなかった。
だから、それほどまでに切実な……願い。

私なんかの為に、それをさらけ出してくれたのに。

「……姫のお願いを断れる騎士なんているはずがないじゃないですか」

私は、どうしたらいいのか分からなかった。

「……今日は、月が綺麗だね」
「……はい。そうですね」

料理を口に運びながら一緒に月を見上げる。
真っ青な月から放たれる光が、私の心まで照らし出してしまいそうで
――……ちょっとだけ、怖かった。

「姫様、お召し物が汚れますので……しゃがみこむのはおやめ下さい」
「だってしゃがまないとフェイトちゃんに料理届かないじゃない?」

立ち上がったままの私と、座り込んだなのは。
それでも、まだ私がなのはを見上げるくらいの距離。

なんだか今の私達の関係をまざまざと示しているようで。
痛んでいた胸に、さらに刺し込むような痛みに襲われる。

――……呼吸が震えて、上手くできない。

「……もう結構ですから。お戻り下さい。国王もご心配なされます」
「わたしにはフェイトちゃんがいればいいもんっ!」

逃げるように目を反らし、顔を伏せる。
すると頭上から、なんだか泣きそうな彼女の声が聞こえた。

「ご冗談は…、お止め下さい。姫様」
「……どうして冗談だなんて言うの!?…どう、して…」

曖昧な気持ちが。言葉が。……また、君を傷つける。


「……私とあなたは、「騎士」と「姫」です」

それを分かっているのに。

「……じゃあ、ど…して、あの夜……っ、キスなんてしたの!?」
「――……っ」

こんなにも、君が籠の中から手を伸ばしてくれているのに。


「私、は……っ……こんなに…こんな、にっ」
「……私は……」

ぱたぱたと温かいものが降りかかるのを感じて、視線を上げた。
悲しみで染められたその表情が、ただ、痛くて。

「……痛いよぉ……、ふぇ…と、ちゃ……」

胸を押さえ込んで泣く彼女に、手を伸ばした。
ぐうっと伸ばした指先が、その頬に触れる。

「なのは……ひめ、さま」

その指先をぐっと握り締められた。
かちかちと震えるその手が、ひどく熱くて。

――……痛いくらい握り締められたその力が、切なかった。
握り締められたその手をやんわりと解き、目元に溜まった涙を指先で掬う。

すると暫くして、交代の時間を知らせる鐘が鳴り響いた。
……もうすぐここに、代わりの騎士が来る。

なのはと一緒に居たところを見られるとまずいかもしれない。
パーティーを抜け出してまで私に会いに来ていた、なんて噂が立てば
それこそなのはの護衛を降ろされてしまう。

……そんなのは……嫌だ。

「……もう、時間ですので。また後ほどお迎えにあがります」
「フェイトちゃ、……待って!」

痛む胸を押さえつけて、背を向ける。

嫌だと。……泣いているなのはを置いて離れたくないと。
――……そう叫ぶ心を、無理やり抱え込んで。


「失礼します」


強くなれば、それなりの立場になれば。
――……そう考えていた。

前よりは、強くなったはずなのに……
それでも――……終わりが、見えない。


どれだけ強くなれば君に手を伸ばすことが許されるのか分からない。

がむしゃらに目標に向かえば向かう程。
君との距離が離れていくような気がしてならない。

……見習いだったあの時の方が。


君との距離は、きっと近かった。

強くなればなるほど。立場が上になればなるほど。
……先が、遠く感じられて。君との距離がただの絶望に変わる。

それでも。

「なのはが好きだ」

だから、諦めたくない。


だから、この際もう動こう。

手を伸ばそう。


力が足らないかもと逃げ続けて、君と離れる方が怖い。


足らない力でも、全力で籠を壊す。

なのはを、迎えに行くんだ。
君がそれを望んでくれているなら。

私に伸ばしてくれているその手を、掴みに行くんだ。


そう決めた。



ひたすらに、意思を固めて。
なのはに告げる機会を待っていた。


だけど。


――……それから、3日経った……ある任務先でのことだった。



『くすくすくす。…あなたが、フェイト・テスタロッサ……ですよね?』
「……どうして、私の名前を……!?」


私には、初めから。




その資格がなかったんだと言うことを、知ってしまったのは。
-------------
第2部完。


第3部

【Das Resultat sagt alles ~elf~】へ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

ちょwwwここで終わりですか!?。・゚・(ノД`)・゚・。なんという生殺しorz
とりあえずフェイトガンバ!!

都築楽しみにしております!!

No title

こんばんわ。お初です^^

え!?フェイトに話しかけたのはだれ?婚約者!?
ちょっ頭がついてかない。
第三部は一体どうなっちゃうの!?

No title

>アクエリアスさん

すみません、ここで一旦切りました(^^;) 生殺しですね~…おおう;;
フェイト頑張りますよ~!もちろんなのはも!
ここからが山場になります!一気にがつっと!!

…更新はまったりとになってしまいますが、どうか宜しくお願い致します~。



>ミャンマーさん

ふふふ。話しかけたのが誰なのかは、今の所まだ秘密ですw

少し触れるなら、なのは姫の婚約者は今はまだ空席の状態です。
なので、なのはの婚約者という訳ではないですよ~。
もちろんフェイトは一般の子なので、婚約者とかの心配はないですw

第三部からはガッツリ動かして行きたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いしますw

No title

うおっ!何だか急展開になりそうな予感!
オラ、ワクワクしてきたぞ!w

ところで、移転お疲れ様ですm(_ _)m
自己紹介のところにすずアリ、はやなのが追加されましたね!そちらの方も頑張ってください!では!

No title

>KATANAさん

今後またさらに動いていく……と思われます!
主にフェイトさんが頑張る…かな?なのはさんももちろん頑張りますよ!

移転急な話ですみませんでした;ありがとうございます;

自己紹介、取り扱いCPを追加してみました~!
フェイなのよりは発生率は低めだと思われますがコツコツ地味に
書いていこうと思います(^^)ありがとうございますw
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
一報を頂けると管理人が喜びますw

【ご注意下さい】
当サイトにて掲載されているイラスト
または、テキストの無断転載・使用は禁止とさせて頂いております

カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カテゴリー
メールフォーム
何かありましたらどうぞ。

名前:
メール:
件名:
本文:

捕捉サイト様
イラストサイト様
SSサイト様
お世話になります
最近のコメント
FC2カウンター
その他
RSSフィード
By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。