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【真夏日和のその後で~最終日~】

一応これで中編【真夏日和】は終わりとなります。



==========

別に何かあったわけじゃない。
――……でも、なんだか急に空が見たくなって。

寝静まった皆を起こさない様にそっと部屋を出て浜辺へとたどり着く。

時刻は午前1時。本当ならこんな時刻に出歩くのは危ないのだけれど、
幸いここはアリサちゃんのお家のプライベートビーチ。
お巡りさんに報道されることも、危険な人物に遭遇することもまずないはず。

それでも比較的人目につきにくい場所を選んで腰を落とした。
スカート汚れちゃうかな、とも思ったけれど、急なことだったので
ハンカチは持ってこなかった。

――……後で部屋に入る前に掃えば……いい、よね。


そのまま一息吐いて空を仰ぎ見ると、満点の星空。
その中で全てを圧倒する、光輝く大きな大きな月。

耳に聞こえるのは、引いては返す波の音と、
さわさわと風が木の葉を揺らす静かな音だけ。

木の葉を揺らしたその風は、私の肌を柔らかに撫でて吹き過ぎていく。


「今日は満月なんだ……おっきいな……」

真っ暗な空の中で、凛とした光を放つその月はとても綺麗で。
思わず感嘆するため息が自然と口から零れた。
ここの月は、いつも海鳴で見ている月よりもなんだか少しだけ大きい気がする。


――……海鳴の、月。
去年までは、胸の痛みと共に見上げていた。

伸ばした手は何も無い空を掴んで、月には届かなくて。

苦しいくらいに綺麗な、その月と。
そして――……そこに描いていた、その彼女。

それをただ静かに、見ているだけしか――……出来なくて。


あの時の私が今の私を見たらなんて思うのかな?

そんな思いが急に浮かんで、苦笑する。
きっと、ずるいよ!なんて文句を言ってるに違いないかな、なんて。


アリサちゃんがいて、すずかちゃんがいて、はやてちゃんがいて。
そして隣には、笑顔で私を包み込んでくれているフェイトちゃん。

そんな今が、幸せすぎて時々夢なんじゃないかと。そう怖いくなる位に幸せで。

「にゃはは……」

胸に溢れるその思いがなんだかくすぐったくて。
誤魔化すように、月を見ながらそれに向かって笑顔を零す。


「なのは」

――……一度だけ聞こえる、その声。

波打つ音と、葉の擦れる音。それよりも全然小さく紡がれたはずなのに
そのどれよりも大きく私の元へと届く。

「なのは」

――……さくさくと砂を踏む音と共に、もう一度。

どんな綺麗な唄よりも心に響いて。どんなお菓子よりも甘くて。
私が大好きで大好きでたまらない、少しだけハスキーな優しいその声。

気づいていたけれど、気づかないふりをしてそのまま空を仰ぐ。

名前を呼ばれてこんなにも胸が苦しくなる位にドキドキしてるのは
きっと私だけなのだろうから。――……それがちょっとだけ悔しくて。

見上げている空に浮かぶ月は、先程と同じもの。

でも、フェイトちゃんが傍にいるんだ、そう思った途端に
その光は辺りの暗い闇を切り裂き、一気に世界をその色に染め始めた気がして。

ああもう――……どうしようもないな……って。
どうしようもないくらいに、私は、

「なのは、こっち向いて?」

後ろから肩越しにぎゅっと抱きしめられる。


夜風に当たって少しだけ冷えたのだろうか。
抱きしめてくれるフェイトちゃんの身体はとても、温かかった。

「起こしちゃったかな?……ごめんね、静かに出たつもりだったんだけど…」
「ううん、眠れなかっただけだから。大丈夫だよ」
「……うん、ありがとう。フェイトちゃん」

また広がる静寂。でも、決して嫌なものじゃない。
フェイトちゃんに抱きしめられたそのままに空を見上げていると、

「旅行先なのに……。また空を見てるんだね、なのはは……」

なんて、少しだけ拗ねたようなフェイトちゃんの声。

「月を、ね……急に見たくなったの」

そう答えると、抱きしめられていた腕の力が少しだけ増す。

ぎゅうっと回された腕が、なんだか縋るようにも感じて、
まるで、何かを食い止めるような切なささえ感じる。

回された腕に指先を這わせて何度か撫でていると、私の肩に頭を
あずけるようにして、フェイトちゃんが喉元から甘えるような小さな声を出す。

――……それがなんだか猫みたいで、凄く可愛くて。
くすくすと笑いながら、飽きることなく何度も優しく撫でる。

「……私は、月には勝てない……の、かな」
「え?」

その声にフェイトちゃんの方を見るとまるで、見ないで、と言うように
私の肩口へと顔が埋められる。首元にかかる吐息がいつもより少しだけ、熱い。

「……このまま月になれれば、もっとなのはに見て、貰えるの……か、な」


その声を吹き消すように、さわさわと風が通り過ぎて。


「なんて……。おかしいよね」

ごめんね、なのは。今の忘れて。
そう言って肩口から顔を離したフェイトちゃんは少しだけ淋しそうだった。

――……ああ、違うんだよ、フェイトちゃん。

「月を見てるとね、フェイトちゃんを思い出すんだよ」
「……私?」
「うん」


また、風が吹く。

その風に撫でられて、光を蓄えてきらきらと輝く金色の髪が宙に踊る。
それは――……月の光を反射して、いつもより一層綺麗で。

一房手にとって月明かりに翳すと、月の光と同じ位に――…ううん、それ以上に。

「綺麗な金色だなって」

月にフェイトちゃんを見て。


「好きって言いたくなるの」

そこまで言うと、ふと温かい手に頭を撫でられる。ゆっくりと、丁寧に。
そんな心遣いが感触ごしに伝わるようなその動きは、
まるで壊れ物を扱うような、そんな風にも感じられて。

――……胸の奥がじんと、熱くなった。

「……月に私を見てくれるのは嬉しいけど。私は、ここにいるよ?
  なのはの傍に、いる。……だから。月じゃなくて――……ちゃんと私を見て」

「うん」

「今だけじゃない。これからも……できれば、ずっと。本当の私を見て好きって言って?」

なのはの、こんなにも優しい声で紡がれる「好き」を、月なんかに聞かせたくないもん。
真っ赤な顔をして照れた様にそう言うフェイトちゃんは凄く可愛くて。

私を覗き込んでくれているその深い深い紅が――……セカイに、更に陽を灯す。


「大好きだよ、フェイトちゃん」

その瞳に映り込む私の顔は、なんだか凄く照れた顔をしていて。

そのことに恥ずかしくなって視線を空へと向けると、
顎に指先を這わせられて、ぐっとフェイトちゃんの方へと向かされる。

「ほら、また」
「うう……わざとじゃないもん……」

恥ずかしいんだってば、もう。

そんな私に気がついたのか、意地悪そうに微笑んで耳元に唇を寄せたフェイトちゃんが一言。

「……じゃあ、恥ずかしさなんて感じないくらいに、私でいっぱいにしてあげようか?」

なんて言うものだから、囁かれた耳元から一気に熱が集まって全身を駆け巡る。
いつもはおろおろしているのに、なんでこんな時ばっかり――……

「フェイトちゃん、恥ずかしいセリフ禁止――!!」

そう控えめに叫ぶと、ぐっと頭に手を回して引き寄せられて。
鼻先が触れ合いそうに、近い。心臓が焼け付くように、熱い。

「恥ずかしいと思っている暇があったら。その分好きってなのはに伝えたいんだ」
「……もうっ」

いつもの姿からは想像できないよ、そう笑うと、そうだね、と笑って返される。
なんだかおかしくて。二人でおでこをくっつけあって笑いあう。

「明日で帰りなの……ちょっと淋しいね」
「うん、淋しい。……でも凄く楽しかった」

なのはの可愛い姿がいっぱい見れたからね、なんてからかうように言われたものだから
キスマークはどうしようかと思ったけどね~とからかうように返すと、
あう…ごめんなさい…と先ほどの勢いはどこへいったのか、縮こまるフェイトちゃん。

「痕付けられるのは嫌いじゃないけど、行事の前は気をつけようね」
「……うん……ごめんなさい……」
「うん、分ればよろしい!」

前髪を上げて、真っ赤になったおでこにキスを落として。

「楽しい思い出はたくさん出来た?」
「うん。皆と沢山遊べたし……何よりなのはと一緒だったから」

花が開いたような満面の笑みでそう返されて。
それがとても愛おしくて――……衝動的に、綺麗なその唇に私の唇を寄せる。


触れ合うだけの。唇で唇を啄ばむだけの。
でも、今感じている、胸に溢れる温かい気持ちを分け合うような――……そんな、キス。

「また皆で一緒に来たいね」
「うん、そうだね」

そう言って、もう一度だけキスをして。

「……くしゅんっ」
「ああもう。…ほら、身体冷えちゃうから……戻ろう?なのは」
「ん……」

先に立ち上がって手を差し出すフェイトちゃんの手を取って立ち上がる。
そのまま引き寄せられてぎゅうっと抱き寄せられて。

「私も寒くなっちゃったから……だから……その、ね?」

何か言いたげなフェイトちゃんがもじもじと俯きながら言葉を紡ぐ。
むぅ……、本当にさっきまでの勢いはどこへいったんだろうなぁ……もう。
……自分で言い出したことだけど、うん。仕方ないよね。

本当は仕方なくなんかじゃないんだけど、一応体裁というものがあるわけで……ごにょごにょ。


「ん~……私も寒くなっちゃったから……誰か一緒に寝て「私でよければ!」」

ってちょ……早っ!フェイトちゃん返事早いよッ!!まだ言い終わってないし!
こういう時はもうちょっと間を空けてですね……

いや……うん、でもフェイトちゃんらしくて凄く嬉しい……かな。

「それじゃ部屋、戻ろう?フェイトちゃん」
「うん。」

手を繋いで微笑みながら。ゆっくりと来た道を二人で戻って。


そのままフェイトちゃんの優しい体温を感じながら思いを巡らせる。
旅行は凄く楽しかった。だから帰るのはちょっとだけ淋しいけれど……

この先にも待つ、5人で騒ぐ楽しい日々を想像してちょっとわくわくする。
フェイトちゃんと一緒にいられる優しい時間を想像して、凄くドキドキもする。

――……だから、明日が早く来ないかな、なんて。


そんなことを考えながら、訪れた優しい睡魔に身を委ねて。
ゆっくりと瞼を閉じて深い眠りの淵へと落ちていった――……


END……?

-----------
おまけ↓


「……また朝からなんつーもん見せてくれてんの。この二人は……」
「本当に二人とも仲良しだよね。凄く幸せそうな顔してる」
「こういうのは二人でいる時だけにしなさいっての。……やっぱり簀巻きにして流そうかしらね。」

「あれ?……ところではやてちゃんは?」
「「なのはちゃんの幸せ顔をしっかり撮影せなあかん!」って叫んでカメラ買いに行ったわ」
「……こんな時間にやってるお店って……あるのかな?」
「ないわね。でも止める前に行っちゃったのよ」
「あはは……」

「取り合えず飛行機の時間もあるから。そこのバカップル起こして朝食食べないとね」
「アリサちゃん……穏便にね?」

「分ってるわよ。……起きろこのバカップル!!」


ゴンッ!ゴンッ!


「へぶ……っ!」
「んにゃぁっ!」

「ほらご飯食べに行くわよ!いつまで抱きついてんの!」

「あぅ……痛いよ、アリサ」
「おはよう~、アリサちゃん、すずかちゃん」

「おはようなのはちゃん、フェイトちゃん」

「……なんかこの状況が普通になってるでしょ、すずか。」

「おはよう、フェイトちゃん」
「うん、おはよう。なのは///」



「……とりあえず次の旅行の時は、絶っ対!個室にするわ」


END!
---------------------------

はい。3日目というよりは2泊目~3日目の初めといった感じですが;

微妙に短編での月の伏線回収も兼ねてます。
何気に全作繋がっているという……。うん。


そこのところはお気になさらず!! ∑(@□@)<ええっ!)



では、ここまで読んで頂きありがとうございました!

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