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【果てない願望叶わぬ想い~最終話~想いの果て】

シリーズ最終話になります。ここまで読んで頂き本当にありがとうございます!



==========

お気に入りのオルゴールがあった。

どこで買ったかもよく覚えてないけど、とにかくその小さな箱から
奏でられる単調な、でも――……細く綺麗な音楽が大好きだった。

繰り返し変わる歴史の中。繰り返し変わる主人の中。
どれだけ足掻いても何も変わることがなかった戦いの中。

あの綺麗な音だけが、あたしの支えだと思っていた。


でも、ある日。

――……それが、壊れた。

箱を開くと、いつもは綺麗だったはずの旋律は、
いびつな音を立て、奏でられる音は次第に途切れ途切れとなっていった。

「……どうした?ヴィータ」
「……壊れちまったんだ」

確か、それだけの短い会話だった。
その答えに困ったような顔をしたあいつは、
馴れない手つきで四苦八苦しながらそれを直してくれた。

――……でも、やはりだめだった。
一度壊れたそれはもう二度と元の旋律には戻らずに、歪なままで。


もう、こんなのはいらない。


そういって、川に投げ捨てた。

その弾みで蓋が開き、また音が途切れ途切れに流れ出す。
沈みながらも――……ただ、ひたすらに。


――……まるで、まだ動けるよと泣き叫ぶように。

――……まるで、悲しんでいたあたしを慰めてくれるかのように。


もう何年も経つ今でも、あの綺麗な旋律は耳に残っている。
もう何年も経つ今でも、あの綺麗な細工の箱の感触が手に残っている。

どうしてあたしは、壊してしまったんだろう。
あんなに大好きだったのに。


――……あんなに。

好きで好きで……たまらなかったのに。

------------------------

部屋へと戻るなのはの後ろ姿を見つめながら、
今は力の抜けた身体をぐったりと壁にもたれ掛らせる。

先ほどまであんなにもひどかった頭痛は今はみる影もなくなっていた。


なのはが、傍にいてくれる。


ずっと願っていたことだった。……それがやっと叶うというのに。
嬉しさなんて――……どこにも、感じられなかった。

「私は、ヴィータちゃんの傍にいるよ」


優しい声だった。甘い音色だった。

でも。

苦しいくらい胸が詰まる、悲しい笑顔だった。


――……ばかなやつ。
無理してるってバレバレなのに、なんで笑ってんだよ。

どうして、嫌だって言わないんだよ。


どうして切り捨てないんだよ。

どうして

「……ばかなのは」

……お前は誰にでも優しくするんだよ。


「――……っ!」


だん、と、思い切り握った拳をそのまま壁へと叩きつける。

じん、と反響したその痛みは、全身には巡らずに右手へと留まり続ける。
そのままその痛みを抱えた右手で、もっと痛んでいる自分の胸倉を掴んだ。

「……ばかは、あたしだろうが……」


笑って欲しかったのに。笑顔が見たかっただけなのに。

なのに。

あたしは、一番言ってはいけないことを言った。


”あの時も泣かなかった”


違うだろうが。泣けなかったんだろうが。
そんなの……全部。全部……分かっていたのに。

「……どうして……」

あたしはきっと、なのはを壊す。
あたしのことを好きになってくれないなのはを、壊す。

――……そんなのは、

「……違うだろ……?そうじゃないだろ?」


壊したく、ない。

あいつの笑顔を、壊さないその方法を。
――……あたしは、知っていたのに。

「なぁ、あたし。……お前は、なのはが好きなんだろ?」


だから――……忘れろ。何もかもを。
あたしたちの……絶対距離を――……戻すんだ。


仲間として笑いあった、あの日々に――……

***

誰もいない廊下を靴音が反響して、また耳へと戻ってくる。
勢いが無くなった一人分の足音。


そのまま局へ行こうとも考えていたが、
今日はあいにくもうやるような仕事は少ししかなかった。
書類の処理と、提出。

ものの一時間で終わってしまうようなものだから急ぐこともない。

視界に入った休憩室のドアを開けると、まだ早いせいか珍しく誰もいない。
奥の方のベンチに力なく身体を預け、天井を仰ぎ見る。

いつも何も感じないその染み一つ無い無機質な真っ白い漆喰が、
今は――……ただ眼に、痛い。

それから逃げるように視線を反らし、膝を抱えてうずくまった。

途端に溢れてくる、涙。

「――……っ…く…うぁ…っ」

止まらない嗚咽がただ苦しくて。

――……違うだろ?あたしが泣く資格なんてないだろ?
身体の震えを止めるように、ぎゅうっと膝を抱えていた手に力を入れる。


しばらくそうやっていると、しん、と静まり返っていたはずの部屋に
誰かが近づいてくるような足音が聞こえてくる。
もうなんでもいい、そう思って俯いたままでいると、
がちゃん、と少しだけ小さな音を立てて、扉が開いた気配がした。

「…………」

その足音の主は、こちらに語りかけることもなく近づいてくる。
……そりゃそうか。

朝からこんなところでうずくまってりゃ声もかけ辛いもんな。

わかったなら、出っててくれよ。
――……今は、誰とも話したくなんて……ねぇんだよ……

そんなあたしの気持ちを無視するかのように、
あたしと背中合わせにベンチへと座り込んだそいつは――……

「……ヴィータ」
「……なんだよ、シグナムかよ」

ああ、と小さく返事を返される。
……また訪れる、沈黙。

「……何もかもお見通しなんだな、ウチの大将は」
「……そうでもないさ」

「なんだよ……怒らねぇのか?」
「お前が今、高町なのはと一緒にいたなら
 ……そうだな。一発殴っていたかも知れないな」

「……そりゃおっかねぇな」

空笑いが部屋に響き渡る。

「泣きたいときには泣けばいい」
「……っ!誰がお前の前でなんか泣くかよ!」

その言葉に、そうか、と返されて。
あたしの背中に、ゆっくりと軽く体重がかけられて
――……本当に少しだけ、添えるようにあいつの背中が触れる。

「……これなら、私の前じゃないだろう」
「何をへ理屈言ってんだよ……、お前らしくもねぇ」

「そうだな……でも、たまにはそういうのもいい」

――……思いもしなかったその温かな温度に、
先ほどまでは必死に堪えていた不安が

「……また……笑いかけてもらえんのかな……あいつに。」

溢れだす。

「……そんなことで避けるような人柄ではないだろう、あいつは」
「…っ…そ、か……」


黙り込んだあたしに、シグナムは何も言わなかった。
ただあたしの背中に自分の背中をつけて、そこに居た。

「……シグナム」
「……どうした?ヴィータ」

その声はあの時と同じ、ひどく簡素な短いもので。


「まだ……そこに……居てくれ」


ああ、と聞こえたその返事をかき消すように、ただ――……泣いた。

***

===============

「オルゴールはどうしたんだ?」
「……捨てちまったよ、あんなもん」

「……それでお前はいいのか、ヴィータ」

「壊れちまったもんに興味はねぇよ」
「違うだろう?」

「何がだよ」

「大事にしていたから壊れたんだろう」

「……そうなのか?」

「お前は少し我慢を覚えろ、ヴィータ」
「うるせぇな」

「……仕方ない、また何かあったら言え。私が直してやるさ」

「なんだよ、珍しく優しいな。きもちわりぃ」

「……お前、人が下手に出れば……」
「なんだよ、やんのかコラー!」

=============


***

「そうだヴィータ。今日は主はやてがシチューを作るらしい。
 色々と材料の買出しを頼まれた」

「おぅ、行って来い」
「……買う量が多くてな。手伝ってくれ」

くっつけられた背中が離れて、背後でシグナムが立ち上がる気配がした。
あたし今ひでぇ顔してんだけど?と言うと、

「お前はもとからそんな顔だ」
「んだと、やんのかコラー!」

そう言って、部屋を出たシグナムを追いかける。

――……胸はまだ痛かった。

でも、さっきよりは痛くない気がした。
……いつかこの痛みが消える日がくるのだろうか?

わからない。

だけどいつか、きっと。

「……テスタロッサとなのはに笑顔でおめでとうって言うんだ。」


笑ったあいつらの顔が、見たいから。




END

-----------
はい。というわけでシリーズ完結です。
駆け足更新でしかも最後はグダグダっぽくなりました…… orz

本当に中編はだめですね、駄目人間です(号泣)


あとがき的なもの。↓
----------------
比較的初めからオチは決まっていました。
中は大幅に変わりましたが……。

これはヴィータが主人公の物語です。
多分主人公が違う人だったとしたら物語の内容も変わってました。
なのは主人公だったら途中皆様が考えていた通りになっていたかと……;

本当は元は短編だったのですが、心の成長を書きたくて中編にしてみました。
……ら、荒が出まくりました、ありがとうございます(逝ってこい

あああ……本当にすみません;

拙い作品ながらも、無事最終話まで終われてほっと一安心です。
内容はともかく……(ぇ

では、
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
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はじめまして

 まぎゅなむと申します。以前からこちらのサイト(移転される前の方ですけど)の作品を色々と読ませていただいていました。ですが、なかなかコメントを書く機会に恵まれなかったので、今回初めてコメントをさせていただきます。
 さて、「果てない願望叶わぬ想い」はぶっちゃけますと、もう五、六回は読ませていただいています。なんか、こう胸がきゅんとなる感じがたまらなくて気付いたら読んでいるって感じに(苦笑
 初コメで長々と失礼しました。これからも頑張ってください。応援しています。

ありがとうございますw

>まぎゅなむさん

はじめまして。コメントありがとうございますw
コメント、すごく嬉しいですっ(><)

「果てない~」は他より甘さが全然ないので、人気はあまりないかな~と
考えていました。なので、でそう言って頂けるとすごく嬉しいです。
本当にありがとうございます!!

はい、これからものんびり頑張っていこうと思いますので
どうぞ宜しくお願いいたします~!
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

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