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【Das Resultat sagt alles ~sechs~】


二部開始です。第6話になります~。







==========

――……空を求めていいんだと、言われた。
籠の中の鳥でなくてもいいのだと言ってもらえた。

だから私は手を伸ばせた。
高い高い空に、まっすぐに。

伸ばした先の空にあった太陽はとても暖かくて。

……凄く凄く――……あったかくて。


「にゃはは……キス……しちゃった、ね」
「う、うん」

幸せすぎて、夢なんじゃないかなって思った。

「フェイトちゃんってば顔真っ赤だよ~」
「な、なのはだってっ」

お互い真っ赤な顔をして。

笑いあいながらくっつけあったおでこから伝わる熱が、
どうしようもないほどに愛しくて。

間近にあるその優しい瞳が、……嬉しくて。

「大好きだよ、なのは」

目を細めて微笑んでくれたフェイトちゃんの笑顔が可愛くて。

「私も、大好き」

このまま、ずっと笑顔で私の隣に居て欲しいと思った。
フェイトちゃんの傍で、笑顔で一緒に居たいと思った。

泣きたくなるくらい幸せで溢れた胸の奥で、そう願った。

他には、もう何もいらないから――……どうか。
ずっとずっとこの幸せが、続きますように、と。

フェイトちゃんの温もりを感じながら


――……ただそれだけを、強く願い続けていた。


-----【sechs ~(schmerz)~】-------

いつも通りの日常。
朝から晩まで稽古詰めの毎日。

それが終わったら自分の部屋に帰って、鉄格子のついた窓から空を見上げて。
四角く切り取られた世界の片隅を、ベッドの中から望む。

――……もう、嫌という程繰り返した日常。

丸い月は格子によって切断され、その形を成さない。
光も、厚いカーテンに遮られて届かない。

安全という名の隔壁……私の部屋という名の籠。

それが嫌だった。
そこにいることが嫌だった。

昼間でも満足に光が通らない、一人の世界が嫌だった。

……でも、最近はそうでもなくなってきていた。

だって、夜には大好きなフェイトちゃんに会える。
だから、こんなの辛くなんかない。

寂しくなんか、ない。

――……けど。


嫌だと。駄目だと願っても。
……いつかきっと……気づかれてしまう真実。

それに気づいた時、あなたはどう思うだろう?

言わなきゃいけない。でも、言えない。

……言いたく……ないよ。

離れたくない。

それは、気づきたくない現実。
私はどんなに身を乗り出して両手を伸ばしても。

結局は籠の中の鳥でしか……ないんだ。


そう思ったら流れ出る涙が止められなくて。

――……籠の中でまた、啼いた。

***

翌日、朝の稽古も終わりこれから昼食。
はやてちゃんは今日は任務があるらしく、違う騎士さんが
一緒に護衛についてくるらしい。

部屋に迎えにきたその騎士さんは、いかにもという感じの
初老を迎えた男性で、敬礼をゆったりと解き、ドアを開いた。

……やっぱりはやてちゃん達以外の騎士さんは苦手だ。
いつもよりも見張られている、という視線の中、長い廊下を歩ていく。

すれ違う度に敬礼をされて。
その光景を目にする度に――……胸が、痛くなる。

暫く歩くと見慣れた顔を見つけた。
クロノ君だ。……いつもは任務であまりここには来ない筈なのに……。
声をかけようと近寄った所で、その足が止まった。

――……綺麗な金色が、見えた。
どうしようもないほどに愛しい深い紅が、そこにあった。

「なのは?……どうして……こんなところに?」

――……どうして。

「こら、フェイト!姫様に失礼だろ!!」

――……どうして、フェイトちゃんが……

「ひ、め……さま?」

どう、して……。

「………」

クロノ君から咎めるように言われたその言葉に見開かれた瞳は
驚きと不安と絶望と……そんなぐちゃぐちゃな感情を湛えて揺らめいていた。

この現実が理解できない。
理解しても、分かりたくない……そんな、表情だった。

「……なの、は……?」

掠れた声に、名前を呼ばれた。


違う……違うのフェイトちゃん。
私は――…、私、は……っ!!

「なんだお前は!見習いの分際でなのは様を呼び捨てなどとっ!」

呆然としていた私の後ろで、怒号が聞こえた。


――……やめて。


「大体お前などが口を聞く事が出来る方ではないのだぞ!」
「……め、て」


――……お願いだから


「立場をわきまえろ!」

「やめてっ!!」

嫌だよ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。
どうして、なんで!?

「やめて……それ以上…言わな…っで!」

見開かれたフェイトちゃんの瞳は――……
じっと私を見ていた。ただ、苦しそうに。

「……フェイトちゃんっ、フェイトちゃん!」

その呼び声に、その瞼はきつく閉ざされた。
何度も何度もその首を横に振られて。

再度こちらに向けられたその顔は、涙でぐちゃぐちゃに濡れていて。
ぎゅうっときつく食いしばったその唇が、痛々しくて。

私のセカイを灯した紅の光は――……


「……ご無礼を…お許し、くださ……い」


ゆっくりと、消えようとしていた。

多分、その時には……フェイトちゃんは分かってたんだ。
自分が、私との関係を公言すれば、私にも迷惑がかかるのだと。

でも、そんなのは関係なかった。
私には、フェイトちゃんが居ればよかった。

だから

「……ふぇい、――……っ!」

縋るように名前を呼びかけたその口を、いきなり塞がれた。
――……振り向くとそこには、見慣れたあの姿。

「……なんや、騒がしいと思うたらクロノ君か」
「…はやてか。任務は終わったのか?」

そや。と軽く敬礼をして。

「……あかんわ、東の国でなんや不審な動きがあってな。
 尋常じゃない人の集まり方や。それも明らかに一般人やない、軍人やね。
 奴さん達はなんや一騒動起こそうとしとるやも知れへん。
 ……なのに小さな国や言うてその重大さを上の連中は何もわかってへんのや」

「……そうか……やはり」

「なんのための軍隊や!見栄ばかり張っとって!困っとる人が大勢おるのにっ」

話をしている間もその手を振り解いてフェイトちゃんの所へ行こうとしたけれど、
押さえ込まれたその力はとても強くて……どうにもならない。

「ううう……っ!――……っ!!」

ただ声にならない叫びが、その手の温もりにかき消されて行く。


「……時に、そこのあんた。……どこの部隊や?」

ふいに背後から聞こえるはやてちゃんの声のトーンが変わった。
先ほどまでの明るいものと違い、まるで刺すように冷たい声。

……はやてちゃんのそんな声を聞くのは初めてで思わず体が固まる。
話しかけられたその初老の騎士さんも、同じように固まっていた。

「どこの部隊なんや?……姫のお世話役として言わせて貰うけどな?
 姫様泣かすとは、なんや、しつけがなっとらんのと違うかなぁ思ってな?」

「――……っ、す、すみませ…」

口を塞がれたその手が外される。
……耳元で、ぼそりと呟かれたその言葉は。

「……フェイトちゃんのためを思うなら、ここは我慢してな?」

それは、まぎれもなく……その通りで。
――……でも、だけどっ!

「……次はないと思っといて下さい。……お願いしますね?」

にっこりと笑ったそのままに、後ろに控えていた守護騎士隊を呼んだ
はやてちゃんは、その一人シグナムさんに自分の代わりに
上層部に報告をお願いするわ、と指示を出していた。

「……シャマルはなのはちゃんを頼むわ。部屋まで連れてったってな?」
「やだっ!……だって、フェイトちゃんが泣いてるのにっ!!」


「なのはちゃん。お願いだから……分かってあげて」

騎士にとって、姫が一体、どういう存在なのかを。
どれだけ絶対的な存在なのかを。

そしてその存在に触れてしまったフェイトちゃんは……
それがバレたら――……一体どうなるのかを。

「……やだよ……やだ…」

「クロノ君。…ちょっとフェイトちゃん借りるな?」
「……ああ。」

クロノ君は、もう分かっていたみたいだった。何もかも、全てを。
フェイトちゃんは何も言えず――……ただ、こちらを見ていた。

「……少し時間、くれんかな?フェイトちゃん」

そのはやてちゃんの問いにも、なにも答えなかった。


「フェイトちゃん!!」

私は、ただ離れていくその背中を見つめて、
名前を呼ぶことしか――……出来なかった。


名前を呼んで、引き止めて。

そうなったとして――……それからどうするの?

謝るの?騙してごめんって?


謝ってどうするの?

どうしたいの?


なんで、どうして。

「……フェイトちゃん……」

名前を呼んで、抱きしめる。


――……今の私にはそれすら、

フェイトちゃんを傷つけるだけなのに。
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