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【Das Resultat sagt alles ~funf~】


第5話。フェイト視点です







==========

その柔らかい声に自分の名前を呼んで貰う度に、ドキドキして。
その温かい瞳を向けられる度に、ドキドキして。

いつの間にか、なのはのことを考えている時間が多くなった。

あの笑顔を思い出す度に、どうしようもない程に胸がきゅうっと痛んで。
気がつくと、会えない時間に――……涙するようになっていた。

これが「友達としての好き」ではないと気づいたのは、
ここに越してきて、はやてと出会ってから。

同じ年齢で同じ隊に配属、ということですぐに友達になった
はやてには、この感情を抱くことは全くなくて。

あれ――……おかしいな?

そう気づいたのは、それからすぐのことだった。


ああ、そうか。
私、なのはが恋愛感情として、好きなんだ……。

……そう気づくのは、早かった。

でも、言えなかった。

怖かった。

この関係が壊れてしまうのが。
なのはを困らせてしまうのが。

だから、なのはの誰よりも一番傍で一緒に笑い合えればいい
――……そう、思っていた。

だけどもう。

自分の気持ちに嘘なんか吐けないほどに
なのはの存在は、とても大きくて。


――……いつの間にか、私の一部になっていた。


-----【funf ~(Antwort)~】-------

2人が帰るのを見送った後に、ばたんと力なく閉じられた
自分の視界を遮っているそのドアを見つめて。

そのままこん、と額をくっつけてため息を、一つ。
……外気に晒されて冷えたそのドア板は、今は少しだけ気持ちよかった。


なのはと話していると、かぁって胸が熱くなって。
心臓が痛いくらいにドキドキする。

ああ、こんな思いをしてるのは私だけなんだろうなって
――……そう思うと、切なくてたまらなかった。

「……なのは……」

さっき別れたばかりなのに……もう、会いたい。

「……はは、もう、ダメだな……私」

乾いた笑いが、今はしんと静まり返った部屋に響いて。
また、それが自分の耳元へと戻ってきた。

「どうしようも……ないよ……本当に」

備え付けの小さな机の一番上。
鍵が掛けられているその引き出しを、そっと引き出す。

その奥から取り出されたのは、綺麗に包装された小さな袋。


――……それは、ここに来て初めて貰ったお給料で一番先に買ったものだ。

給料袋をぎゅって握り締めて、沢山あるディスプレイの中に視線を巡らせて。
決して一人では入ったことがないようなお店のドアをくぐって、ドキドキと
早鐘を打つ心臓を押さえつけて、選んだそれを袋に包んでもらった。

一目で気に入った、すごく綺麗な石のついたペンダント。
ちょっと高かったけど、それでも喜んで貰えるならって頑張って。
……頑張りすぎて翌月までパンだけを食べてたのは今となっては笑い話しだけど。

初めは、お礼で渡すつもりだった。
「友達になってくれてありがとう」ってそんな感情だけだった。

でも、なんだか気恥ずかしくて渡せなくて。そのままで。
そうして、自分の中にある恋愛感情に気づいてしまった今となっては――……

「……意気地なしだね、私」

友達には出来ることが、好きな人には出来ない。
……変に思われたらどうしようって、それが怖い。

ため息をまた、一つ。

ぴりぴりと包装紙を破かないように開いて、中のそれを取り出す。
その私の首元には、形見のコインのついた、いつもしているペンダント。

――……そして、更にもうひとつ。

普段は絶対に誰にも見えないように隠すようにして着けている、
今はまだ肌に馴染んでいない、真新しいもの。

……ゆっくりと身体を動かすと、
服の中から金属がぶつかり合うような、しゃら…っと言う微かな音が立った。

その音に気づき、取り出したそれをぎゅっと握り締める。
少しだけ震えている手の中のそれは、袋から取り出されたものとは異なる
色違いの石のついた――……同じ型の、ペンダント。

ゆっくりと持ち上げて月に翳すと、その石同士が光を乱反射し合って、
――……無機質な部屋が、少しだけ明るくなった気がした。

***

「こんばんは!フェイトちゃん」
「うん、こんばんは、なのは」

あれからまた季節は巡り、今はもうすっかりと冬仕度になっていた。

ドアを開けると冷たい空気が身体を撫でて、部屋の中で踊る。
外気に晒され、すっかり冷たくなってしまったなのはの指先は少しだけ赤い。

「寒かったでしょ?今温かいコーヒー淹れるね」
「ん、ごめんね。助かるよ~。あう~……寒かったよぉ~」

カチカチと震えるその細い身体には、ジャケットなどは羽織られていなかった。
……この寒さの中、家からこんな薄着で来たんだろうか?

家が近くだとしても、さすがに無茶すぎると思う。
……なのはのことだからまた「まぁいいか」で済ませてしまったに違いない。

仕方ないなぁ、と苦笑をして、その冷たい手を包み込む。
私のものとは異なるその体温に、なんだか少しだけ泣きたくなった。

「フェイトちゃん……?」
「……ううん、なんでもない。……すぐ用意するから。毛布使っていいよ」

少しだけぐちゃぐちゃなままの頭の中をすっきりさせるように何度か横に振って。
部屋へと移動したその背中を見送った後に、備え付けのキッチンへと足を運ぶ。

女性寮には小さくても一部屋一つにキッチンやお風呂場があるから助かる。
リンディさんの話だと隊長室にはもっと凄い設備もあるらしいけど、
まぁ今の私には到底遠い話だ。まだ見習いなんだし、これで十分。

ケトルを取り出して水を温めながら、インスタントのコーヒーのパックを探す。
真新しいそれの口を開くと、キッチンに香ばしいコーヒーの香りが広がった。

「……なのは~。ミルク入れるよね?」

部屋にいるなのはに声をかけても返事ナシ。……おかしいな……
遮るものなんて何もないから声が聞こえてないなんてこと無いはずだけど…
もう一度声を掛けてみても、やはり答えは返ってこなかった。

心配になって、コンロの火を消して部屋へと戻ると、
窓に張り付くようにして外を見上げているなのはの後ろ姿が視界に入り込む。

「……なのは。窓際にいると身体よけいに冷えるよ?」
「ん……」

生返事のまま、夢中で空を見上げているなのは。
そのことになんだか淋しく思いながらも、ベッドに掛けられていた毛布を持って
少しでも身体が冷えないようにとなのはの背中に覆うように掛ける。

「何を見ているの?」

なのはの視線を追うように窓に目を向けると――……

「……雪……」
「うん、降ってきたみたい」

なんだか嬉しそうに目を細めて、そう笑って。
曇った窓ガラスにそっと指を這わせると、クリアになった視界の先で
真っ暗な空を白く染めるように舞う雪片の姿が見えた。

「フェイトちゃんは雪、好き?」

寒さのせいか、その頬は少しだけ赤い。
今はもう薄暗くなってしまった部屋の中で、その蒼い瞳だけが光を灯している。
……そろそろ明かりを点けなければいけないかもしれない。

「う~ん……。嫌い…では、ないかな?…なのはは?」

そんなことをぼんやりと考えながら。いつもより少し小さな声で問われた
その質問の意図が分からずに、同じ質問でなのはに返してしまう。

するとはにかんだように笑ったなのはが、窓へと向けられていた身体を
こちらへと向き合うようにして。今日初めて――……目と目が、合った。

その目は、いつもよりもとても綺麗で。

「私は雪、好きだな~。だって……」

その目を見つめていると、ゆっくりと伏せられた。
長い睫毛が頬にかかって少しだけ震えて。


「だってね、えっと……ね」

何だか言いにくそうに、澱む言葉と。
困ったような、泣き出しそうな――……その表情。

なのはがそんな顔をしているところは見たくなくて、
なんとか宥めたい一心でゆっくりと震える手でその頬を撫でる。

「うん、ゆっくりでいいから落ち着いて?…ね?」

何度か撫でていると、私と同じ位に震えている手のひらにその手が包まれた。
暫くすると、ぎゅっと硬く閉じられた瞼がゆっくりと開かれて。

――……再度その蒼に、見つめられる。

「あの……ね。こうやってフェイトちゃんとくっついていられるもん」

震える小さな手にぎゅっと握られたその手が、熱い。
私の脳は、その言葉の意味をすぐに理解することが出来なかった。

だって。

「私は、フェイトちゃんのことが……大好き、です」


貰えない言葉だと、思ってた。

「大好き……なの」

貰えない気持ちだと、思ってた。


「……嘘じゃ、ない、よね?夢じゃ……ないんだよね?」
「嘘なんかっ!……つけないもん」


胸がぎゅうって苦しくて。

「……私も……大好きだよ。なのはが、大好き」

涙がぼろぼろ零れて、なのはを抱きしめたままの毛布に染み込んで行く。
それは私だけのものじゃなくて――……

「……っ、よか……た」

そのままぎゅうって抱き寄せると、なのはからもぎゅって抱き返してくれた。
腕の中にあるその温度が嬉しくて。――……どうしようもない程に、嬉しくて。

「好き、なのは。本当に、本当に……大好き」
「私も大好きだよ、フェイトちゃん。凄く大好きっ」

何度も何度も好きって言って。
お互いの肩口に顔を埋めたそのままに……少しだけ。

今までの切なかった想いを流れ出させるように、2人して声を上げて泣いた。

***

「……断られるかと思ってたんだよ。怖くて、ずっと言えなかった」
「私も、そうだったから……分かるよ。怖い思いさせてごめんね、なのは」

目じりに溜まった涙を指で掬うと、くすぐったそうに身を捩るなのは。
それがなんだか可愛くて、ゆっくりと丁寧に残らず掬っていく。

「……ん。そうだ……」

ふと、あの存在を思い出して。

手を伸ばして、一番上の引き出しから袋から出されたままのペンダントを掴む。
そのまま、不思議そうな顔をしているなのはの首元に手を回して、
そのペンダントを着けた。

「なのはに、プレゼント。……渡せないかと思ってたんだ」
「……私に?いいのかな?」

「もちろん」

急にまた恥ずかしくなって視線を反らしたまま、なのはに買ったものだから、
そう言うと、ぎゅっと抱きしめられていた腕に力を込められて。

「にゃはは、フェイトちゃん、大好き!」

真っ赤な顔のなのはが、嬉しそうに目を細めて笑ってくれた。
それが凄く嬉しくて。

「私も、なのはが大好きだよ」

そのまま恥ずかしそうに、でも静かに伏せられていく瞼の意味が分かって。
胸が破裂しそうな緊張の中、ゆっくりとその柔らかい唇に自分の唇を寄せた。

押し付けあうだけの、稚拙なキス。
でも、どうしようもないほどに本当に幸せで。


――……このままこの時間が永遠に続けばいいのにと、そう願った。

***

「フェイト、早くしないか」
「待ってよクロノ」

それから1ヶ月。なかなかなのはには会えなかったけど、それでも平気だった。
おそろいのペンダントが、私となのはを繋いでくれている気がして、
逆にその距離もまた会えた時の喜びに変わるんだからとそう思っていた。

――……でも、正直な話はやっぱり少し淋しくて。
ああ、早く会いたいな、なんて思いながらも訓練に力を入れる日々を送っていた。

そしてある日、隊に入ってから初めての昇給審査の日を迎えた。

午前に技能テストも終わり、後は翌日の筆記の試験を残すのみだった。
少し苦手なところがあると相談すると、リンディさんは「教えてあげるわ」と
なんだか物凄く嬉しそうにそう言ってくれた。

だから午後からはちょこっとだけリンディさんのところへお出かけ。

任務が控えてるから場所は私の隊室でいいかしら、そう声を掛けられたけれど
その部屋がどこにあるのか分からないためクロノに案内をして貰うことになった。

隊室は隊長格以上の騎士に1人1部屋。
場内にあると言うことで、私は初めてお城の中へと足を踏み入れることになった。

「……私ここに来て平気なのかな……」
「ボクもいるし母さんの許可もあるから平気さ」

先を歩くその背中を見失わない程度に追いかけ、きょろきょろと視線を向ける。

……うん、さすがにお城なだけあって大きい。しかも綺麗。
あれなんて見たこともない位の大きさの絵だ。……なんだか描くの大変そう。

少しだけ探検気分で廊下を歩いていると、ふいに先を行っていたクロノが
立ち止まって敬礼をしているのが見える。

慌てて自分も敬礼しようと視線を上げたその時だった。


「……え?」

信じられなかった。

――……どうしてって。
だって、ここにいるはずがないのに。


彼女がいれるはずが……ない、のに。


ぐるぐると混乱する思考が、痛みを伴って身体を巡る。
心臓が、頭が。――……焼け付くように、熱い。

目の前に居るその姿が信じられなくて。


「……なのは?……どうして……こんなところに?」

掠れた自分の声が、妙に静かな廊下に響き渡る。


今にも溢れ出そうなその蒼を見ながら身体を動かすと――……
首もとに着けていたペンダントが、耳障りなくらい無機質な音を立てて鳴った。

その音に、


永遠なんてないんだって――……そう、告げられた気がした。

---------------

【Das Resultat sagt alles ~sechs~】へ
=====
第一部完です。
あとがきは後でまとめてしますのでこのまま二部に入ります。
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プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

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