スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【Das Resultat sagt alles ~vier~】


第4話です~。なのは視点です





==========

帰り際、ふと零れたその言葉。

「……ごめんね……」

それは、何に対しての謝罪だったんだろう?

なかなか会いに来れなかったことに対して?
こんな夜中に会いに来てしまったことに対して?


それとも。

好きになってしまったことに対して?


――……あなたに、大きな嘘をついていることに対して?


きっと多分、全部。

どうしようもなかった。どうしていいかわからなかった。

会いたくて、会えなくて。
忘れたくて、忘れられなくて。

――……どうしようもなかった。

駄目なのに。
この想いは、きっとあなたを。

フェイトちゃんを――……困らせるだけなのに。

でも、もう。

止まらなかった。


大好きだよ、フェイトちゃん。

だけど。

私はきっとこの身に巻かれている鎖を、解けない。
解くことを誰からも……、許されない。

どんなに籠の中から手を外へと伸ばしても。
その手はきっと――……空を切る。


どうして。

どうして私は、「姫」なんだろう――……
どうして私は、「なのは」じゃ、だめなんだろう。

苦しいよ、悲しいよ。

フェイトちゃん、フェイトちゃん。


ただ、隣で手を握っていたいだけなのに。
一緒に笑って、お話して、お出かけして。

普通の子みたいに、そんなことをしたいだけなのに。

どうしてこんな、隠れるようにしなきゃいけないの?
どうして、堂々と会いにいけないの?

「ただ……フェイトちゃんの傍に……居たい、だけ、なのに…」

それさえも――……到底無理な夢物語。
私は、翼をもがれた籠の鳥だ。


無い翼に焦がれて。その高い高い空を見上げて。

ただ――……啼くことしか、出来ない。


-----【vier ~(Zusammenarbeit)~】-------

春になって。フェイトちゃんは予定通りに隊舎へと移り住んだ。

本当ならそのままリンディさんの家に住む、という話もあったのだけれど、
どうやら気を遣ったフェイトちゃんはそれを辞退したらしい。

――……と言っても宿舎からリンディさんの家はそんなに遠くないから
食事だけは一緒にしているみたいだけれど……。

「初めてだから、なんだか緊張しっぱなしだよ」

そう言って照れたように苦笑したフェイトちゃんの
とても嬉しそうなその表情は、今でもよく思い出す。

一人は淋しくない?
そう聞くと、リンディさんもクロノも優しいから、そうはにかんで。
……それに新しく友達も出来たんだ、と、とても嬉しそうに笑って。

「何より、なのはがこうして遊びにきてくれるから」

真っ赤な顔をして、目を細めたその笑顔が嬉くて。
――……胸がきゅうって苦しくて。でも、とても温かくなった。


場内からその隊舎は少し離れていたけれど、でも前よりはぐっと近い距離。

一人前じゃない見習いの騎士さんにはまだ謁見行為は許されていないみたいで。
だから、私とフェイトちゃんがお城で会うということは全く無い為に、
相変わらず私のことはバレてはいないようだった。

だから、相変わらずフェイトちゃんとは友人という関係で居られた。
そして夜、部屋を抜け出してフェイトちゃんの所へよく遊びも行った。

一ヶ月に1回くらい。多ければ2回。

色々お話をして、笑い合って。
――……幸せだった。凄く、凄く。

誰にも知られることはない2人だけの――……
ううん――……私だけの、秘密。

そんな月日が、緩やかに流れて。
フェイトちゃんが隊舎に引っ越してきてから、3年目の春。


いつものように部屋を抜け出してフェイトちゃんの部屋へ向かって歩いていた。
――……しん、と静まり返った場内には誰一人として居なくて。

それでも、出来るだけ足音をさせないように歩く。

月明かりを頼りに、中庭を抜けて。
しばらく歩くと隊舎の明かりが見えてきた。

いち、にい、さん。

フェイトちゃんは、4つ目の部屋。

明かりは――……まだ、点いていた。
それに安心してため息を一つ吐き、深呼吸。


コン、コン。

なるべく小さくノックを2回。
……するとしばらくして、コン、コンと向こうから2回ノックが返ってくる。

「こんばんは、フェイトちゃん!」

がちゃん、と控えめにノブをひねってドアを開くと
そこには満面の笑顔のフェイトちゃん。

「うん、こんばんは。なのは」

大きくドアが開かれて、寒かったでしょう?早く入って?と
中へ入るように勧められる。

「もう、フェイトちゃんは心配症だなぁ~」
「この時期はまだ花冷えするから……なのはが風邪引いちゃったら大変だし」

そう言って、自分の掛けていたストールを私に掛けてくれて。
ミルクでいいかな?と備え付けの小さなキッチンへと向かっていった。

「あ、気にしなくていいんだよ?フェイトちゃん」

そう言って、手伝おうと部屋へ入ったところで
……思わず息を、呑んだ。

きっと、向かい合った彼女もそうだったに違いない。

「……なんで……ここに……?」
「それはこっちのセリフ……や、で」

目の前が、真っ白に――……染まった。

「あ、2人とも初対面だよね……こっちははやて。
 私と同じ隊の副隊長さんなんだよ」

「……。」

この年でお姫様のお世話役もしてる凄い子なんだよ、
そんなフェイトちゃんの言葉は今は上手く聞き取ることが出来なかった。
いつもならフェイトちゃんから発せられる言葉は一字一句
聞き逃さないように意識を集中させているのに。

そんなことも、できなかった。ただ耳から入ったその単語は、
どうしようという思いと混ざり合って、ぐるぐる廻る。

「……彼女はなのは。……私の友達なんだ」

そんな私の様子に気づかないフェイトちゃんは、はやてちゃんに
そう笑顔で紹介をしていた。

どうしよう、どうしよう、どうしよう。

だって――……知らなかった。
フェイトちゃんが言っていた友人が、はやてちゃんだったなんて……


はやてちゃんが言葉にすれば、この関係も終わる。

今日で……何もかもが、終わって――……しまう。


――……ぎゅうっと目を瞑って。
足元から地面が崩れていくような感覚さえする中、
ゆっくりとはやてちゃんの口が大きく開かれて。

「……”はじめまして”なのはちゃん。はやて言います」

にっこりとそう言われた。


え?なんで……?
訳も分からず目をぱちくりさせている私に、はやてちゃんはウインクを一つして。

「なんやフェイトちゃん。こないな可愛い子がいるとはスミに置けんな~」
「な……っ!そそそ、そんなんじゃないよ!?」

その言葉に真っ赤になったフェイトちゃんを小突いていた。

***

「じゃあ私は明日も早いから帰るな?フェイトちゃん」
「あ、うん。そうだね」

あれからしばらく3人で他愛も無い話をしていた。

その間、はやてちゃんはずっと私のことは何も言わないで、
あくまで初対面として話をしてくれていた。

「なのはちゃん、お家はどこなん?暗いから送ってくよ?」
「あ、その……えっと……」

その言葉にあたふたしていると、ぐっと肩に手を回されて。

「……ええから……このまま外に出てな?」

ぼそ、っと耳元でそう呟かれた。


「おやすみなさい……フェイトちゃん」
「……うん。おやすみ、なのは」

フェイトちゃんが淋しそうに、笑った。
ぎゅって抱きしめたくなった。でも……今の私には、それが出来ない。

「……フェイト、ちゃん」
「うん。また、待ってるから……なのは」

ぎぃ……と扉が閉められて。
瞬間、目の前にはすっかり辺りを染めた闇だけが広がった。

しばらくぼんやりとドアを見つめていると、
はやてちゃんにゆっくりと手を引かれて。

――……ゆっくりと、部屋へと戻りだす。

そのまましばらく歩くと、繋がれたはやてちゃんの手に力が入ったのを感じた。

「……はやて……ちゃん」
「はぁ。ホンマ困ったお姫さまや……」


苦笑の次に、ため息を一つ。

「少し前からなのはちゃんが抜け出してた理由。フェイトちゃんだったんやな」
「…………うん」

しん、と沈黙に身を包まれる。
聞こえるのは、さくさくと土を踏む2人分の足跡と。

――……相変わらず困ったような、ため息。

「本当のこと……言ったんか?フェイトちゃんに」
「言ってない……」


言ったらきっと――……

「きっと、友達じゃ……いられなくなっちゃ、う……」

自分で放ったその言葉が、痛いくらいに身体を巡る。
じんじんと頭に脈打つような痺れが走り、ぎゅうっと胸が締め付けられた。

「もう、友達やないんやろ?……なのはちゃん」
「……え?」

その声に俯けていた顔を上げる。

向かい合ったはやてちゃんの顔は逆光で暗く、
その表情を上手く読み取ることは出来ない。

「……好きなんやろ?フェイトちゃんのこと」

恋する乙女の顔やで?そう笑いながら、いつものようにわしわしと頭を撫でられた。
瞬間、風が吹いて――……返し忘れたフェイトちゃんのストールが風に踊って。

……鼻腔にふんわりと、フェイトちゃんの残り香がくすぐる。


急にぐっと涙がこみ上げてきて。
それを堪えるように、そのストールをぎゅっと握り締めた。

「だって……どうしようも……出来ないもん……」

指が白くなるまでぎゅっと握ったそのストールは温かかった。

それは自分の体温が移っただけの話なのに、まるで、
フェイトちゃんの腕の中に居るような錯覚さえ覚えて。

――……指が、固まってしまったように、そこから離せない。

「……どうにもっ……なら、なっ」


その叫びは、嗚咽へと変わって――……形になる前に消えていく。
さわさわと吹く風に、吹き消されていく。

まるであの日の謝罪みたいに。


「……なのはちゃん。私な?」

カチカチと震えるその手が、ゆっくりと暖かい手に包まれた。
ぎゅうっと握られたその指を丁寧に一本一本外されて。

手のひらについた爪あとを、ゆっくりとなぞられていく。

「……私は、なにがあってもなのはちゃんの味方や。フェイトちゃんの味方や。
 だから自分で壁を作ったらあかん。誰かが文句言うんなら私が、
 私の隊が全力で2人を守ったるから」


その目は、とても同い年の子とは思えないくらいに、強い意志を持って煌めいて。
また――……ぎゅうっと胸が締め付けられた。


「……自分から籠の中の鳥になったらあかんよ、なのはちゃん。
 その想いを閉じ込めたら絶対にあかん」

頭をゆっくりと撫でるその温度が、痛いくらいに優しくて。
――……涙が、止まらなかった。

「……好きになって、いい、のかな……私…でも。……なのは、でも」
「ええに決まっとるやないか。そんなの当たり前や」


繋がれたその手が、温かかった。
放たれたその言葉が、暖かかった。


誰にも許されない想いだと思ってた。

絶対に絶対に。


誰にも許されないと思ってた。
籠の中の鳥でなければいけないと、そう思い続けていた。

だから、その言葉が。温度が嬉しくて。

どうしようもないほどに――……嬉しくて。


私はそのまま声を上げて


――……しばらく、泣いた。

---------------
【Das Resultat sagt alles ~funf~】へ


次回で「一部完」となります。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
一報を頂けると管理人が喜びますw

【ご注意下さい】
当サイトにて掲載されているイラスト
または、テキストの無断転載・使用は禁止とさせて頂いております

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
カテゴリー
メールフォーム
何かありましたらどうぞ。

名前:
メール:
件名:
本文:

捕捉サイト様
イラストサイト様
SSサイト様
お世話になります
最近のコメント
FC2カウンター
その他
RSSフィード
By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。