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【Das Resultat sagt alles ~drei~】


第3話です~。フェイト視点になります。






==========

ころころと表情豊かに変わるその横顔と。
その、深い綺麗な蒼い瞳。

――……初めは可愛い子だなって、思った。

ただ、それだけだった。


その子に、友達になろうって――……言われた。


その見つめられた視線に、ドキドキして。
……なんだか胸の奥がきゅうって……苦しくなった。

初めての、友達。
嬉しかった。凄く――……凄く、嬉しかった。

ドキドキとうるさいくらいに早鐘を打つ心臓の音が、なんだか妙に耳について。
少し離れたところで寝ているその子にも聞こえちゃうんじゃないかなって。

変に思われちゃってたらどうしようって……
そう思ったら、なかなか眠りにつくことができなくて。

――……でも。
眠りにつくまでのその時間は、決して嫌じゃ……なかった。

温かい気持ちが胸の奥からどんどん湧き上がってきて。
収まり切れないその気持ちが胸の奥から零れちゃうんじゃないかって、考えて。

――……そしたら急に、それが怖くなった。
だから胸を両手で押さえて、出来るだけ丸くなって眠った。

零れ落ちることなんてあるはずないのに、なんて。
今でこそ、そう思うけれど。あの時は本当にそう思っていた。

初めての気持ちだった。

よく分からないけど……嬉しいような、ちょっぴり切ないような。
でも、私にも「友達」が出来たんだ、そう思ったら凄く幸せで。


だから――……なのかな?

朝、ばいばいって手を振って……ドアの向こうへと消える君のその手を
思わず握り締め……引き止めてしまいたくなったのは。


傍に居て欲しいと――……強く、願ったのは。


-----【drei ~(Bewusstsein)~】-------

あれから……気がつけば、もう3ヶ月という期間が過ぎていた。

私はといえば、いつもと変わらない日常を過ごしていた。
朝起きて、皆でご飯を食べて。そしてアルバイトをして、パンを買って帰って。

その中で変わったことと言えば――……

帰る際にいつも曲がる道よりも一本前の道を曲がって帰るようになったこと。
その途中、ぽつんとある街灯の一つをじっと見つめてしまう様になったこと。
そして――……寝るときには丸くなって寝るようになったこと。

ああ、まるで君を求めて探しているみたいだ、なんて。
――……そんなことを考えて、思わず苦笑してしまったのは
一体……いつのことだったろうか。

それさえも、もう――……わからない。

なのはに会いたいって。

そう思ったその瞬間、きゅうっと痛んだ胸を押さえるようにして。
丸くなって横たわったベッドの上で――……声を押し殺して少しだけ、泣いた。


皆が居てくれる。リニスが居てくれる。
でも――……淋しかった。なのはに会いたかった。

……こんなの、なんか変だ。

気を抜けばいつもぐるぐると廻る、そんな考えと。胸を穿つ、その想い。
それがどうしようもない程に――……切なかった。

「なのは……」

もう幾度目になるだろう、縋るように呟いたその言葉。
……返事なんて、ある訳ないのに――……

ぎゅうっと目を瞑って、無理やり視界を闇へと投じる。
ああ、ダメだ。明日も朝からバイトがあるのに――……

そう考えて、部屋の電気を消そうとした――……その時だった。


コン。


どこからか、小さな音がした。
何だろう?そう思って部屋にぐるりと視線を巡らせる。

うん……特に変わりは、ない。いつもの私の部屋だ。
もしかしたら窓に飛ばされた葉っぱか何かが当たったのかも知れない。
そう考えて、蛍光灯の紐に手を伸ばすと、また コン。 とする、その音。

――……今日ってそんなに風、強かったっけ??

首を傾げながら窓へと手を伸ばし、大きく開け放つ。
仰ぎ見た視界の先には、雲ひとつない澄んだ空。

「……いつの間にかこんなに空が高くなっちゃったんだな……」

その言葉と共に吐き出された息は視界を白く彩り、
ひゅうっと吹いた風に流されて一筋の帯を作り出していく。


ああ、そういえば。
ここから望む空が見ることが出来るのも――……あと、少しなんだな。

ふと胸を押さえていたその右腕を、ぐっとその空へ伸ばした。
何かあるわけでもないけれど、それを掴むようにぐっと手を握りしめて。

また――……風が、吹く。

もう寝ようと思っていたため、いつものツインテールを下ろしたその髪は
肩口から滑り落ち、ざぁっとその風に撫でられて空中へと舞うように踊る。
瞬間、視界がその金色に染まって――……

――……そして。


「フェイトちゃん」

優しいその声に――……泣きたく、なった。

「……なの……は?」

夢じゃないかって。
会いたいって願った私が作り出した幻じゃないのかって……。

「こんばんは、フェイトちゃん」

窓から見下ろしたその視線の先には、ちょっとだけ照れた笑顔のなのは。
いつからそこに居たんだろう?その頬はこの寒さのせいか少しだけ赤かった。

「なのは……っ!!」

ぐっと窓枠を掴んで、そのまま身を乗り出す。そのことに
慌てたようなその表情を視界に捉えたそのままに、なのはの所へと飛び降りた。

「え……ちょ……っ!ふぇ、フェイトちゃん!?」

たん、と右手を地面に着いて。そのまま勢いがついてよろけそうな身体が
すぐに温かい腕の中に包まれた。瞬間、鼻腔をくすぐる甘い匂いと――……

「もうっ、怪我したらどうするの?フェイトちゃん」

眼前に広がる、深い深い、優しい瞳。
月明かりだけの真っ暗な夜の闇の中で、その蒼だけが煌めいて。
――……辺りに色を付けていく。私のセカイが蒼に、染まる。

「……会いたかった」

私の身体を包み込んでくれているその背中にぎゅっと腕を回すと、
抱きしめられていた腕に、ちょっとだけ力が篭るのを感じた。

「うん……ごめんね、中々会いに来れなくて……」
「ん……」

それから少しだけ、私達はそのままでいた。
身を包むのは柔らかなその温度と しん、とした静寂。

聞こえるのは――……いつもより早い私の鼓動と、
それと同じ位に早い、なのはの鼓動。

ゆっくりと繰り返される呼吸音と、風に撫でられて歌う木の葉。

少しだけ上気した私の頬を、二つに結わかれたその亜麻色の髪が撫でる。
それは吹かれた風に踊り、私の髪もそれに導かれるように空中で踊る。

……なんだかそれはまるで、ダンスでもしているかの様にも見えて。

亜麻色と金色が混ざり合うその世界の中で、見えるのは君の笑顔だけ。
嬉しそうに細められたその優しい目に、心臓がどくん…と――……跳ねた。

衝動的に更にぎゅうっと抱き寄せて、その肩口におでこをくっつける。
伝わるその温度が心地よくて――……幸せだった。

しばらくして、なのはのおでこも同じように私の肩口へとくっつけられて。

「フェイトちゃん……会いたかったよ……」

その切なそうな声に――……胸が、締め付けられて。

「うん……」

――……そのままゆっくりと腕を離すと、つられる様になのはの腕も解かれて。

なんだか急に恥ずかしくなって誤魔化すように頬をかくと、
同じように真っ赤な顔をしたなのはも、照れたようにはにかんだ。


***

寝ている皆を起こさないように音を立てずゆっくりと部屋へと戻って。
すっかり冷えてしまった身体を温める為にキッチンでホットミルクを2つ用意し、
部屋へと戻ると、そこには――……懐かしそうに部屋を見渡しているなのはの姿。
まだ3ヶ月しか経ってないのに、と可笑しくなったけど……

――……自分の今までの行動を思い出し、”しか”じゃないなと苦笑した。

「……でも、よかった。もう会えないかと思ったんだ……」
「どうして?必ず会いに行くって言ったのに~」

その言葉に、ぷうっと膨れるなのは。だって私、なのはの住所とか
聞いてなかったんだもん、そう言うとあぅ…と困ったような声が聞こえてきた。

「それに……私、引っ越しちゃうから」
「……え?」

大きく見開かれたその目。
それが少し悲しそうに揺らめいて――……ゆっくりと瞼が伏せられていく。

そのことにまた――……胸が、きゅうっと痛んだ。

「……春からは、お城に行くんだ」
「え?……お城?」

「うん、私……軍隊に入るから。隊舎住まいになるんだ」

あと、片手で数えられるくらいの月日。
隊舎がどんなところかよく分かってないけれど、もしかしたら
今度こそ本当にもう二度となのはと会えなくなるのかもしれない。

……それが……どうしようもないほどに、悲しかった。

「……どこの隊舎なの?」
「まだ決まってないんだけど……総指揮官さんのところにお世話になると思う」

そう言うと、そっか、と納得したようななのは。

「リンディさんのところだね。……じゃあ、特殊護衛部隊かな」
「……え?」

……なんで……なのはがそんなこと、知ってるの?

その瞬間に――……何かが、引っかかった。
――……でも、それも本当に一瞬のこと。

私自身、ちょっと世間ずれしている傾向があることを自覚していたから、
ああ、そっか。有名な人みたいだから結構一般の人にも知れ渡ってるんだなって
――……何も知らない自分にちょっとだけ、恥ずかしくなった。

「また……会いに行ってもいい……かな?」
「うん、なのはさえよければ……会いたい」

きゅっと手が繋がれて、私も繋ぎ返して。

「……もう……帰らなくちゃ……」
「………そっか……」


その言葉に――……また、胸がきゅうって苦しくなった。
なんだろう……いつもの私じゃないみたい。

さっきまで胸に溢れかえっていた幸せが、零れていく。

……友達になるって。友達といるって。
こんなにも幸せなんだって――…今まで、知らなかった。

……友達と別れるって。離れるって。
こんなにも切ないんだって――……今まで、知らなかった。

ああ、友達ってこんなにも大きい存在なんだなって、知らなかった。

一人しかいない友達でこんなに苦しくて切ないなら、沢山友達がいる子は
会うたびに、離れるたびに、こんな気持ちになっているのかな?

それは――……うん。本当に凄いなって思う。


「……暗いよ?一人で大丈夫なの?」

入り口まで見送ると、相変わらず辺りは深い闇色で。
女の子一人じゃ危ないかも知れない、そう思って声を掛けると、

「ううん……えっと…お家の人が、迎えに来てくれるから。大丈夫だよ」

そう、笑って。

「――……そっか」

――……繋がれていた指が、外されていく。
この前と同じように一本一本、ゆっくりと。

その離れていく温度を捕まえたくて。伸ばした指先を
――……なのはの手に触れるその前に、ぎゅっと握り締める。

「今日は来てくれてありがとう、なのは」
「ううん、私の方こそ。こんな遅くにごめんね」

いや、全然いいんだよ、と返して。
またよければ来て欲しい、そう言うと嬉しそうに微笑むなのは。

「じゃあ、お休みなさい……フェイトちゃん」
「うん、おやすみ。なのは」

またざぁ……っと、風が吹く。

瞬間、何かなのはが呟くような声が聞こえたけれど――……
その声は風にさらわれてしまい、私の耳に届くことはなかった。

「……なのは」

今日はなのはと会えて、本当に嬉しかった。

でも、それ以上にさっき離れたばかりなのにもうこんなに――……苦しい。
どうしようもないくらいに。切ない。

「……どうしちゃったんだろう……私」

初めての思いに戸惑って。
混乱した思考もそのままに、ぼふん、とベッドへ身を預ける。

――……部屋に少しだけ残るなのはの香りに、胸の奥がじんわりと温かくなった。


もうウチには着いたかな?
身体は冷えてないだろうか?

風邪とか引かないといいんだけど……


そんなことを頭の片隅で思いながら、ゆっくりと瞼を閉じて。

「おやすみなさい、なのは」

浮かび上がったなのはの笑顔にちょっとだけくすぐったくなりながらも、
訪れた睡魔に身を委ねて。

今度はいつ会えるかな?


そう楽しみに思いながら、

緩やかに眠りの淵へと落ちていった――…… 

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Author:汐薙
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魔法少女リリカルなのはで活動中。

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