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【Das Resultat sagt alles ~eins~】


長編始動~。第1話です。






==========

曇天の空は、本当にいつも私が見上げていたそれなのかと
思ってしまうほどに薄暗く、もの悲しかった。

辺り一面は妙に しん、と静まり返っていて――……
まるで降り積もっていく雪片の音まで聞こえてくるかのようで。

……自分の吐く呼吸や心臓の音が、うるさい位に大きく感じられる。


『フェイトちゃんは雪、好き?』


ぼんやりと降り注ぐその雪を見上げていると、その一片の雪が頬へと触れる。
その瞬間に……ふと、優しいあの声が甦ってきた。

「……なのは」


『う~ん……。嫌い…では、ないかな?…なのはは?』
『私は雪、好きだな~。だって……』


――……そう言えば、あの日もこんな雪が降っている夜だった。

「なのは……なの、は……」

ああ、私はどうしてこんなにも君を求めてしまうのか。


もう駄目なのに。

私にはそんな資格なんて初めからなかったのに。


どうして、どうして。

――……一体、どうして。


『だってね、えっと……ね』
『うん、ゆっくりでいいから落ち着いて?…ね?』


瓦礫の壁にもたれ掛らせていた上半身をぐっと起こすと、
わき腹から、鋭い痛みと……ぬるっとした体温が流れ出すのを感じた。

そこを押さえつけていた手を外し、何かに縋るようにそれを空へ突き上げると
今までその手のひらを染めていたそれが、ゆっくりと腕を伝って。

――……雪とは違う……温かいものが降りかかるのを、頬に感じた。

何もかもを真っ白に染めあげたその景色の中で、一輪だけ咲く……真っ赤な花。
その花は風に撫でられて散り、降り積もった雪の上にその花びらを落としていく。

もう……駄目なんだ。終わるんだ、なにもかも。

これでいい。これで……いいんだ。
――……私がいなくなれば、この戦争も終わる。

幸せが戻る。なのはが笑ってくれる。


『あの……ね。こうやってフェイトちゃんとくっついていられるもん』


……消えたく、ない。

いやだ、いやだ、いやだ。
なのはがいるこの世界から消えたくない。

だめだ。だめなんだ。

みんな私のせいなのに。


なのはが好きだった。守りたかった。傍に居たかった。

ただ、それだけだった。


なのに。


私は、その資格すら持っていなかった。

全て。何もかも。

女の子同士とか、騎士と姫とか。
そんなのは全然関係なかった。

だって私は。


私、は――……


『にゃはは、フェイトちゃん、大好き!』


「っく…、ぁ……なの……は」

最初から何もかもを知っていれば、出会わなかった。
出会っていても、恋に落ちたりしなかった。

好きになんて。……ならなかった。


……何を言ってるんだろう……私は。
そんなのは無理なのに。そんなの自分でも分かっているのに。

君に出会って。名前を呼ばれて。

――……その瞬間には


『私も、なのはが大好きだよ』


もう、君に恋をしてしまっていたのに。


-----【eins ~(Schicksal)~】-------


私には、小さい頃の記憶はほとんどない


……小さい頃、と言っても3歳くらいまで。
それでもそのことに困ったことなど、今まで生きていて何一つなかった。

物心ついたときから私は施設にいたし、そこにいた施設長は誰よりも優しかった。
そんな彼女を、私は本当のお母さんのように慕っていた。

それでも施設にいられるのは10歳までと決められていた。

難しいことはよく分からなかったけれど、ほんの数年前まで起きていた
隣国の戦争の煽りで、この国へと助けを求めた戦争孤児の数は多かったらしい。

なるべく受け入れはしていたものの、施設もそんなには数が多くないために、
ある年齢になればもう社会に出す、と言うのは仕方のないことだった。

そんな話を施設長から聞き、きっと私もその戦争孤児に違いないんだな、と
幼いながらに思ったのを今でも覚えている。

……もっともその頃は、それが何を意味するのかも分かっていなかったけれど。


そんな幼かった私も、一応来年で10歳となる。

だからそろそろ行く先を決めなければいけないのが普通なんだけれど……
私の場合はもう、それもすでに決まっていた。

来年からはこの国の顔とも言えるお城に住むことになっている。
お城、というか……実際には場内にある隊舎に、なんだけど……。


もともと私は魔力資質、というものが他の人よりもずいぶん高いらしい。

施設内にいる子供のデータを集めていた際、どうやら測定されたその数値が
異常だったらしく、軍の指揮官長という偉い人がわざわざ尋ねてきたのが半年前。

「フェイトさん、どう?ここを出たらウチの軍隊に入ってみないかしら?」

とても軍人とは思えないような、にこやかな笑顔の女性にそう言われて。
……特に行く宛も無かった私は、二つ返事でそれに答えた。

そうして軍隊とはどんなものなのか、と何度か見学をさせてもらっているうちに、
まだ小さい私を心配したその女性に「隊に入る際にウチの養子にならないか」と
尋ねられたのは、3度目の見学の際のことだった。

嬉しいような、くすぐったいような……そんな気持ちが胸の中に溢れかえる中、
なんだか紅潮した頬が恥ずかしくて。

それでもその頬を隠すことなく、その言葉に頷いた。

***

「わ……、すっかり遅くなっちゃった……」

新聞配達のアルバイトの後で、頼まれていた買い物を終えた頃には、
いつの間にか辺りは真っ暗になっていた。

原因は他でもない、一枚のポスターを見ていたせいなんだけれど……。

いつものパン屋さんでみんなの分のパンを買い、さぁ帰ろうかと
ドアをくぐったところでふとそれを見つけてしまったのだ。

[お姫様の誕生日のパーティーを開催致します]

それはとても大きい字で書かれていた。
……どうやら来月はお姫様の誕生日らしい。

内容は、お城でパーティーを開くから皆さん遊びに来てください……とのこと。

なんとも庶民に開放的なものだ。
……そこが国民から絶大な信頼をおかれ、愛されているという話だけれど。

――……でも……う~ん。
お姫様か……一体どんな人なんだろう……


そう思いながらぼんやりとそのポスターを見ていて。
そして……今現在に至ってしまった、と言うわけで。

「皆お腹すかせてるかも」


慌てて持っていた袋を胸に抱え、レンガ張りの道路を駆け抜けていく。

――……ここから施設までは15分以上かかる。
まともな道を帰ったら7時は過ぎてしまうかも知れない

少しでも早く帰るために裏道を行こうと、いつもより一本前の道を曲がる。

街頭があまりなくて暗いけど、この街は比較的安全だし、何より長年
やっている新聞配達のおかげで「勝手知ったる自分の庭」みたいなものだ。

スピードもそのままにぐっと角を曲がろうとした……その時だった。
ぽつんと立っている街灯の下に、じっとしゃがみこんでいる女の子の姿が
ふいに視界の端へと映りこんだ。

……見かけない子だ。どうしたんだろう?迷子なのかな?

「どうしてこんなところで一人でいるのかな?」

ゆっくりと近づいて、驚かせないように柔らかく声を掛けると、
膝に埋められていた顔が上げられた。

「……えっと、ちょっと迷っちゃって……」

困ったようにはにかむその女の子は、私と同じ位の年齢のようにも見える。

「……お家はどこなのかな?」
「…………」

その答えに困ったように眉を顰め、ゆっくりと顔が横に振られた。
……もしかしたら分からない位遠くから来ちゃったのかな……?

「……もう真っ暗だし……とにかくこんなところにいたら危ないし……」

どうしたものかと、うんうんと唸っていると、その子に服の裾をきゅっと
摑まれた。……その顔はなんだかとても不安そうで。

「えっと……とりあえずウチに来る?連絡すれば迎えに来てもらえると思うよ?」

そう言って手を差し出すと、その差し出された手と私の顔を何度か見比べていた
その子は、おずおずと手を伸ばし、私のその手をぎゅっと握り返した。

「じゃあ行こうか。」
「うん」

その手は私より少しだけ小さくて。
……でも、なんだかとても暖かい。

誰かと手を握るのが初めてだから、なのかも知れないけれど。
――……繋がれているその手の温度に


なんだか妙に、ドキドキした。

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