スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【Fuzzy Navel 最終話】


Fuzzy Navel 最終話です。



今まで本当にごめんね、なのは。

でも、これだけは、言わせて?



これからもずっと、大好きです。


君だけを、大好きです。









【Fuzzy Navel 最終話】







ぐっと握りしめたままの手が、震えている。
それがどちらのものなのか分からずに力を込めると、華奢な背が震えたのが分かった。


「フェイトちゃん、痛い、よ」
「……っ、ごめ……」


咄嗟に掴んでしまったそれを、慌てて離す。
目の前の背は今だこちらに向けられたままで、俯いたままなのはが小さく息を吐いた。

その身体ごと抱き締める。すると、戸惑うように肩が跳ねた。


「……急にこんなことされても、困るよね」


返事は、なかった。


明確な拒絶。――僅かに疼いた胸の内。
初めから分かっていたことだ。

ごめんね、でも、これで最後だから。
抱き締める腕に力を込める。


(……あぁ)


細くて軽い、華奢な身体。
緩やかに上下する呼気が彼女の生命を息吹かせて、それさえも愛おしいと思った。

彼女は自分の事をそうとは思っていないのだろう。
けれどそうでなくても、彼女は私に情を寄せてくれた。笑顔をくれた。
彼女が彼女たる全てが愛おしく、それは私が初めて感じることが出来た”愛”だった。


(だからこそ、言わずに逃げちゃ、だめなんだ)


薄く開いた唇が、恐怖に戦慄く。
むき出しの心を見せることはこんなにも恐ろしいものなのかと思った。

同じ立場になって、初めて分かる。

今までそれを見せてくれた子達に、自分はなんて態度をしてしまっていたのか。
今になってその後悔の念が押し寄せ、瞳を閉じる。


「少しだけだから。もう。本当にこれで最後だから。……このまま、聞いて?」


暗くなった視界に映り込むのは、いつだって彼女の笑顔だけで。
怯みそうになった心を、奮い立たせた。


(……ごめんね)


告げるのは、ただの自己満足に過ぎなくて。
きっと彼女を、なのはを困らせるだけなんだろう。

そうと思えば堪えてしまえばよかった。
秘密裏に押し込め、ずっと友達だと笑って隣にいればよかった。


でも、できなかった。

どれだけ隠し通しても元に戻れないというのなら、せめて伝えたかった。
この想いと、そして。


「私はね。……なのはが、好きなんだ」


飲み込んできた想いは膨大すぎて、とても好きなんて言葉には乗せきれなくて。
それしか知らない自分に歯がゆさを覚えながらも、ありったけの想いを込めて告げた。


「ずっとずっと、好きだった」


やはり返事はなく、なのはは黙って俯いているばかりだった。
どう答えていいのかわからないんだろう。

やはり、困らせてしまった。
その事実が、どうしようもないほどに胸を痛ませる。


「……ごめん。今までずっと、君を騙してた」


君に逢えて、本当によかった。
ありがとう。――なのは。


「ごめんね、なのは。こんなこといって。……だけど、どうしても伝えておきたかったんだ」


開放するように、抱き締めた腕を解く。
なのはの身体がふらりと傾いて、細い指がドアノブを握りしめた。
開かれたドアの向こう、なのはの姿が光の中に吸い込まれていく。


それを笑顔で見送ろうとしても、溢れてくるのは笑みではなく涙だった。
頬を伝う涙を誤魔化したくて俯く。瞼を閉じると、今度こそ完全にドアの閉じられた音が聞こえて。
ごちゃまぜになった色んな想いが胸をかき乱し、喉を詰まらせた。


(……ああ、いっちゃった)


こうなるって、わかってた。
きっともう、なのはには二度と逢えないかもしれない。


「…………、」


これでよかったのか。
後悔だけが、溢れていく。


(初恋が甘いなんて、嘘だ)


苦しくて。切なくて。
哀しいだけだ。


なのに、なんで。
それでも。まだ、こんなにも愛おしい。


























「フェイトちゃんは、”こんなこと”だなんて思うの?」
「…………え?」


聞こえるはずのない声。
弾かれるように顔を上げると、そこにはいつもの蒼い瞳があった。

なのはは、困ったように、笑っていた。


「こんなことじゃ……ない。大事な、ことだよ」


近しい距離の身体を抱き寄せる。
ぎこちなく腕を回すと、なのはは前ほどには拒絶の色を見せなかった。

何か、言葉を待つようで。
それでいて、何かを言いたくてたまらないようで。


「…………ぁ」


けれど未だに奥底にちらつくあの影を気にし、身体が芯から震える。
嬉しそうな笑顔。向けられた先の男の子。

彼じゃないにしても、なのはが愛した誰か。


「君を大事にするから。……誰よりも、絶対に大切にするから」


――ねぇ、なのは。

誰も好きになったことのない、欠陥だらけの私だけどね。
それでも誓えることが一つだけあったんだ。


「……前の人よりも、もっと、大切にするから」


ぽたり、と。伝った涙を細い指先が拭う。
それはとても優しくて、けれど今はその意図もつかめずに掴むこともできなくて。


どれほどそうしていただろう。
なのはは変わらず眉を下げ、静かに口を開いた。


「……あの人とはもう、とっくの昔に別れたよ?」


フェイトちゃんも知ってるでしょう?
その問いに視線を下げれば、なのはは不思議そうにそれを追った。
向けられたのは、自身の指先。そこに光る銀の輪。

ずっとずっと、私が留められていた、それは。
相変わらず綺麗な光を放ち、目の前に在った。


「……もらったものでしょう?」


なのはが頷く。
けれど違う、と。何度も首を振って。


「あの人からじゃ、ないよ」


そう言って、なのはは笑った。
ほんのちょっとだけ、寂しそうに。

それで。――ふっ、て。瞼を閉じた。


「……フェイトちゃんだけは、絶対に好きにならないんだって、決めてたのに」
「どう、して……?」


後頭部を殴られたようなショックだった。
それほどまでに彼女に嫌われていたのだろうか。

ふらついた視線で見やると、そうではないと首が振られた。
どうしようか困ったように逡巡した瞳。答えを求めるようにやっとのことで視線を合わせると、
どうしてだか今度はなのはが辛そうに瞼を伏せた。


「……大好きな友達の、恋人だから」
「…………………………え?」


たっぷりと間をおいて、やっとの事で声を出す。

恋人?……一体誰の事だろう?訳もわからずに目を白黒させるばかりだ。
そんな私に業を煮やしたのか、なのはがちょっと言い難そうにはやての名を告げた。


「だって。フェイトちゃんは、はやてちゃんとお付き合いしてるんでしょう?」
「…………な、なんでそんなことになってるの?」


どうしてそんな誤解をされてしまったのだろう。

とんでもないほうから飛んできた剛速球に、緊張が走っていた身体から一気に力が抜ける。

幼馴染故に共に行動することが多く、元々間違えられやすい仲ではあったけど。まさかなのはから言われるとは思わなかった。
言われるたびにはやては嫌そうな顔をしていたから、なのはからだなんて告げたら今度こそ泣いてしまうかもしれない。
いや、むしろ怒られそうだ。主に私が。

……それはさておき。


「ありえないって、なのはも知ってるでしょう……?」
「そんなこと、ないもん」


どう言っても信じてくれないようだ。
……でも、こうして気にしてくれているということは、ひょっとしたらなのはの気があるのではないだろうか。


「お願い、信じて」


急に開けた光明に縋って。
落とされた糸を切らない様に手繰り寄せ、必死に言葉を紡ぐ。


「愛してる、なのは」


まるで、だだを捏ねる子供みたいだ。

周りから囃される所謂”クールな私”なんて姿微塵もない。
自身で見ても情けない告白だったと思う。


だけど。


返されたのは、甘い唇。
そして、今まで見た中で一番嬉しそうな、なのはの笑顔だった。







END。








⇒【Fuzzy Navel エピローグ?】
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
一報を頂けると管理人が喜びますw

【ご注意下さい】
当サイトにて掲載されているイラスト
または、テキストの無断転載・使用は禁止とさせて頂いております

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
カテゴリー
メールフォーム
何かありましたらどうぞ。

名前:
メール:
件名:
本文:

捕捉サイト様
イラストサイト様
SSサイト様
お世話になります
最近のコメント
FC2カウンター
その他
RSSフィード
By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。