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童話パラレルでも、



今日は息抜きシリーズ第3弾。童話パラレル!なんですが。
悲恋です。報われないにもほどがあるだろう的な。すみません、たまに書きたくなります。
久しぶりのSSなのに悲恋とか正気の沙汰か。もしかしたら改訂するかもしれません。

そんなわけ(?)で元は人魚姫です。雪の女王とどっちか悩んだのですが、某ボカロ曲を聴いていたらスコンと。
ルカ様大好きです。

フェイト→なのは

まったく幸せではないので、そういうのが苦手な方は申し訳ありません;



大丈夫!という方は、続きよりどうぞww



手の中に残るは、泡一つ。
身じろぎすれば割れてしまいそうなほど脆いそれを抱きしめて、零れる嗚咽を噛む。
手のひらで触れた、慣れない肌の感触も。泣くように笑った、あの時の笑顔の意味も。
またきっと会えるから。そう笑った君が、言葉とは裏腹に抱きしめた腕を離そうとしなかったその理由も。

――私は、何一つとして知らなかった。

あれが最後だと解っていたなら。
私は決して、君を離さなかったのに。



【泡になれない人魚姫】



仰ぎ見た空は、いつもと変わらず光を混じらせながら静かに揺らめいていた。
吐き出された気泡がこぽり、と小さな音を立てる。どんどんと浮かび上がり、はるか遠くに滲んだ月を割った。
その様子をぼんやりと映しこんでいると、静かな声で名前を呼ばれて。振り向けば、そこにはいつもの笑顔。
亜麻色の髪と、この空のように蒼い瞳。何か嬉しいことでもあったのか、先ほどからふりふりと尾が揺れている。

月明かりを弾いた鱗がきらきら光って、まるで宝石のようだと思った。
けれど触れればきっと柔らかいし、規則正しい脈だって感じるはずだ。
私と何一つ変わらない。姿なのに。全然違うと思う。

それは恋するもんの色目や。――そう苦笑いを交えたいつかの親友の言葉を思い出す。
反論したい気持ちはあったけれど、本当のことなので口を噤むばかりだ。

小さい頃からの幼馴染で、親友。ただそれだけの私たち。
今だって、彼女にとってはただのお散歩でしかなくて、デートだと一人浮かれているのは私だけなんだろう。

ゆらり。ゆらり。

なのはによって揺り動かされた水は、まるで手のひらでなでられるかのようで。くすぐったさに肩をすくめた。
どうしたの?柔らかく声をかければ、なのはは一層笑みを深くした。可愛い。心からそう思う。
なのははいつだって無邪気だ。


《あのね、フェイトちゃんって、好きな人、いる?》


昔に告げられた言葉を思い出す。途切れ途切れではなく、好奇心の塊のようなそれを。
そう、なのははいつだって無邪気だ。――だから、私には絶対に言えない言葉を言える。
ううん。違う。なのはは何にも悪くないんだから、こんな言い方は違うんだ。悪いのは私だ。


《うん、……いる、よ》
《え!?だれ?どんな人なの??》
《それは……ないしょ、かな》


君だ。言えない言葉を笑顔で飲み込む。

恋の仕方なんてあの頃は知らなくて、だからいつの間にかこうして無防備に恋に落ちた。
友愛が愛に変わったところで友だちという関係が変わらないなら、一体それ以上に変わるものがあるのだろうか。
何もない。ずっと友だち、昔にそう交し合った約束が残るだけ。それなら。


《フェイトちゃんの、いじわる》

「あ……」


あの日の表情とは全く違うのに、目の前の表情にその色が混じったようで。覗き込む。
うん?不思議そうに傾げられた頭をそっと一撫ですると、ふにゃりと頬が紅潮し緩んだ。


「ううん。今日は特別嬉しそうだな、って」
「あ……にゃはは。わかる?」


笑って。それから。



「あのね、私、好きな人が出来たんだ」
「…………え」

頭を撫でていた手を、弾かれるように離す。
向けられた瞳は先ほどと同じまま。もう一度、なのははゆっくりと口を開いた。


「好きな人が、できたの」


誰とかどうしてとか。言いたいことはいっぱいあった。いつも一緒にいたはずなのに。
けれど想いとは裏腹に、口はその時を待っていたかのように勝手に動いた。


”オメデトウ。オウエンスルヨ。”


ありがとう。なのはが笑って。嬉しそうで。嘘じゃなくて。ただ、ぐるぐると、思った。
ああ、本当なんだ。君を守るのも、傷つけることですらも、私ではない誰かなんだ。


「本当に、よかった、ね。なのは」
「ありがとう、フェイトちゃん」


柔らかな言葉の壁に包まれて、息が止まる。
そうか――これが、絶望なのか。






 ◇





「……っ、は」


それから間もなく。聞かされたのは、信じたくもない話だった。
真偽を確かめたい一心で、尾びれで懸命に水中を叩く。


「どうして、」


遥か海の底に居るといわれるその魔女は、どんな願いも叶えてくれる。そんな言い伝えが昔からあった。
けれど近寄ることはしなかった。噂だと思われたし、何よりその願いの対価が恐ろしいものだったからだ。
怖いねって言い合っていた。絶対近寄らないようにしようねって。


《フェイトちゃん、落ち着いてな。――なのはちゃんが、》


それなのに。どうして。
それが真実だと言わんべく、訪れた屋敷で出迎えた老女は笑った。



《ああ、あの子かい。確かに来たよ、馬鹿な子だ。……人間なんぞになりたいとはねぇ》


何度も首を振る。違う。なのはじゃない。そう信じて。
やっとたどり着いた天を突き破ると、そこには見たこともない光景が広がっていた。
私がいつも見ていた空よりももっと蒼く、広い空。滲みの一切ない、熱さえ感じられる大きな太陽。
眩しさに目を細めながら、人間に見つからないように海岸をなぞる。すると、中ほどに亜麻色を見つけた。

見間違えるはずがない。――なのはだ。

急いで近づくと、私に気づいたのか笑みが向けられた。それは、ひどくぎこちなくて。
視線をずらす。あの美しかった宝石のような桜色の鱗、たなびく絹のような艶やかな尾びれ。――もう、何もない。
それらの代わりに、華奢な見慣れない肌色が覗いていた。前に比べその居姿はひどく弱々しくて。
立ち上がろうとしても上手くいかないのか、手のひらが砂を掻いた。陽の下に晒された肌は、それでも綺麗だった。
一糸まとわないその姿を誰かに見られたくなくて、上着を脱いで羽織らせる。

笑いに似た息が零された。


「……なのは」


何度見ても、尾はなかった。
思い知らされて。泣きたかった。

どうして何も言ってくれなかったんだろう。どうして。


「……なのは。どうして」
「………」
「なの、は?」


ぞわり。嫌なものが背を走る感覚に押されるように、波打つぎりぎりまで近づく。
柔らかな桜色の唇に触れると、嫌がるようになのはが腕を握った。それを押さえ、そっと力を込めて押し開いた。


「――っ、ああ……ぁ」


ぼろぼろと涙が溢れて。滲む。
掠れた声で告げられたのは、地を歩く足の変わりに求めた対価。
どんなに痛かっただろう。苦しかっただろう。震える腕で抱きしめる。

――どうして、どこまでここまでして。
思い当たったのは、一つの想い。


「なのはが好きになったのって……人間、なの?」
「…………、」


なのははただ困ったように笑った。
頬に触れたままだったてのひらがそっと包み込まれる。導かれるようにして、元は尾だった足に触れさせられた。
柔らかくて、暖かい。優しい温度だ。だけどもう、なのはは人魚じゃなかった。人間だった。

私の想いが解ったのだろう。苦しそうに顔が歪む。
それに見ないふりをして。本でしか見たことのないそれを、指でなぞる。柔らかい皮膚の下、固い骨の感触。
太ももから曲線をなぞり、丸みを帯びたかわいらしい膝。そしてふくらはぎから足の甲へと。

それは、私が知るはずもなかったなのはの姿。
………天秤にかけられた。そんなことは思いたくもない。けれどなのはは、私じゃなく想い人をとったんだ。
自分のすべてを捨ててまで、求めたんだ。

ひやり。少しだけ冷たいてのひらが、頬を撫でる。
慈しむような優しい動きに、こらえていた涙がただ溢れた。


”フェイトちゃん、ここにいちゃ、ダメだよ”


唇の動きでなのはがそう告げているだろうことがわかる。
今にきっと人間が来るから、だから逃げてほしいと。


「嫌だ……なのは、嫌だよ……」
”またきっと、会えるから。だから、ね?”


長いこと水中にいなかったせいか、鱗がぴりぴりと小さな音を立てる。
なのははそれをそっと撫でて。体を引きずる様にこちらへと近づき、震える腕で抱きしめられた。


”ごめんね、フェイトちゃん”



そんなにも苦しそうな顔をするなら、やめてしまえばいいのに。
ただ。そう、思った。



それから毎日、私はあの海岸へ向かった。
なのはの姿はどこにもなくって、それでも毎日毎日通った。


”フェイトちゃん、あまり無理しないで”
「無理なんかしてない。友達に会いに来るのに、無理なんてしないよ」
”……そっか”


ありがとう。ごめん。事あるごとになのはは言った。
やがて互いの距離は遠くなり、奇跡的に見かけてもその姿に声は届かった。
ただ段々とやつれていく彼女を見つめるばかりで。想いがうまくいっていないことは手に取るように分かった。

そして、その時がすぐであることも。

だから。私はもう一度、彼女の元を訪ねた。
今度は縋るために。

聞かされたのは一つ。その前に、想い人をその手で消してしまうこと。
そうすれば呪いは解け、なのはは泡になって消えずに済むことを教えられた。

なんの迷いもなかった。


≪あんたも、馬鹿だねぇ。報われなんてしないのにね≫
≪それでもいい。……あの子が、なのはが居てくれるなら≫


しわくちゃの頬で笑い、一房ほどの金色の髪を撫でている。それをしり目に、手の中にある硬質な感触を握りしめた。
髪と引き換えに得た刃は冷たく光り、紅い瞳が映りこむ。抱えたまま、私はもう一度あの岸辺を目指した。
どうしてだろう、予感がしたんだ。なのははきっと、そこにいるって。


「なのは!」
「…………、」

久しぶりに見たなのはは、全体的に細くなってしまっていた。
それでも向けられたのはあの笑顔で、胸が締め付けられる。
なのはは初め逃げようとしたのだろう。けれど、すぐにその足も止まった。
伸ばされた手で、少しだけ短くなった髪を撫でられる。


”どうしたの”


悲しそうな顔に有無を言わさず手に入れた短剣を差し出すと、なのはは不思議そうに首をかしげた。
形を確かめるようにひと撫でして返されたそれを、ぐっと押し付ける。

「なのは、このままじゃ消えちゃう。……方法があるんだ。この剣で、相手を、」


事情がわかったように、笑って。やんわりと押し返された。
そんなことはしたくない。そういっているようだった。
どうしてそんな優しい表情をしてるの。もうすぐ消えちゃうんだよ?なのに。なんで。

湧き上がる言葉をぐっと噛みしめる。
幼いころから一緒だった。誰よりも君だけを見てきた。愛してた。
だからどれだけ君が情に深いか知ってるよ。知ってるけど。


「なのはが出来ないなら、私が代わりにやるよ。だから教えて、なのは!」
”フェイトちゃん、私の為にそんなこと、しなくていいよ”


――違う。嫌だ。嫌なんだよ。

自分の分身でもある剣を握りしめて。震える拳を額に押し付ける。
君のためならなんだってできるよ。してみせるよ。だからお願いなのは。


「……消えないで」


柔らかい温度に包み込まれ、やがて抱きしめられているのだと分かった。
震えている腕が悲しくて、剣を落として強く抱きしめ返した。

 
 ”ごめんね、フェイトちゃん”



続いた言葉を、苦しそうに告げて。それから、月に解ける様に消えてしまった。
一瞬だった。引き留めることすら、出来なかった。


「なの、は……なのは、なのは、なのは!」


さっきまで確かにいたのに。
目の前に残るは、小さな泡一つ。

壊れない様にそっと手のひらですくう。
ふるりと震えたそれが、じわりと手のひらで解けて、消えた。


「……っ、嘘だ、……そんな、なんで」


願い叶わず泡になって消えた人魚姫。
その人魚姫に恋していた私。




想い人のいなくなった今。
――もう、泡になることも、許されない。
-------------------

嘘に嘘を重ねた二人。
本当なら、なのは→←フェイトでした。

そんな夢を見たんだ。


お話での人魚姫は、泡になり、空気の精となって天国に上ったそうです。
そんな風に、解説ではありました。


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プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
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はやて×なのは です。

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