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続・息抜きなSS。



前回の続きなSSです。
続きはありますかとのありがたいお言葉を頂きましたので、調子に乗って書いてしまいました!

本当にありがとうございます!


※ついでにちょっとだけいじりました。





誰かのものになるのなら。
いっそ、この瞬間に喰いつくして欲しい。

心も体も、私の全てを。

そうして。あなたの中に、ほんの一欠けらでもいい。
私という存在を、残し置いて欲しい。





【どうせ抱くなら、意志よりも愛を】





初めて出会ったのは、4歳の頃。
まだ年の近い友達が居らず、一人遊びにも随分と慣れてきた頃だった。

寂しいという記憶はあるものの、なんとなく曖昧な日々で。今ではよく思いだすこともできない。
けれどなぜか、その日のことだけは、今でもはっきりと覚えていた。


「なのはお嬢様。お父様がお呼びです」
「お父さんが、ですか?」


いつものように一人で遊んでいると、珍しく父に呼ばれた。

初夏を間近に控えたせいか日暮れだというなのに外はまだ暑く、そろそろ家に戻ろうかと思っていたから特に
いやな思いもせず、呼びに来てくれたメイドさんと屋敷に戻った。何のようだろうね。そんなことを話しながら。
仕事で忙しい父のことだ。その合間をみて呼ばれたのだから、心を砕いてくれたんだと嬉しく思わないわけではない。
けれどきっとそれは何か事情があるのだろうと分かっていたから、あまり期待もせずに父の書斎のドアを開いた。


「おとうさん、きたよ?」


急に感じられた冷気に身震いする。久しぶりの室内は、空調が効いているのだろう。涼しくて肌寒いくらいだ。
目に映るインテリアなんかも他の部屋よりも目立つものが多く、威嚇されているような居づらさを覚える。
場違い。それは実際にそうなのだろう。ここはお仕事をするための部屋なのだ。私がいるような場所ではない。
いつか父や兄たちに親子に遠慮するなとよく言われたけれど、出入りの多い家柄のせいか同い年の子たちよりもそういった感覚は鋭かったと思う。
父とは久しぶりの再会なのにやはり心は騒ぐことなく、ただ外とはひどく温度差があるなぁ。と子供らしくないことばかりを思っていた。


「ああ、よく来たな。なのは」
「……?」


声に顔を上げる。帰ってきたばかりなのだろう。仕立てのよいスーツを着込んだままの父が顔を崩した。
少し足を進めると、部屋の中ほどにしゃがみ込んだ父に頭を撫でられる。頷いただけの私に、苦笑が零れた。
おかえりなさい。お父さん。そういって満面の笑みで甘えてほしかったのかもしれない。
現にいつもの私ならそうしていただろう。けれどそうしなかったのは、父よりも先に、目がいったのからだ。

誰、だろう?

父の後ろに控えるように立っていたその子は、見たことがない女の子だった。
私の視線に気づいたのか、ああ、と。父は笑って。


”今日からここに住むんだよ。だから、仲良くしてあげてくれないか”


促すような言葉に、おずおずと頭が下げられる。腰まで伸びた髪が、その反動で陽の光を弾いて輝きを増した。
この辺りの生まれではないのか、袖口から見える腕は染みひとつない白さで、滑らかな肌を見せていた。
どこか戸惑いを混じらせた紅の瞳。長い睫。

洗練された、ともすれば危ういような美しさ。――きれいな子だなって、思った。

その時は、やっと近い歳の子に会えという単純な喜びが強かった。
宜しくね。差し出した手が、戸惑い交じりに握られて。


”私、なのは。なのはだよ”
”あ、えっと……フェイト、です”
”うん!よろしくね、フェイトちゃん!”


挨拶を交わすことすら、うれしかった。

けれど見れば、屋敷に来たての彼女はいつも泣き出しそうな表情ばかりしていた。
慣れない環境で不安だったのだろう。事情はよく聞いてはなかったけれどそれだけは分かった。
だから何かしてあげたくて。笑って欲しくて。私はよく、彼女を連れまわすように遊んだ。
今考えればひどく勝手だけれど、その時は幼いなりに必死だったんだと思う。


”なのは”


だんだんと笑ってくれるようになったのが、嬉しかった。
もう。なのはは。って。あやすように頭を撫でてくれるのが嬉しかった。

そうして年を重ねるうちに彼女はますます綺麗になり、
十代をすぎて色恋を覚えた私は、何の意識せずとも彼女のことを好きになっていた。

ううん。違うかな。一目惚れだったんだ。多分。

そんな私の想いに気づいたように、だんだんと彼女との距離は遠さを増した。
姉妹のようだった絆は薄れ、言葉遣いが変わり、いつの間にか他の人たちと同じような関係になった。
お嬢様と執事。それだけの関係。それはきっと、他の人から見れば妥当なことだったのだろう。

でも。寂しくて。悲しくて。
だからこそ、このままでいることなんて、できなかった。


”お嬢様?”


距離を縮めたくて。どうにかしたくて必死で。
それしか知らなかった十五の誕生日。私は、彼女にキスをした。


”ん、”


思い立ったからなんて簡単な気持ちじゃなくて。私にとっては覚悟のあったものだった。真剣だった。
大好き。子供な私ができる、言葉なんかでは足らないほどの最大級の想いを込めた。

けれど。


”だめですよ? 急にこんなことをしては”


僅かに頬を紅潮させながらも、その表情はいつもと全く変わりなくて。
たしなめる様な笑いが、向けられただけで。


”「お嬢様」”


震えた声と、あの頃に見たような、瞳。
――ああ、そうかって。わかってしまったんだ。すべてを。

子供だからこそ納得できずに、何度も繰り返した。
もうそろそろ相手を決めたらどうなのか。彼女が仲間内で告げられていることを知ってからは、ますます。
誰かに取られたくない。そう思って。

――けれど。

拒むことも受け入れることもされないキスは、ただの戯れでしかなくて。
そうとしか取り合われないくらい、私はあなたにとってなんでもなくて。

そう。彼女はいつも、そんな振りばかりする。
私が気づいてないと思ってるのかな?――きっと、そうなんだろうな。


「フェイトちゃんの、ばか」


大好き、だよ。

だからわかってるよ。ちゃんと。……本当は、嫌だけど。
フェイトちゃんが本当に困っているなら、もう、これで最後にするから。

私はその夜、フェイトちゃんを呼んだ。



 ◇



「なのは」


何度も名前を呼ぶ、優しい声。

覚悟して告げた思いに返されたのは、やはり想像していた通りのもので。
その硬すぎる意志に、幼い私の言葉など届くはずがなかった。


「……っ、ぅ」


吐き出せない想いが詰まった喉が、苦しい。
震える唇はただ空気が漏れるばかりで音にならず、それでも何とか言葉にしようと強くかみ締めた。


「ごめ……、もう、困らせたり、しないから」


これで最後にするから。小さく告げて。引き止めたままの身体を開放しようと、楔となっている腕を外す。
そのまま。行き場のなくなったそれを、シーツへと押し付けた。


「……っ、あ」


けれどフェイトちゃんは、身じろぎすらしなくて。
ただ、困ったように。笑うように顔を歪めただけだった。

ああ、ずるい。ずるいずるい。本当に、ずるい。
なんで。どうして。そんな顔しないでよ。そんな風に、泣くみたいに笑わないでよ。

泣くならいっそ、こんなことしないでよ。
お前なんか好きじゃないって。だからこれでよかったって言いきってよ。

こんな風に。こんな、


「ずるい、よ」


我慢していた涙が、また、溢れた。
鼻腔をくすぐるフェイトちゃんの匂い。それから逃げたくて。そっと肩を押す。
僅かに離れた身体。それを握り締めたい手のひらの代わりに、硬いこぶしを押し付けた。


「……なのは。私、は」
「意志を貫くならっ、……貫き通してよっ!」


同情なんてしなくていいよ。だから私なんかが、希望を持つことがないように突き放してよ。
中途半端ではなく、最後まで。唇が噛みきれるくらい強く歯を立てて切れ切れになんとか言い放つ。


「っ、」


私の言葉に、ぎしりとスプリングが軋んだ。
だんだんと離れていく体温。紅い瞳の行方を見ていられなくて、目を逸らす。

ああ、これで本当に終わりなんだ。
明日からどうしよう。……好きって。想っているだけでも、許してくれるかな。


諦めの悪い自分を見たくなくて。瞼を閉じる。
そのまま出ていくのだろうと思ったけれど、暗い視界越しにでもフェイトちゃんの気配を感じた。
見なくてもわかる。きっと、申し訳なさそうな顔をしているのだろう。

いくばくかの時間が過ぎて。泣き腫らして痛くなった瞼に指が触れた。
壊れ物を扱うような繊細な動きで、そっと。惜しむように、ひと撫でされて。

胸が、苦しくなった。
こんなことをされたら、余計に辛くなるだけなのに。

私ならもう大丈夫だから、優しくしないで。
そう言いかけた唇に、震えた指が触れた。


「……!?」


予想外のことに、弾かれるように瞳を開く。
そこにいたのはやっぱり想像通りの顔をしたフェイトちゃんだった。


「きみを、」


今にも溢れんばかりの紅が、揺れて。


「きみを泣かせてまで貫く意志は、本当に、君の為に、なるのかな?」


今まで聞いたことのない、すがる様な。途切れ途切れの、幼ささえ感じるような言葉だった。
それを発したのは確かにフェイトちゃんだけれど。なんだか妙な感覚を覚える。
表情を崩した彼女を見るのは、いつぶりだろう。

彼女はいつだってそうだ。


「ならないっていったら、」


もどかしい言葉では足らない気がして、投げ出していた腕を真っ直ぐ伸ばす。
流れた髪をかき分けて白い柔らかな頬に触れると、あふれた雫が指を伝って流れ落ちた。


「そうしたら、抱きしめてくれる?」


戸惑うように、肩口へと押し付けられた額。
金色の髪を指で梳くと、彼女から、涙とともに細く呻いたような声が零れた。


「どうしたら、いいのかな?」


誓いとの間で揺れている彼女に、なんといってあげたらいいのかわからなくて。
それといえば押し付けのようになってしまう立場が嫌で、痞えを取る代わりに髪を梳いた。


「ねぇ、フェイトちゃん。……フェイトちゃんは、私のこと、好き?」
「好き、だよ。……愛してる」


迷うと思ったのに。間もなく返された言葉は、まるで深いため息のようだった。
彼女の口から初めて聞かされた想いに、胸が熱くて焦げ付いてしまいそうで。涙で濡れた頬を、包み込む。


「それなら私が、フェイトちゃんのこと、絶対守るから」


まだ、子供だけど。譲れないものくらい、ちゃんと分かるから。
あなたが求めてくれるなら、何からだって、守るから。


「だから、お願い。傍にいて」


それは、一つだけの願いだった。けれど全てでもある想いの丈をぶつけるように告げ、ぐっと引き寄せる。
離れることが、怖かった。震えた腕は、まだ。私に触れてくれようとはしなかった。

時計の秒針だけが、この世界に時は流れていることを教えくれる室内で。
長い長い沈黙を得て、フェイトちゃんは喘いで。


「……ああ、もうっ」


苦しそうに告げられた言葉とともに、感覚が崩れる。
抱きしめられたんだと気づいたのは、それからすぐのことだった。


「なんか……立場が逆だよ」
「何でもいいよ。一緒に居られるなら」


私のほうが年上なのに。そんな抗議のような声が上がる。
当の本人からすれば十分大した問題なんだろうけど、私はといえば思わず笑いがあふれてしまった。
今更そんなことを気にしなくてもいいのに。そんな余裕は、唇に熱い感触が触れた瞬間はじけ飛んでしまった。


「……ん、あ」


間近にあった目が、細められて。
私の目を塞ぐように、そっと手のひらが当てられる。


「なのは。……なのは」
「ふぇ……と、ちゃ」


なくなった視覚の代わりに、感覚だけが鋭くなっていく。
唇をなぞる柔らかな熱にぞくりとしたものが背を走り、意図なく声が零れる。

キスは初めてじゃない。けれど、こんな感覚、知らない。

角度を変えて、触れ合う。それをただ、何度も繰り返すだけなのに。
フェイトちゃんからキスをしてくれた。その事実だけで、体中がひどく熱くて。
渦を巻く感覚に翻弄されて。溺れてしまいそうな呼吸の合間に、なんとか息を継ぐ。

けれどそれすら苦しくなって唇を外す。
目の前にある唇は見慣れたはずなのに濡れているせいか妙に艶かしく、頬に集まる熱を散らそうと瞳を逸らした。
凄艶な笑みは、本当に大人の女性なんだなって。そんなことばかりを思い知らされる。

ああもう。本当にずるい。


「なんか、フェイトちゃん、すごい……、は」
「もう、ふっきれたから」


肩を上下させた形だけの抗議に、フェイトちゃんが頬を染めてふにゃりと笑う。
だから大人をからかったらだめって、言ったでしょう?と。ずっと見てきたのに。こんな顔、知らない。
なんだかさっきまでの余裕のなさが嘘みたいだ。

まさか本当に誰かとしていたんじゃないだろうかと心配にすらなってくる。
そしたら、嫌だな。って。そんな私に、誓って初めてだよ。と。フェイトちゃんは笑って。
抱きしめられた腕に、力が込められた。

ねぇ、なのは。名前が呼ばれて。


「あと二年だけ待って欲しいんだ。それまでに、当主様に納得して頂けるような人間になるから。
 その時にまだ、君が気持ちを変えないでいてくれたら、」
「変わらないよ」


言い終わらないうちに告げて、笑う。だって、当然すぎる答えだから。
ありがとう。なのは。そう言ってゆったりと頭を撫でてくれる手が、気持ちよくて。
体を預けて目を閉じると、


「ところで、その」
「うん?」


急にもごもごとしだしたフェイトちゃん。
どうしたんだろうと覗き込むと、所作なく泳いだ目に首を傾げた。
えっと、あの。そんな言葉が繰り返されて。


「その、そろそろ離れてもらっても、いいかな? あ、いや、嫌とかじゃなくってね!?」


この体勢だと、その格好は、目のやり場に困るから。
まるで悪いことが見つかった子供のような顔で。逸らされた頬が、真っ赤になってしまっている。
視線を落とせば、最近少しずつ育ち始めてきた胸元が見える。自分ではどうも思わないけど、そうではないらしい。
恥ずかしいというよりは、むしろ安心すらしてしまった。
ああ、ちゃんとそういう目で見てくれるんだ。って。それが嬉しくて。
えへへへって。笑いながら、上気して上ずった喉に唇を押し当てて、撫でるように少しだけ食んでみる。
それだけで面白いくらい反った背に、腕を回して。


「ななななななのは!?」
「あのね?フェイトちゃんだったらいいよ?」
「うう、」


だけどいうのは恥ずかしかったから。わざと冗談交じりに告げれば、見開いた瞳より真っ赤な顔になる。
さっきは耳元で、食べちゃうよなんて言ってたくせに。なんて可愛い反応をするんだろう。


「だ、だめだよ。そういうことは、あと二年してからね?」
「フェイトちゃんのいじわる」


フェイトちゃんだったら、本当に何されてもいいのにな。ちょっとさみしい。
頬を膨らませると、困ったようにフェイトちゃんが眉を下げた。


「……ほんとに、そういうこと言わないで」


いじわるなのは、なのはのほうだよ。唇を尖らせて抗議するその表情は、幼い頃のあの日そのままで。
なんだか懐かしくって、嬉しくて。まだ熱い喉元に、同じように熱くなった頬をすり寄せた。

愛してるって言葉とともに。










それから、フェイト曰く悪戯好きのなのはの誘惑に、
フェイトが約束のその日まで耐えられたのかどうかは、別のお話。



------
おわり!

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Re: タイトルなし


>ふうか さん

こんばんは!コメントありがとうございますwww
2年後の話も、機会があったら書かせて頂ければ!と意気込んでおりますww多分フェイトのへタレ具合が強化されてそうですが(><)
うあああああ!ありがたいお言葉、本当にありがとうございます!www
これからもまったりと頑張りたいと思いますー!

追伸:こんなところで申し訳ありませんが、なのはさんとフェイトさんの恋の行方がとても気になります!
無事にくっついて幸せになってくれたらいいなと願いつつ、翻弄されるなのはさんにトキメキが(*ノノ)
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
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