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風花 ~弐~

ここでまさかの風花です!
当時ははやなので書いていたはずなのに、最近プロットを組みなおしたら、


どういうわけかはやなの要素が消えてました


愛情は愛情だけど、なんか違う。むしろフェイトそん頑張りすぎ。
一体何が起こったのか……。

はやなの期待していた方には大変申し訳なく……orz


年月が経ちすぎているので、一応前話のリンクを貼っておきます。

プロローグ




完結させるべく頑張ります!
大丈夫!という方は続きから宜しくお願いしますww




黒、蒼、緑。
重ねられていく色彩は、暗い室内の中それだけでひどく鮮やかだった。
目の前の女は先ほどまでの罵倒が嘘のように黙り込み、水鏡で移しこんだ己の姿をしきりに賞賛している。
その中にぽつぽつと混じるおざなりな賛辞に、面倒だと思いながらも首を一つ縦に動かした。


「続き。させてもらってもええですか?」


答えを待たずに、手の動きを再開させる。
現れた痛みにきつく唇を噛む横顔。合間の細い息。
若く美しい女だ。端から見ればその姿はとてつもない色香を醸し出しているのだろう。
私とて、そんなものなど微塵に感じない冷徹さは持ち合わせていない。はずなのに。

襖一枚隔てた向うにあの子がいるのかと思うと、そんな気も失せた。
こうしている間、あの子は何をしているのだろう。

思い出した表情に僅かに急かされたようで、仕上げの紅を入れていく。


「はい、今日で終了です。お疲れさまでした」


目の前の華奢な背に止まるのは、自然界には存在しない艶やかな蝶たち。
この商売を始めてから、数年。まだ駆け出しの私が唯一得意とするモチーフだ。
柔らかい女性の肌だからといつもよりたっぷり気を使ったお陰か、十分すぎるほどの出来だ。

やはり満足だったようで、女は気よく予定の二割も増した金額をこちらに投げてよこした。
鼻歌交じりに帰り仕度をし、足早に玄関を出た。そのまま表に待たせていたのであろう男の背にしな垂れかかる。


《ねぇ、綺麗でしょう?》


聞こえてくるのは、先ほどまでの罵倒していた口から出したものかと疑いたくなるほどの、甘い声。
終わり際に、馴染むまではあまり触れないようにと告げられたことすら、もう忘れているのだろう。
窓から見ていたその様子に息を吐いて、使っていた針と手袋をゴミ箱に投げ入れる。

――ああ、なんや疲れたなぁ。

ひくりと震えだした瞼を硬く閉じて、開いてを繰り返す。そろそろ潮時だろうか。
そのまま床に転がると、それほど高くない天井が目の前に圧し掛かるように広がっていた。
何気なく手を伸ばす。先ほどまでの作業で着いたのだろう。親指の付け根に赤い染みが見えた。
筋彫りの小さな蝶の上に滲んだ、赤。

ああ、なかなか取れないのに。面倒臭い。
色のない蝶に歯を立てる。じわりした痛みに唇を外せば、歯形のついた肌がなお赤みを増した。

染み付いた血のようだ、と。思った。






【~弐~】






手を洗おうと仕事部屋を出ると、さっきまでの薄暗さが嘘のようだった。
初夏を向かえ少しずつ暑さを増しだしてきた空には大きな雲が広がり、からりと晴れ渡っている。

とたんに汗がにじんだ様で、僅かに残った日陰を探して渡り廊下を進んでいく。
なんせ廃屋状態だったものを買い取った古い家屋だ。踏み込むたびにみしみしと床板が悲鳴を上げた。
癖のように静かに歩く。自分が悪いではないにしろ、板を踏み割りでもしたらそれこそ相当なダメージが心に来そうだ。

流し場で、蛇口を目一杯開いて手を洗い流す。落ちてくれなければ困る。
泡の間から見える肌はまだ赤く、胸の奥からじわじわと黒いものが渦を巻いた。
手のひらに力を込める。もうすぐ夕飯時なのにこんな姿をあの子に見せたくなかった。


「……っ」


肌が擦り剥けるほど洗うとやっとのことで色を薄くしたようで、見せ掛けだけでも取り繕えたと安堵の息を吐く。
仕事場を通りすぎて居間へと向かうと、部屋の隅にうずくまるようにあの子は居た。

小さな体を薄手の毛布に包み、ひくりとも動かない。

まさか。そんな思いに、音を立てないように近づき、鼻先に指を近づける。
微かな呼気が触れ、ああ、よかった寝ているだけだと安堵に胸を撫で下ろした。
柔らかな髪。まだ僅かにこけた頬を撫でようとして。

けれど、指を握り降ろす。

目が覚めてた時に私がこんなに近くにいたら、きっと彼女は嫌がるだろう。
実際にはそうしたことはせず、無表情にこちらを見るだけなのだろうけど。

いっそ責めてほしかった。お前のせいなのだと。
その手にかけられても、それで気がすると言うのであればそうして欲しかった。

――けれど。
そうしたところで、自身がそう促したところで。

けれど残された未来は、きっと一つだから。


花火のような音がする。微かに混じる火薬の匂いに眉を顰めて窓を閉めた。
遠い空が不自然な色合いで輝いている。

時折光を強めては瞬いて、消えて。
それを映しこんだ瞼を、もう癖のように閉じる。


「また、か」


戦渦はますます苛烈さを増し、まさに蓋世の勢いだった。
私みたいな者が一人いなくなったところで、当たり前のように続いていた。

山間の奥深く、地図にも載らないようなこの村へたどり着いて、半年。
逃げるように故郷を離れ流れ着いた者は多く、姿を隠すにはもってこいではあったのだけれど。
戦争から程遠いこの場所でも陰鬱とし、笑う人は空元気、残りはすべて憂いを帯びた人だらけだった。

見えない何かに、怯えているようだった。


「どうしたら、ええんやろな」


苦しそうに眉根を寄せて眠る彼女を見つめる。
精一杯丸めた身体が震えている。その小さな瞼に移るのは、きっとあの光景なのだろう。

進まない。進めない。


彼女を見つけて。戦場から保護して一年。
保護なんてきっと体のいい言葉で。彼女にとっては、捕虜のような気分で私に連れ去られてきて、一年。

彼女は否定も肯定もなく、何も言わずにここに居た。
笑うことも泣くことも、叫ぶこともせずに、ただ。

私のことなど。いや、むしろ自分のことすら見えていないようだった。

成長を止めてしまったかのように華奢な体を抱きしめることも、できる筈はなくて。
私がすべての元凶なのだと、だから消してくれと声を張り上げることもできなくて。




私は――まだ。
名も知らぬこの子への償い方が、分からずにいた。



------------
→参話へ

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非公開コメント

待ってました!

初めまして!さとりと申します。
コメントするのは初ですが、こちらのサイトには以前からちょくちょく来ておりました。
風花、もう本当に待ってました!!!うははーい!!
両手を上げて大喜びしてます(笑)
これからも素敵なssお願いします!!

>さとり さん

こんばんは、初めまして!お返事が遅くなってしまい、本当にすみません;
いつもサイトに足を運んで下さり、本当にありがとうございます!www

ふぉああああ!あああありがとうございます!!!
もういいかな……なんて思っていた風花ですが、完結させるべく再始動いたしました。
そういって頂いてすごくうれしいですwww頑張ります!(><) 

こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ光栄ですww
コメント本当にありがとうございました!
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

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