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【Fake it】プロローグ


中編始めました!

行き当たりばったりでオチとかまったく考えてないんですよなんてこった正気の沙汰か。いつものことですね分かります。

どうなるか本人にもわかりませんが、とりあえずまったり頑張っていこうと思います。


お付き合い頂ければ光栄です。




見上げた夜半の月は、のっぺりとした空に開いた穴のようだった。

息を一つ吐いて視線を落とせば、私よりも随分高い位置にある蛍光管が必要以上に明るい光を放っている。
ちかちかっ。ちか。必死に点滅を繰り返すそれは、まるで必死に何かを伝えたいみたいだった。
けれど私には分からなくて。ただ、目に痛いだけで。
ぼんやりと眺めていると、季節はずれの冷たい風が頬を叩く様に吹いた。

思わず肩をすくませる。
こんなに体一杯に光を浴びているのに。やっぱり、明るくても、暖かくはないんだね。


「なんて、ね」


そんな当たり前な思いがどこからか湧き上がり、苦笑を零した。

疲れているせいだ。きっと。そう一人ごちて、鞄から取り出した鍵を差し込む。
がちゃん、っと弾かれるような音。擦れあうような金属音が微かに耳に障って、思わず眉を顰めた。

――嫌な音だな、と。思う。

いつからなんだろう。前までは、嬉しくてたまらなかったのに。今ではただ、苦しくて。
乱れ始めた心音を聞きながら、細く開いた隙間を見つめる。

うっすらと影が揺らぎ、やがて認めるでもなく彼女だと分かった。
きっと今の音を聞いて出迎えに来てくれたんだろう。


「おかえりなさい、なのは」


満面の笑み。
久しぶりにあった彼女は一段と大人びたように見えた。
まだ半年も経たないというのに別人のようで、戸惑いながらも笑みを返す。


「ただいま。……フェイトちゃん、早かったんだね?」
「うん、予定よりもだいぶ早く帰航したんだ」

穏やかな声に、そうなんだと頷いてドアを閉める。
お疲れ様、なのは。伸ばされた手に、やわらかく頭を撫でられる。触れた体温が心地よくて。

きしりと。胸が、軋んだ。

風によって絡まった髪を解すように、指が動かされる。優しい瞳。その顔を見たくなくて、そっと瞼を閉じた。
フェイトちゃんは、分からないと思っているんだろうな。

震えた指。慈しむというよりは、壊れ物におっかなびっくり触れるという動き。
けれど言わない。それを言ったところで向けられるのは、そんなことないと笑う優しい表情だから。
少し身じろぎすれば察したように離れた指先に、安堵をかみ締めて。強張った頬で、ありがとうと笑う。


「ご飯できてるよ。一緒に食べよう?」
「本当?フェイトちゃんの作ったご飯、おいしいから楽しみだなー」


ドアが閉じ、すっかり外気の遮断された空間。
意識しなくても、彼女の匂いで満たされていて。それが嬉しくて、苦しかった。



「おかえり」


一緒にご飯を食べて。片づけをして。
シャワーを浴びて戻ると、任務明けで疲れているはずなのに、フェイトちゃんは私を待っていてくれた。
なのは。手招きに導かれるように椅子に腰をかける。まるでそれが当然というように私の後ろに座り込んで。
タオルで拭われた髪を梳り、ドライヤーが当てられた。


「「……」」


会話のない室内に、乾いた音が響いて。
どれくらい経ったんだろう。その合間に、穏やかな声がした。


「なのはは、明日は定時上がり?」
「あ、えっと……明日はちょっと、同じ部署の人達から、交流会に誘われてて……」
「そうなんだ」


でもフェイトちゃんがお休みなら、せっかくだし断ろうかな。
そう告げようとして。

「あまり遅くなるようなら、迎えにいくから。遠慮なく言ってね?」


言葉が、いつもの優しい笑顔に閉ざされる。


「そう、だね。そうならないように、なるべく早く帰ってくるね?」
「無理しなくていいよ。なのはが好きなようにしておいで?」


はい、終わり。短い言葉と共に触れていた温度が消える。
すっかり熱の引いた耳の奥が、小さく音を立てた。

フェイトちゃんは優しい。今も昔も変わらずに、ずっと。
出会ってからもうすぐ10年経つのに、その優しさは変わらない。

変わったのは、私だ。


好きと言えば私もだよと返され、一緒に居ようねといえばそうだねと返される。
始めは嬉しかった。けれどそれは、放った言葉が、耳に戻るだけだと分かってしまった。

同じ言葉は、得てして同じ温度では、ないから。


「それじゃあ、お休み。なのは」
「うん。……おやすみなさい」


同じベッドに入って、一緒に眠りにつくはずなのに。
いつだって目を開ければ見えるのは、向けられた背中だけだった。手を伸ばしても、遠かった。

過剰すぎる優しさは、突き放されているだけだから。



「フェイトちゃん、すき」


好きだから。愛してるから。本気だから。だから、私もだよって言わないで。
見せ掛けだけの言葉なら、そんなの、いらない。

それでも嬉しいと思ってしまうのは。もう嫌だ。


嫌なんだよ。こんな風に思ってしまう私も。
こんな風に、フェイトちゃんを想ってしまうことも。

伝えれば伝えるほど、伝わらない。
近すぎるから、遠すぎる。


「すき、だよ」


一緒に居られるだけで幸せだったあの頃は。
優しさを寂しいと感じるなんて、思ってもみなかった。




-------------
→1話へ。


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Author:汐薙
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魔法少女リリカルなのはで活動中。

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