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【優しい煉獄~正規ルートEND~】


拍手内で新しく連載するにあたって、こちらに出しました。


以前連載していた「優しい煉獄」の正規ルートです。

幸せな終わり方では決してありませんので、フェイなのフェイ好きの方はご注意ください。
また、最終的にははやなのではありますが、やはり甘い終わり方ではありません。
純粋なはやなの好きな方もご注意下さい。

一応白字にしてあります。






愛してる。


そして、愛してた。




***【〜Side Nanoha〜】***



はやてちゃんの声は、とても強くて。
けれど、どこか今にも泣き出しそうなものだった。



ずきん、と。痛む胸。


「……何を言っているのか、分からないけれど」


一つだけ、深呼吸をする。
そっと手を伸ばすと、びくりとその肩が震えた。






「私が好きなのは、はやてちゃんだよ?」






そうして、目を閉じる。
細い華奢な身体は今にも壊れそうで。だからそっと抱き締めた。

鼻腔を擽る甘い香りは、はやてちゃんのもので。



これで、いいんだよ。
どこか言い聞かせるように何度も心の中で繰り返す。


確かにフェイトちゃんは、離れた。
けれど、それは私が責め立てられるようなものではなかった。


だって分かったから。

それは全部、私の為にしてたんだってことも。
どんなに傷付けられても、それよりももっとフェイトちゃんは傷ついてたってことも。

全部、分かったから。



それに私だって、逃げていた。
あの時。フェイトちゃんが私の事を”妹”だと言った、あの瞬間。

私は、きっと逃げたんだ。




それでもいい。
私はフェイトちゃんのことを愛していると。
だから、フェイトちゃんも私を愛してと。

言えなかった。


なんて、ずるい。
刃を持ったのは、私だって一緒だったのに。


持った刃を、手放した。


「……ごめんなさい」


だから。
お互いが手を離した、あの瞬間から。


きっともう、私達は戻れなかった。


フェイトちゃんにはあの子が居て。
私にははやてちゃんが居てくれて。


だから、もう。

これで全てがお終い。


これ以上は、もう誰も傷付かない。
離れてしまえば、これ以上私の存在はフェイトちゃんを傷つけない。


私は、はやてちゃんだけを好きになっていきます。
はやてちゃんが居たから、私はこうして笑っていられるのだから。
それが今の私の、本当の気持ちだから。


だから。

フェイトちゃんも、あの子を大切にしてあげて下さい。


ああ、私。
ちゃんと今、笑えてるよね?



「はやてちゃん。……抱いて?」


はやてちゃんは、困ったように笑って。
そのまま、私達はベッドへと身体を沈めた。

スプリングの軋む音。
柔らかな体温と、浅く繰り返される熱い呼気と。

何度も私の名前を呼ぶ、声。


「はやてちゃん」


答えるように抱き締めると、はやてちゃんが泣いた。
すすり泣く声が室内に響く中、それでも私達は身体を寄せ合った。

ひどく、もどかしかった。


こんなにも愛して貰えるのに。
もう、私は自分が分からなくなっていた。

だけど、私がはやてちゃんをちゃんと好きなことだけは確かだった。
それだけは胸を張って言える、真実だった。

はやてちゃんが、好き。
はやてちゃんが、好きなんだ。


「……は、やて、ちゃ……っ、!」


白く爆ぜるセカイの中。
それから逃れるように、私は固く目を瞑った。


どうして、きょうだいなんかで生まれてきてしまったんだろう?
神に背いて生きて行くのは、どうしてそんなに悪いことなんだろう?

私が私で居ることは、どうしていけなかったんだろう?


どうして。
好きなだけじゃ、駄目だったんだろう?




もう考えるのは止そう。

ちゃんと、フェイトちゃんのこと。忘れるから。







嫌だ――嫌だよ……。

忘れたく、なんかないよ。



ああ、もう無茶苦茶だよね。
私ははやてちゃんが好きなのに。

もう、滅茶苦茶だ。

これがいけない想いだというのなら。
どうして、そう在るように神様はこの想いを造ったんだろう?

そんなにもいけないものなら、初めからなければよかったのに。



――違う。
それを造ったのは、人間だ。


狭い閉じられた世界でなら、私達二人は生きていけた。
けれど、それだけでは生きていけないから。
世界は二人だけのものではないから。

だから、広い世界へと手を伸ばすために。
自分自身を偽って。戒律だけが支配する空虚な世界に踏み入るためだけに。

私達は、お互いにその手を離した。



「ずっと愛してるよ、     ちゃん」



だから、お願い。











もう、忘れさせて下さい。



  ◇






そうか。
もう、全てが終わってしまったんだね。



***【〜Side Fate1〜】***


家を飛び出したなのはを追って、駆け出した。
多分行き先ははやてのところに違いないと思ったから、迷いはなかった。
走り出していくうちに段々と雪が降り始め、はやての家に着くころには外はすっかりと雪模様だった。

震える手でインターホンを押すと、程なくしてシグナムが少しだけ開いたドアの隙間から顔を出した。
あぁ、と短めの返事もそのままに気まずそうに反らされた顔に確信をした。

「……なのは、来てますよね?」

その問いに答えず、シグナムはただ頭を横に振った。
かたり、と。閉じられるドア。


「……っ、!シグナム!開けて下さいっ!!」
「……だめだ。……もう、お前は帰れ」


何度か叩くと、申し訳なさそうシグナムの声。

それでも諦められなくて何度も声を掛けたけれど、願いが叶うことはなかった。
玄関から離れて、はやての部屋が見えそうな位置まで下がる。

やや細く開いた淡いカーテン越しに、はやての茶色の髪が覗いた。
逆光で薄暗かったから表情が見えなかったけれど、それでも私の姿は見えているんだと思った。

――なのはは……きっといる。


「なのは!」

喉が切れる位に声を張り上げる。
すると、ややあってなのはの顔が覗いた。

なのはがこちらを見ている。
縋る思いで、必死に声を掛ける。

「なのは!」

精一杯声を張り上げる。喉が切れてじんわりと血の味が広がった。
けれど届かない。聞こえない。

それでも何度も名前を呼んだ。


「なのは!なのはっ!!」


そして。


カーテンが、閉じられた。
それは――間違いなく、拒絶、だった。


「……なの、は」



もう、なのはは出てこなかった。






どれくらいの時間が経ったんだろう。

とにかく長い長い時間が過ぎて。
それでも私は立ち去ることが出来ずに、そこに居た。

ぽつん、と立った街灯の明かりだけが眩しかった。
見上げた首が痛み、それでも私は目を離せなかった。


嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。



「なのは……嫌だよ……」


かたん、と。音がして。
そちらに顔を向けると、そこにははやてが、居て。


申し訳なさそうに伏せられた瞼を見て。



もう、


全てが、終わってしまったんだと分かった。




「……フェイトちゃん、」
「――っ、ぅ……あぁ……」


いやだ、嫌だ、イヤだ。嫌ダ。イヤダ。嫌だよ。



「…………っ、なのは、返、して……っ」


無理だと分かっていても、そんなことしか言えなかった。
はやては、何も言わなかった。


はやては何も悪くない。分かってる。

私が傷付けたなのはを、はやてが癒してくれて。
むしろ感謝しなければいけないくらいで。

なのはだって、きっともうはやてのことが好きで。

でも、


だけど、



嫌いだから手を離したわけではなかった。
好きだからこそ手を離した。幸せになって欲しかった。
私の存在が邪魔だというのであれば、喜んで私は身を引いた。

全てが君の為になると信じていた。



嘘じゃない。


だけど、好きだった。どうしようもないほどに。
離れた手がつかめなくなる前に、もう一度伸ばしたいと思ってしまった。

君の幸せじゃなく、自分の幸せを求めてしまった。


けど。



私はわかってなかった。



本当に好きなら、手を離してはいけなかったんだ。
手を離したその瞬間、誰よりも遠いところに行ってしまうのに。

もう、戻れないのに。


「なのは……っ」


ねぇ。

今、君は笑ってる?



そして




クリスマス・イヴが、終わった。




 ◇



だから、これでさよならだ。



***【〜Side Fate2〜】***


その後、すぐになのはははやての家に移り住んだ。
両親は初めのうちはそれに難色を示していたけれど、それを私が必死で宥めた。

それが、私がなのはに出来る最後のことだと思った。


なのはの最後の言葉は、聞き取れなかった。
いや、多分聞く気はなかった。

一言を除いて、私は何も言わなかった。
言葉にした瞬間、想いが零れてしまうことを、知っていたから。


「さようなら、なのは」


笑うことは、出来ていたと思う。
だから、なのはの中にいる私は、笑っていると思いたい。



私はきっと、もう誰かを愛することはないと思う。



最初の恋も、最後の愛も。
私の全てが、なのはの中にあるから。

だから、もう”ここ”には何もない。



主人が居なくなってしまった部屋で、独り。ベッドの上に横たわる。
鼻腔を擽る甘い香りは、もう大分薄れてしまっていた。

ゆっくりと目を閉じる。
すると、叶ってはいけなかった、夢に包まれた。

どうしようもないほどの愛しさと、そしてそれ以上の痛みが身を焼き尽くす。


「ねぇ、なのは。目、瞑って?」



もういなくなってしまった彼女に声を掛ける。


『――こう?』


すると、彼女の声を聞いた気がした。
それだけで嬉しくって、胸がじんと熱くなった。

まだ少しだけ気だるい身体を起こし、ゆっくりと閉じられた瞼にキスを落とす。
唇に柔らかい感触。それを追ってふんわりと鼻腔を甘い香りがくすぐって。
どうしようもないほどに、ぎゅっと胸が締め付けられるのを感じた。

ああ、なのはがここに居る。


「好きだよ。なのは」


何度も何度も。バカみたいに。それしか知らないように繰り返す。

好きだよ。

大好き。

愛してる。


ずっとずっと君だけを、愛してる。


だからこそ、悔しい。



「ねぇ、なのは」
『――うん?』


こんなにも愛している君を、私以外の人に攫われてしまうのが。
それをただ見守ることしか出来ない、自分が。

明日なんて、ずっとずっと来なければいい。
このまま時間が止まってしまえばいい。

駄目なのに。わかってるのに。
また――、君を縛り付けることしか考えられない自分。

私だけのなのはで居て欲しいのに、なんて。


「君が、好きなんだ」


バカみたいだ。


この世界が、私たち2人だけのものだったらよかったのに。
私の中にあるセカイが、現実の世界だったらよかったのに。

そんな夢みたいなことを、何度願ったんだろう?
もう――わからない。――わかりたくもなかった。

『――っ、ん』

ああ、もうどうでもいい。だって、なのははここに居る。
はやてのところにじゃなく、ここになのはが居てくれる。

目の前のなのはに頬に手のひらを寄せると、くすぐったそうになのはが身を捩った。
蒼い瞳を細めて嬉しそうに笑い、小さな子猫のようにその手のひらに擦り寄る。

触れた先からじんわりと彼女の体温が移りこんで。
先ほどの彼女の甘い声や熱を帯びた瞳を思い出し、思わず涙が溢れた。


セカイが、滲む。
ぽろぽろと止まらない涙を乱暴に腕で拭った。

なのはを心配させたくなかった。ぎゅうっとシーツを掴み、嗚咽を耐える。
掴んだ先のそれはまだ温かくて、これが現実なんだと思い知らされて。

余計に涙が止まらなくなってしまった。


「――お願いだから」



ああ。
言葉にするのだって、嫌なのに。


「私の時と同じように、抱かれないで……」

ぎゅっと彼女を抱きしめた腕に力を込める。
あふれ出た涙は堪えることが出来ずに、ぱたぱたと、零れ落ちた。

裸の彼女の肩を、濡らしていく。

「――私と同じように……、抱かないで。」


悔しかった。苦しかった。
こんなにも愛おしい君を。誰にも渡したくないのに。

どうして私じゃ、だめだったんだろう?



「――っ、お願い、だか、ら」

『――フェイトちゃん……』


ぎゅっと抱き返してくれる少しだけ震える腕が、ひたすらに温かくて。
腕の中の柔らかな体温を抱きしめたまま。声を押し殺して泣いた。


お願いです。神様。

罪深き願いであることは分かっています。
地獄の業火に焼かれようと構いません。

薄暗さに覆われた――この2人だけの世界のままに。
私の全てを――、終わらせて下さい。



ぽつり、と呟く。
目を開けるとそこには真っ白いシーツだけが映りこんで誰も居なくて。



「これが全て――ただの悪い夢だったらよかったのに、ね」


夢だったらよかったのに。

今、目を開けると、そこにはなのはがいるんだ。
それで、困ったように笑って、私の名前を呼ぶんだ。

それに答えて、私も笑って。
今度こそずっと一緒に居ようねって、ちゃんと指切りをし直すんだ。


それで、君だけを愛してるよって。


そんな叶いもしない現実を、願って。
ゆっくりと私は瞼を閉じて。








訪れた深い闇に、身を沈めていった






これが。
愛する人の手を自ら離した、愚かな私の。






もう叶う事のない、想いの末路。










正規ルート編
〜END〜

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プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

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