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【優しい煉獄 ~14話~】


ここから救済ルートに入ります。

……個人的には、書いていて一番難しくそして心身にダメージを受けた話。
この話では、はやてが一番器がしっかりしていて、そして真っ直ぐだと思いました。
その分、その笑顔の裏で、どれ程の想いがあるんだろう、と。

ここからなのはとフェイトの二人も強くなっていきます。


とりあえず、もう絶対にこれ程ガチなフェイなの前提のはやて片想いは書かないと決めました。
これが、最後。はやてさんには、幸せになって欲しい。

色々な意味の、どうして。

自分で書いたのにそう思わずには、いられません。
なんだかひどく心がもやもやしました。

心や恋愛は、簡単なようでとても難しいです。
いきなりなのはが行動に出ることも出ないこともおかしくて、そのバランスに悩みました。
自分だけかもですが、強い人が隠している弱い部分を前面に書くというのは、本当に難しいです。

……ホント、なんでこんな難しいの書きだしたんだろう、自分 orz


と、それはさておき。

続きより、なのは視点です。
大丈夫、と言う方のみ続きからどうぞ



降り積もる、雪の白さと。
空を照らし出す、月の明るさと。
カチカチと時を刻む、時計の音と。

細められて揺れる青い瞳と。繋がれた手のひらの温度と。
私の名前を呼んでくれたその声と、眼差し。

あなたが私に与えてくれた、どこまでも優しい時間。


今まで私を包んでくれていたその全部を、絶対に忘れない。

あなたが居てくれたから。
――今の私は、ここに在ります。


これからの私も、ここに居られます。



***【~14話~】***



向けらた眼差しは、どこまでも優しかった。
はやてちゃんはもう他に言うこともなく、じっとこちらを見据えていた。

ずきり、と痛む胸。
どうして――あなたは、そんなにも。

「なのはちゃん。私はいつだって……受け止める覚悟は、出来とるから」


その言葉が痛くて――ぎゅ、と硬く目を瞑る。

この想いを吐き出してしまえば、あなたを傷付けるだけなのに。
全てが分かったように笑って、そうして。あなたは、それを吐き出せという。


立ち上がって、カーテンを引く。

現れた空はすっかり色を落とし、黒と白のモノクロの世界が広がっていた。
白銀の景色を所々切り取ったように照らし出す街灯。
はやてちゃんの部屋から見える、一番近いそれに。

今だ白に埋もれた、――金色があって。

「フェイト、ちゃん」


駄目、なのに。

――ずっと、ずっと。
フェイトちゃんの声が、ぬくもりが、抜けなくて。

もう――耳の奥に、手のひらに焼き付いてしまっていて。


「……はやて、ちゃん」
「うん」


静寂が、部屋を支配する。
しんしんと降り積もる雪の音だけが、妙に耳に痛くて。

「私、はやてちゃんのこと……同情で好きになった訳じゃないよ」
「……うん。それは、ちゃんと分かっとる」

視線をフェイトちゃんから外す。
暗い屋外を見つめていたせいか、蛍光灯の明かりが眩しく、目の前が滲んだ。


「今だって、凄く大好き。……だけど、どうしても、忘れ、られ、なくてっ」
「……うん」


――私は……なんて、ひどい人間なんだろう。
私を救ってくれた人を、傷を癒してくれた人を。

今から、傷付けようとしている。

目の前に居るのは、そんなひどい人間なのに。
はやてちゃんの瞳は、やっぱりひどく優しくて。

硬く目を瞑ると、それを隠す様にはやてちゃんが抱き締めてくれた。
――とくん、とくんと静かになり続ける、鼓動音。

少しだけ震えている肩を抱き寄せると、背中に回された腕の力が強まって。
なんだかくすぐったそうに、はやてちゃんが笑った。

「ええよ。気にせんでええ。…………言って? なのはちゃん」


ぽんぽん。と。あやす様に頭を撫でられる。
声も、手のひらも優しくて。けれど震えているそれらが、凄く痛くて。

――でも、はやてちゃんは逃げなかったから。
だから、ここで私が逃げたら、もっとはやてちゃんを傷付けるだけだから。



「私は……フェイトちゃんのことが、まだ、……好き」



うん、やっぱりそうなんか。
――そう言って、はやてちゃんは笑った。


ゆっくりと、抱き締めていた腕を解いて窓際に立って。
そのまま、窓を大きく開いた。引き込む風と共に、雪欠が部屋へと舞い踊る。

「フェイトちゃん、私の声、聞こえとるか!」

暗い空に、凛としたはやてちゃんの声が響く。
ややあって頷いたはやてちゃんが、外に向かって何度か手招きをした。
吐き出された息が白く凍り、目の前を覆う。はやてちゃんの瞳は、真っ直ぐ前を見ていた。

ぱたん、と。窓が閉められる。

少しの間でも大分冷え込んでしまったらしく、モニターに映る温度が段々と下がっていくのが見えた。
徐々にヒーターの熱風が強くなり、はやてちゃんが触れていた窓が白く曇っていく。

「……やっぱ、どこかでもやもやしてたんやろな、私も」

実の所……ちょっとだけ、ほっとしたわ。そういって、はやてちゃんは苦笑した。
ヒーターの設定温度を高めると、クローゼットの中から厚手のバスタオルを一枚取り出す。

「ほんま……これで、ええんかって。……ずっと……思っとったんやろうな」


その言葉と同時に、とんとん、と控えめに叩かれるドア。
はやて。小さく聞こえたその声に、じくりと心臓が軋んだ。

そんな様子を見て、はやてちゃんは笑った。


「開いとるから、……入ってええよ」


ぎ、と開いたドアの向こうには、ぐっしょりと身体を濡らしたフェイトちゃんが居た。
頬や手といった外に露出していた部分は真っ赤で、その反対に唇は真っ青だった。
前髪からぱたぱたと小さな雫が零れ落ちる。

コートも羽織らずにそのまま来たのか、夕食時に着ていた服は水を吸い込んで色を濃くしていた。
暖房が効いている室内でも肌寒いのか少しだけ丸められた背と竦められた肩が震えている。

「……なのは」

それを気にせずに、フェイトちゃんは真っ直ぐにこちらを向いて。
突如、その瞳が投げられたタオルで塞がれた。

「感動のご対面もええけど、部屋、濡らさんでな」

気づけばドアの前はぐっしょりと大きな水溜りが出来ていた。

「……あ、ごめん」

それに気づいたフェイトちゃんが、慌ててタオルを取って拭きだす。
自分よりも先に床の事を気にするフェイトちゃんの姿に、はやてちゃんが苦笑を零す。

「なのはちゃん、あの水も滴るええ女、拭ったって」

もう一枚タオルが手渡される。
いきなりのことに少しだけ息を呑んだ。

「……フェイトちゃん」

間近にある、紅の瞳。
それを確認すると同時に、冷たい温度が身体を包んだ。

「なのは」

耳元で聞こえる声に、脳が焼け付くようで。
じんわりと染み込んで来る冷たさが、胸を締め付ける。
ぎゅ、と回された腕の力が強くて、ちょっとだけ痛く感じたけれど、何も言わなかった。

「……私、フェイトちゃんのこと、許してないよ」
「…………っ、……そっか」

緩められて、けれど離れない腕。

「……だけど、……忘れても、なかった」


私の言葉に、弾かれたようにフェイトちゃんが顔を上げた。
その表情はなんだかいつも見ていたものよりもずっとずっと幼い、迷子の子供のようで。

一度瞼が硬く瞑られた、その後。

「……はやて」

彼女の名前を、呼んだ。

「なんや」

いつもより少しだけ低く、そして短い返事が返って来て。


「……なのはを、私に下さい」
「フェイトちゃん、付きあっとる彼女、もうおるやないか」

はやてちゃんが一つ息を吐いた。
その言葉を射抜くような視線が、それでも逃げずに真っ直ぐ向いて。


「……もう、別れたんだ」
「それで今度はなのはちゃんか? ……それは、ちょお調子、ええんやないかな?」

ぎし、と。床の軋む音。

「……ごめん。でも、……もう駄目なんだ」


腕を解いたフェイトちゃんが、はやてちゃんに向かって頭を下げる。
それを見たはやてちゃんが、ため息を一つ吐いた。

「もうええんよ、フェイトちゃん。……全部、わかっとったから」

その声が、痛くて。
フェイトちゃんの腕から抜け出し、はやてちゃんへと近づく。

「……はやてちゃん、……私、はやてちゃんがいなかったらきっと駄目になってた。
 はやてちゃんが居てくれたから、今私はこうしてここに居られるから。笑っていられるから」
「……うん。ありがとう、なのはちゃん」

どうして――こんなに優しいんだろう。

お礼なんて言われる筋合い、私になんてないのに。
もっと罵って欲しかった。ひどい奴だって。怒って欲しかった。
傷付けて欲しかった。私が傷つけたよりも、もっともっと沢山。

それを抱えて、生きていきたかったのに。


「その気持ちだけで、もう私は十分や」

あなたは、それすらも背負わせてくれなくて。


「なのはちゃん、私な。私じゃなくてもええから、心の底から笑っとって欲しかったんよ」
「……もう、笑ってたよ。たくさん、たくさん」
「それじゃあかん。もっと沢山や。もっと、笑顔が見たかった」

――大切そうに、抱き締めて笑ってしまう。


「いつの間にか……こういう想い方も、出来るようになったんやなぁ。私は」
「はやてちゃん……」


笑って。
私の言葉を遮って、

「……私の幸せは、もう手に入れられたから。だから、もうええ」

ゆったりと、笑った。


「幸せの形なんて、その人にしか決められんから。真っ直ぐに生きていったらええ」


明日からは、何も関係あらへん。もうただのお友達や。
そう言って背中を押され、二人して追い出すようにドアが閉められた。

「フェイトちゃん。今度こんなことがあったら、本当に許さんよ」
「……うん。もう絶対にない。……約束するよ」

ならええ。そう言って、ドアから離れる足音が聞こえてきて。
ベッドに腰をかけたのか、小さくスプリングの軋む、ぎ、という音がした。

「はやてちゃん!」
「うん?」

一つだけ、深呼吸。
嘘偽りのない気持ちを、あなたに伝えたかった。

「……私、はやてちゃんと一緒に過ごした時間。絶対に……忘れないから」

壊れそうな私を、あなたの笑顔が私を支えてくれた。
それはもう、ずっとずっと私の心の一部で。

かけがえのない、とても大切なもので。


「……こっからが頑張り所や。二人とも、負けるんやないよ」
「……うん、ありがとう」

もう届かないと分かっていても、ドアに、その先に向かって想いを告げる。
フェイトちゃんの手を握ると、それよりも強い力で握り返された。




「……なのは」
「……うん」

もう何があっても、絶対に泣かないと決めた。


たとえこの先が痛みと苦しみに塗れていても、もう私はこの手を離さない。

泣くのは、あなたのことを想うこれで最後にしよう。
あとは笑って。真っ直ぐに前を歩いていく。

――誰よりも、何よりも強く在ろう。




どこまでも優しい、あなたの為に。

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あぁ何だか今とってもはやてさんのそばにいたい気持ちです。そしてその時だけでもめいっぱい泣いてほしいです。はやてさんはがんばりましたね。本当によくがんばりました。なのはさんとフェイトさんには幸せになってほしいですけど、あの女の子にも、そして、はやてさんにも幸せになってほしいです!次回も楽しみにしています。

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>水無月さん

やっとここまできました……。予想以上に長くなってしまいました;
そして。ああああ。素敵な文章、本当にありがとうございます!

>お互い掌が傷だらけで、触れるだけで鋭い痛みが走る。

全て素敵でしたが、特に↑ここの部分が個人的に物凄くツボでした!
拝見して画面を見つめながら一人でニヨニヨしてしまいましたw 本当にありがとうございます!
そして、嬉しいお言葉、本当に本当にありがとうございます(つ□T)
そう言って頂けると、はやてさんも汐薙も救われます(土下座

そして、正規ルートも見ていただき、本当にありがとうございました!
なんだかもうすみませんな感じでしたが…… orz
ありがとうございます。救済の方も残りあと少し、頑張ります!



>namelessさん

相変わらずnamelessさんの詩は素敵すぎて……!(*ノノ)
フェイトさんがかっこいいよ!ウチのヘタレとは大違いだ……!これからそうなって行けば、いい、な(何
いやもう、本当に嬉しいお言葉、ありがとうございます!!
はやてさんに関しては、その形で終わりの方は締めくくろうと思っていました。ネタばれた!(待て

いやもう……大分ボロボロになってきました。こういうのは長いと辛いですね(つ□T)
そうか……汐薙はヤンデレだったのか(何 
いやいや、コメント、本当にありhがとうございます!
凄い嬉しかったです(><)



>No Name さん

とてもじゃないですが、はやて視点では書けそうになかったので、こういう形にしました orz
ありがとうございます。そう言って頂けると、本当に物凄く嬉しいです。
残り後僅か。次回も頑張ります!目標はなんとか全員幸せの形を手にすること、ですね。



>杏香さん

そうですね……私もとても書けそうにありませんでした;
本当にありがとうございます。そのお言葉に、毎回勇気とやる気を頂いております(土下座
そして、正規ルートではやてを選んだなのはは~のお言葉が凄く嬉しかったです。
お一人でもそう思って頂けていた方がいらっしゃって、光栄でした。本当にありがとうござます(つ□T)

こちらこそ、こんなに拙い話で申し訳ありません;
私も杏香さん大好きです!!(自重



>ホーリッシュさん

一応念のために注意書きには記載させて頂いていたのですが、こうして表にコメントを下さったということは
読了後、余程の思いをされてしまったのでしょう。本当に申し訳ありませんでした。
お互いの想いの深さを表す関係で、ぱっと出のオリキャラには勤まらないと思い、こういった形にしました。
これがその全てと言う訳ではなく、他にも素敵なものはありますので……。本当にすみませんでした。



>夏樹さん

あれは……びっくりしました(笑 さすがに眠くて自分でも何を言ってるのかわからなかったt(SLB

そう言った感想をいただけると、素直に嬉しいです。本当にありがとうございます。
確かに、完璧にすっかり消え去ってしまう、ということはありませんよね。
お言葉、本当に光栄です。やっと残り数話になりました!なんとか頑張ります!

体調はなんとか……生きてます☆ 肉体的にはまだまだ元気なんだぜ!
いやもう、旦那からのイタメならいつだって嬉しいですw お待ちしておりますー!(自重
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
一報を頂けると管理人が喜びますw

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