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【優しい煉獄 ~13話~】



えっとですね、前回お知らせさせて頂いたように、


今回は別途、正規ルートがあります。

この話からの分岐で、拍手の奥の方へあとがきと共に入れさせて頂きました。
これにて正規ルートの方は終焉となります。

が、ここで注意を。

あまり後味がよくありませんので、見る際にはご一考下さい。
そして、一応表現は柔らかくしてありますが、少しだけはやなの描写が入ります。

そんなには痛く書きませんでしたが、それでもちょっと駄目そう、と思った方は、
このまま表に更新されていく救済ルートのみをご高覧頂ければ光栄です。

どうか宜しくお願い致します。
それでは、続きより長編となります。


なのは視点です。





好きだから。誰よりもあなたのことが好きだから。
だからもう――。

これで、終わりです。



***【~13話~】***



もう大分掠れてしまった、幼い頃の記憶。

家族でどこかに旅行に行った時だった。
路面から見えた景色に誘われるように、立ち寄った野原。

なんのお花だったのかはもう忘れてしまったけれど、見渡す限りが柔らかな黄色に染まっていて。
足を踏み入れる。それは、ふわふわとした絨毯のようだと思った。とても綺麗な光景だった。

そんな一面のお花畑に、私はフェイトちゃんと一緒に遊んでいた。

私達が座っているビニールシートが、一角だけ切り離されたように浮いていて、
まるでそこだけが世界から切り離されたようで。

フェイトちゃんはなんだか一生懸命に何かを作っていて、私はぼうっとそれを見ていた気がする。
暫らくは何が出きるのか熱心に見ていたけれど、それにも飽きて。
けれどなんだかそこから抜け出すのが怖くて。私は何するでもなく、
座ったままで近くにあった花を一輪だけ摘み取った。顔に近づけると、鼻腔に甘い香り。
近くで見るその花びらは、私の手のひらよりも全然大きかったことだけは覚えている。

『なのは、ちょっとおいで?』

その声に身体を近づけると、さっきよりもより強い甘い香りが身体を包み込んで。
頭にちょこんと、何かが乗せられたのを感じた。
びっくりして手で触れると、花びらの感触。

『うん。やっぱり似合うね』

お花で出来た冠を乗せられたのは私の方なのに、フェイトちゃんはなんだか恥ずかしそうに笑った。
それを見たらなんだか私も急に恥ずかしくなって。一緒に笑った。

仄かに吹き出した風に髪の毛を撫でられると、向かいで同じようにフェイトちゃんの髪も舞う。
きらきらとしていて、目を奪われるような鮮やかな金色で。
ぽかぽかとした陽だまりに映えて、とても綺麗だった。


『なのは、だいすき』


それは、とても優しい声だった。
ああ――そうだった。


それが、私が初めて恋に落ちた瞬間。



 ◇


遥か遠く。天空に浮かぶ。

一面に墨を流し込んだように真っ暗な空には、ぽかんと白い月が浮かんでいた。
緩やかな弧を描いて光を放つそれが、じんわりと滲んでは私を嗤うように揺れた。

静かな、夜だった。

それをかき消すように響く、路面を叩く靴の音と。浅く繰り返される荒い呼吸音と。嗚咽と。
冷えた空気の中作り出された棚引くように流れた白い吐息が、誰に掬われるでもなく消えていく。

「……っ、く……」

ぽろぽろと零れ落ちる涙を袖口で拭い、そのまま駆けた。
――今は、何も考えたくなかった。

程なくその空を、まだらに白が彩っていく。
朝に流し見た天気予報が当たり、さっきまでの澄み切った空が嘘のように霙で混じり始める。
段々と粒を大きくしていく雪が道路を仄かに染め上げた頃、ぽつんと小さな明かりが見えた。

その頃には、もうすっかり身体は冷え切っていた。
指先が赤くなり、じん、とする。痺れというより、もはや痛みに近い。

玄関のドアに近づいてインターホンを押そうとしたところで、躊躇って指を引いた。

もう深夜に差し掛かる時間に尋ねるのはどうなんだろう。
普通は迷惑以外の何でもない。仮にも恋人という間柄にせよ、如何なものなんだろう。

「……どうしよう……」

何も考えずに飛び出してしまった自分に苦笑し、そのままドアへと寄りかかった。
背中に、ひんやりとしたドア板の感触。目の前はすっかり雪模様だった。
ぼんやりとそれを見つめていると、とんとん、と背中越しにドアが叩かれたのを感じた。

「……どいてくれんと、開けられんよ?」

少し声量を抑えた困ったような声。
慌ててそこから立ち退くと、かたん、と小さな音を立ててドアが開かれた。
隙間から漏れ出す光が眩しくて、思わず目を細める。

「いらっしゃい。……寒かったやろ?」

玄関を通され、ぽんぽん、と肩にかかった雪を掃われる。
余程身体が冷え切っていたのか、はやてちゃんのその手がひどく暖かい。
そのまま、手を引かれる様にしてはやてちゃんの室内へと案内された。

すでに温められた、まだ湯気のたつ立つカップが一つ手渡される。
こくんと口に含むと、温かいミルクの味と、それを追って程よい甘さが舌先を擽って。
ふんわりと香る、蜂蜜の優しい匂い。ずきずきと軋んでいた胸の痛みが和らいだ気がした。

そして、静寂。


「……外、見てたらこっちに走ってくる人影が見えてな?」

それを切り裂くように、はやてちゃんが呟いた。

こちらに視線を合わせないまま、はやてちゃんは窓の外を見ていた。
自分もカップに口をつける。飲み下したのか、ゆっくりと喉が上下したのが分かった。

「……ごめんね、こんな夜中に……」
「いや、それはええんよ。まだ起きておったし」

珍しく、はやてちゃんらしくない言い澱んだ言葉。
わずかそれに引っかかりを覚える。

――はやてちゃんは、まだ外を見たままだった。

ややあって私の視線に気づいたのか、こちらを向いたはやてちゃんはそっと微笑んだ。
しかしそれも、やはりいつもの笑みではないような気がした。

ピンポーン、と来客を告げるチャイムが鳴り響く。
お客さんだよ?と視線を向けると、はやてちゃんはゆっくりと首を横に振った。

「……他にもおるから。私が出んでも平気やよ」
「そう、なの?」

はやてちゃんの言葉は正しく、下の方で誰かが玄関の方へと向かう足音が聞こえた。
そちらに意識を取られていると、ふと、ぎ、と小さく軋む床と、足音。

私の隣へ座ったはやてちゃんが、困ったように笑って。


「……なんかあったん?って……聞いても、ええかな?」
「――何も、ないよ。ただ、はやてちゃんに会いたかっただけだから」

はやてちゃんに心配をかけないように笑う。
その静かな瞳に、なんだか全てを見透かされてしまいそうな気がして。
ずきん、ずきんと疼いて痛む胸を、必死で押さえ込んだ。

「……こんな……泣いた跡が、あるのに?」

そっと頬を撫でられる。熱をもってしまっていたのか、はやてちゃんの指は冷たかった。
慌てて顔を膝に埋めると、はやてちゃんがそっと笑った。

「なのはちゃん、嘘がヘタやからな」

はぁ、とため息を吐く。

立ち上がったはやてちゃんは、また窓の外を見ていた。
座り込んだままカーテンの隙間から見える空を覗くと、本格的に吹雪出していた。

「……フェイトちゃんと、何かあったんやろ? なのはちゃん」
「――違うの。何も……ないよ」

だから、そんなに悲しそうな顔をしないで。
だって私が今付き合っているのははやてちゃんで。

好きなのも――、


刹那浮かんだのは、金色と紅。
それを思考の先から払うように頭を横に振ると、


「外、ちょお……見てみ?」

軽い音を立て、細い隙間しかなかったカーテンが、大きく開かれた。
淡い桜色が揺れる。立ち上がり、そこからそっと外を眺めた。

一面の雪景色は、ぽつぽつと見える街灯の光が反射してきらきらと輝いている。
もう道路なんかは、すっかり元の色が分からなくなっていた。見渡す限りに白銀の世界。

しん、と静まり返ったその中で。





綺麗な金色が、見えた。






「――っ!?」


街灯の下。どれくらいの時間いたんだろう? その身体はすっかり白に覆われていて。
それでも真っ直ぐに。深い紅眼が、こちらを見据えていた。


『なのは』


声を、聞いた気がした。
――違う。聞こえるはずがない。だって、この距離では、聞こえない。

だけど、



吐息が、震えた。


「……フェイト、ちゃん」


鼻先がくっつく位に窓に近づく。
両手をガラスに沿わせると、手のひらにひんやりと触れる冷気。

こんな寒いのに、外に居たら……っ!

声を掛けようと窓を開けようとして。ふと、視線を感じた。
何も言わず、けれど、すぐ傍で不安げに揺れる青い瞳。

「……っ、」

それ以上見ていられなくて、逃げるようにカーテンを引いて座り込む。
胸がひどく痛かった。


どうして?


「……あのままやと、風邪、引いてしまうよ?」
「っ、……私には、もう関係、ないよ」


「……なのはちゃん。ほんまにそれでええん?」


はやてちゃんの言葉に頷くことも否定することもできず、ただ静かに頷く。
すると、小さなため息が、一つ。

「私は、なのはちゃんが好きやから。……なのはちゃんの本当の気持ちを知りたいんよ」
「本当も何も……私は、はやてちゃんのことが好きだよ」

振り返ると、はやてちゃんがいて。
まっすぐにこちらを見ていて。

「同情で愛されることが……その相手にとって、何よりも一番辛いんよ? 」


心はあなたのモノになりませんと。
――そう言われているような、ものだから。

「人間は……通してええ意地と、悪い意地があるんやで?」


静かな部屋に。




「……それは、ほんまにここで通してしまってええ気持ちなん? なのはちゃん」






強い真っ直ぐな声が、零れた。


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正規ルートの方も読ませていただきました。汐薙さんのコメントを読んでつくづく自分の甘さを思い知りました。確かに皆が皆幸せになれるなんて、そんな簡単にはいきませんよね。でもいろんな娘の気持ちも考えたうえで救済ルートを考えてくださった汐薙さんは本当に優しい方だとおもいます。騎士姫は良かったですけど、これもとても心にふれました。いろんな娘たちの優しさが哀しくなります。どんな結末でも私は読みます!これからもよろしくおねがいします。

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>No Nameさん

読んで下さり、本当にありがとうございます。
皆が皆幸せになれればそれが一番なのですが、現実には、誰かが選ばれれば選ばれない誰かが居る訳で……うん。
いやもう、本当にもったいない限りのお言葉です; ありがとうございます;
結局どちらもそうでもあり間違いもありと取ってしまい、両方してしまうことにしました。
読まれる方は大変だと重々承知しておりますが、宜しければどうかお付き合いの程を願います(土下座
どんな結末でも読んで下さるとはもう……嬉しいです(つ□T)こちらこそどうか宜しくお願い致します



>夏樹さん

こんばんはー!
いやもう、相変わらず素晴らしいお言葉が!(*ノノ)独り占めwww
ここからが皆が皆正念場を迎えます……!……迎えられるといいな!(何

いや、大丈夫ですよ。ありがとうございます。
私の方こそ話の後でこれを書いてしまっていいのか少々迷いましたが、結局は決行で書いてしまいました;
夏樹さんはお優しいですよ!いやもう、多分汐薙の方が優しくないです、きっと(苦笑
消すなんてもったいないことしないんだからね!(何言って
コメント、ありがとうございました!



>もっけさん

ありがとうございます(土下座
いやもう、なんだか自分で言ってるくせに何言ってんだなことが多くて反省しっぱなしです(つ□T)
そうですね……実は最後の最後で拒絶したのはフェイトの方なのかも知れませんね……。
ずっと居座り続けるのは、きっと苦しめるだけだから。ならいっそ、消してください。そんな感じで。

いやもう、分かりにくくて本当に申し訳ないです orz
さらっと読み流していただければ幸いです;すみません;
コメント、本当にありがとうございました!



>namelessさん

おああああ!読んで下さりありがとうございました(つ□T)
想いがあるのにそれをきちんと伝えない、もしくは伝えられない。そして誤魔化して押し隠して。
なにが正しかったのかさえ、もう分からなくなる。……人の心って難しいですね……。
見た目は難解な、けれどきちんと答えのある数式の方が全然分かりやすいです(数学苦手な汐薙の例えは分かり辛

>結局救いのないEDかもしれませんが、確固とした別れの言葉と、フェイトさんを~

そう言って頂けると嬉しいです。確かにこの話で一番救いがあったには「少女」なのかも、ですね。
いやもう、書き手なのに読んで感想を下さる皆様に教えていただいております(説明が下手で駄目人間過ぎますね;
「soli/tude」……仰られるとおりです、本当に orz
救済の方ではどうにか幸せになってもらえるように頑張ります!

いやいや、そんな!
私、namelessさんが書いてくださる詩、大好きですよww
凄く嬉しいです、ありがとうございますーww(><)ノシ


WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
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