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【優しい煉獄 ~12話~】


長編です。

もう……なんでこんな難しいの書いてるの、自分。って罵りたくなるくらいに難産です。
気持ちって難しいですよね……。思っても上手く文にならなくて、その度に自分の力不足を
痛感させられます。……すみません。汐薙ごときが無理な話なのです orz
ですが書き始めてしまった以上、なんとかやれるとこまでやってみようと思います!

あ、あとですね、また次の話の前でご連絡させて頂きますけれども、
今回は特異ということで、エンディングが二種類あります。

もともとの正規ルートと、そして新しくプロットを立てた救済ルート。

正規ルートを載せるときは、間違って見ることがないように拍手の奥の方に突っ込みますので
興味のある方だけが見ていただけるような仕様にしてみようかな、と。

と、長々と前置きをすみません;
詳しくは後ほど(土下座

では。大丈夫、という方のみ続きからどうぞ!
フェイトさん視点になります!




気持ちは、刃だ。
持つ者の覚悟によっては強い剣となり、盾となる。

守ろうと包み込んだ私の抵抗なんていとも簡単に突き破り、世間の刃は
必要なまでに容赦なく、なのはをズタズタに切り裂いていく。
まだ子どもながらに、それは分かっていた。

君が傷つく姿を見たくなくて。
私の存在が君を傷つけることだけが怖くて。

――だから離れた。
包み込むのではなく、なのはの前を守る立場になろうと思っていた。

なのに。頭では理解していても、心が認識してくれない。
だめだと言い聞かせて必死になる度に、私はただ夢中で刃を振りかざした。

中途半端な覚悟で振りかざしたその刃は、いつしか向ける先を間違えて。

傷つけたくなかったはずの、君を。
ただひたすらに、君だけを傷つけていた。


向ける先は、もっと違う場所にあったのに。



***【~12話~】***


主人の居なくなった部屋は、妙に静まり返っていた。
ぎゅ、と強くシーツを握り締めると、じんわりと赤い模様が白地のそれを染め上げていく。
ぱたりと涙が一つ零れ落ちると、その赤は輪郭を歪めた。ぱたぱたと降り注ぐ、涙。
ひんやりと冷たいシーツにおでこを押し付ける。

強く唇をかみ締めると、口内に鈍い鉄の味が広がった。




――さようなら。


それは静かな、落ち着いた声だった。





彼女と別れたのは、もう何ヶ月も前のことだった。


「……ごめん。もう……君とは付き合えない」


放課後の、誰も居ない教室だった。
2人だけの室内は妙にしんと静まり返っていて、落ちかけた陽で茜色に染まっていた。
机や椅子なんかが長い影を落していて、向かい合う彼女の表情は前髪に隠れて見えなかった。

「……どうしてですか?」

妙に落ち着いた声質だった。まるで、そう言われるのがあらかじめ分かっていたかの様に。
けれど、その末尾は震えていた。硬く握り締めた拳が、ぎゅ、とスカートの生地を掴んでいて。
真っ白になった指先が……痛々しかった。

「……もう、君を騙す事は……したくないんだ」

なのはがはやてと付き合いだしたとアリサに聞いて。それを見て。
――私は、もうすでに上手く笑うことが出来なくなっていた。

想いだけが、強く残って。
抑えきれないそれが、徐々に私を侵食していく。

なのはを失ったことでぽっかりと空いた心の穴は、埋まることはなかった。
かと言って彼女のことが嫌いなわけではない。いい子だし、とても優しかった。

だから。だからこそ、だった。
やはり私は。なのはを忘れることなんて、できなかった。

手を繋いでいても、その温もりに思い出すのはなのはで。

嬉しそうに笑う表情。私の名前を呼ぶ、愛らしい声。
――私は、彼女のその全てに、なのはを重ねてしまうようになっていた。

ひどく歪んだ想い。

彼女が「なのは」であることを、強要してしまいそうになる。
そんなの馬鹿げてる。彼女は彼女だ。なのはではない。

分かっているのに、止められない。
きっともう――壊れてしまったんだ、私は。

なのはがいないほうが、私にとっては地獄だった。


このままだと私は、――なのはを求めることを止め、
なのはに見立てた彼女を求めて、きっと「彼女」を消してしまう。


「もしかして……なのはさんが関連していますか?」

ふいに呼ばれた名前に、びくりと肩を揺らす。
その問いに返さずとも大声で叫んでいるようなその反応に、目の前の彼女は顔を歪めた。

「どうしてですか!? どうしてなのはさんなんですかっ!……だって、妹なんでしょう!?」
「……っ、」

泣き叫ぶ声が、聞こえた。

「おかしいですよ……。そんなの……おかしいじゃないですかっ!」

縋るように捕まれた腕が、じくりと痛む。

「だって血が繋がってるんでしょう!?姉妹なんですよ!? そんなの正気の沙汰じゃないっ!」

だから、止めてください。私の隣に居てください。
私だって同性同士で、隔たりはあるかも知れません。だけど、妹さんよりはずっといい。
――そう言って。震える手のひらで、さらに強くぎゅっと捕まれた腕。

心が、軋んだ。
言葉の一つ一つが深く胸に突き刺さる。

痛かった。目を反らしたかった。
……けれど。もう、全てが遅いかも知れないけれど。

「……ごめん……」

もう逃げたく、なかった。
持った刃を、真っ直ぐに振りかざして生きていく。

「……他にはそうなのかも知れない。……けれど、私は、」


逃げて逃げて――逃げた先で。
なのはが居なくなった、セカイが壊れた先で。

やっと、分かったんだ。

「けれど私にとっては、やっぱり。これが”正”しい”気”持ちなんだ」


私にとって最初の恋は、なのはだった。
そして――最後の愛もまた。なのはだったんだ。

それは自分勝手な、最後のわがまま。


「私は。”妹”を愛してる」


妹。今まで避けていた言葉を、ゆっくりと紡ぐ。
愛してる。なのはを、愛してる。

例え――なのはが、




ゆっくりと。つかまれていた手のひらの力が抜けた。
ずるり、と崩れ落ちるように床へと座り込む彼女。ぱたぱたと、涙が床を叩いていく。

「……知って、たんです、本当は。いつも、見てましたから」

小さな、掠れる声だった。


「フェイトさんがなのはさんを好きなことも。それで悩んでいることも、全部」
「……ごめん……」

開いた窓が端に止められたカーテンを揺らしている。
静寂が続き、それがふわりと柔らかな曲線を描き、壁へを寄り添う頃だった。

「……私、なのはさんの事が嫌いでした。いっつもフェイトさんのこと、独り占めしてて」

だから、と。そう言って。

「知ってたんです。……あの日、なのはさんが教室にきた事」

あの日。彼女の言うそれが何のことか分からず、けれど話の腰が折れずに私は頷いた。

「チャンスだって思った。私が手を握ると、フェイトさんが少し困ったように笑うこと、知ってて。
 それをなのはさんがちゃんと見ていたことも。それを見て、優越感に浸った私が居たことも」

ずきん、と痛む胸。

いつだったか、なのはが泣きながら帰ってきたと母さんに言われたことがあった。
心配で、けれどなのはには聞けなくて。――それが、「あの日」だったんだろうか?

「初めは、嬉しかった。フェイトさんはもう私のものなんだって、わかってもらえたって。
 だけどなのはさん、笑ってる私を見て、笑い返したんですよ。
 皆が居るその場では……嫉妬したり泣いたりしないで、ただ綺麗に笑ったんです」

その後すぐ、なのはは何も言わず廊下を駆けていってしまったそうだ。
――そして暫くして、なのはははやてと付き合い始めた。

「愛して欲しくて無理に想いを強要して。離したくなくて一方的に束縛するだけの私なんかよりも。
 この人は本当にフェイトさんが好きなんだって思った。……けれど、敵わないって認めたくなかった」

ごしごしと溢れた涙を拭って。
真っ直ぐにこちらを見据えた彼女が、笑った。

「全部知ってて……2人の弱ったところに漬け込んだんです。……私は。」
「……違う。君は悪くなんかないよ。…………全部、私が悪いんだ」

「……そうですね、フェイトさんがもっと強く居れば、私だって初めから諦められたのに」

ぱしん、と大きく乾いた音が響く。
じんわりと頬に広がる鋭い熱と、痛み。

「さようなら、フェイトさん」
「……さようなら。今まで、ありがとう」



秋の始まりの季節。教室を出たその背中を追うことなく、見送って。
頬の痛みを抱き締めて、私は家へと向かった――。


 ◇

なのはと話し合おうとしても、なのはは私を避け続けていた。
クラスも遠く、休み時間に向かってもなのはは委員会などでいないことが殆どだった。
家でも食事の時間でしか顔を合わすことがなく、それ以外はなのはの部屋には鍵がかかっていた。

今まで一度もかけられることのなかったそれが、かけられている。
なのはの心を表すようで、ひどくもどかしかった。


――そして、今日。
夕食の際のなのはの言葉を聞いて、頭が真っ白になった。
明日、明後日。考えるまでもなく、はやての家で。泊まりで。

じくじくと痛み出した頭の片隅。
ぎ、と。小さくベッドのスプリングが軋んだ音が聞こえた気がした。
はやてが遊びに来た、あの日。あの時の焦燥感が、一気に全身を駆け巡っていく。

嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。


このまま。逃げたままで全てが終わるのは嫌だった。
私の”本当”をなのはに知ってもらうことが無いまま、それで終わることは嫌だった。

終わるのならば、全てを知って貰ってからがいい。
――ううん、終わらせたくなんか……ない。

なのはの傍に、居たい。

訪れたなのはの部屋の前で。お願いだから開いてとノブに手をかけた。
震える手でドアをノックすると、なのはの声がして。ドアを開けたら、昔と変わらない室内で。
なのはのいい匂いで満たされてて。私のものは何一つ残ってなくて。

苦しくて。怖くて。痛くて。


想いが、溢れて。
止められなかった。


守るから。一緒にいるから。言うだけなら初めから簡単だった。
それを馬鹿正直に意味を捉えて全部は無いかもしれない先を見すぎて、杞憂して。

なのはの気持ちを勝手に決め付けて、疑った。
なのはの為に、なんて。――全然そんなのじゃ、なかった。

『ばいばい、フェイトちゃん。今まで……ずっと、あなただけを愛していました』

いつだって私は、遅すぎるんだ。


ごめんね、なのは。

何度謝ったってきっと許されるはずなんてないって分かってる。
全部弱かった私が悪くって。そんなこと言える資格なくって。

だけど――なのは。お願い。


そんな悲しそうな顔で、ばいばいなんて言わないで。


私以外が居なくなった室内でぐっと涙を拭い、シーツを掴んでいた手のひらを解く。
そのまま、俯けていた顔を真っ直ぐ前に上げて。

部屋を飛び出した。
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>旦那w

こんばんはー。先日はありがとうございましたーw

やっと佳境へと入って参りました!
ここからフェイトさんが頑張りますよっ!(@救済ルート

そして。相変わらずコメントに書いて頂いたのがカッコイイ!
引用してコメントをお返ししたいところですが、もうしないと言っちゃったんで
ありがたく独り占めしておきます!wwww(ぉ

ありがとうございますー!
残りもう少し。がっつりと頑張ります!!(><)ノシ



>ナイトフリーダム さん

いや、フェイトさんはハンパなままじゃ動かないだろうな、と。
素直に……うん。言えなかったんですね、きっと。
社会に出ている人間ならどうにかなると思ってしまうことも、中学生の彼女達には
ひどく大きいものに見えてしまう。中学生位だと、まだ世界が狭いと思いまして;
周りと、自分達のことしか知らない。だから、未知の世界に踏み出すのが怖い。
けれど、その恐怖を乗り越えてでも、手を取り合いたかった。……的な(何

バトンは色々とあるんですねー。
漢字とか……なるほど……。


>namelessさん

おおお!カッコイイ!wwww
こんな素敵な詞が思い浮かぶnamelessさんは何者なんだっ!wwww
私もその格言は見たことがあります!www
おお、なるほど!と妙に納得いたしました。凄いなって。

>狭い部屋では~

これには、汐薙と考えていたことがガチでびっくりしました。
私も狂愛とか好きですよー! 病むっていうのはある意味純粋なくらいその人を
愛してるってことにもなりますよね。あまりにも酷いのは……あれですが……;

すみません、ED片方、お察しの通りでした orz
おごああああ!ごごごごめんなさい!!(全力土下座
救済ルートでは必ず幸せにして見せますので!!



>もっけさん

いやもう、光栄な限りです;
もったいないお言葉、本当にありがとうございます(土下座

うーん。そうですね……。
あまり万人に受け入れられない考えであることは、感じております;
うん。でもやっぱり、手を離した人に再び手を伸ばすって言うのは怖いかな、なんて。
「愛の反対語は拒絶」だと昔聞いたことがありまして;それに沿っていってみました。

いやもう、毎回深くまで読んでいただけて凄く嬉しいですw
そしてお気遣い、本当にありがとうございます。
胃に穴が開かない程度に頑張っていきたいと思います!



>杏香さん

はいw、そう言う形にしてみました!
ただ……あれをはやなのと呼んではいけない気が、です、ね。
……本当にはやてさんには申し訳ない限りです;
次回のはやなの長編では思いっきり甘くしていきたいな、と(つ□T)

嬉しいお言葉、本当にありがとうございますー!
いやもう、毎回沢山の勇気を頂いておりますwww

救済ルートの方はまだ少しばかり続きますので、
どうか宜しくお願いいたします!(土下座



>まーぴょんさん

ついに動きました、フェイトさん!
ってwwちょww まーぴょんさん待ってwww

それなんて 凄 い 修 羅 場 ですか!

いやでもちょっと思ってた自分がここにいたり(ぉ
ありがとうございますー!これからも頑張りま……って女王は止めてええぇぇ(*ノノ)
は、恥ずかしくなんかないんだからね!(何
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
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