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【幸せの欠片(サイト投下版)】

冬コミにて出させて頂いたSS本の中の1本です。
前にサイトに投下します宣言をしましたので投下~。
すみません、ギリで詰めたんでちょっと見難いかもです;すみません;
あ、あと閲覧ご注意ください。

いちはち……いや、いちなな?位です。



==========

「もう寝ちゃったよね……さすがに」

心持ちいつもより速度を上げて、誰もいない道路に車を走らせる。
横に視線を反らすと、車に備え付けてあるデジタル時計の文字盤が
暗い闇の中でちかちかと青白い光を発していた。

時刻は、翌日になる少し手前。

時よ、止まれ!なんて願ったところでどうにかなる筈もなく、
その数字は段々と増え、着実に時を刻んでいることを表していた。

「……もう少し早く帰れると思ったんだけどな」

ため息を吐き、ふとフロントガラスから空を見上げると
一面に墨を流し込んだかのように雲ひとつなく、見事に真っ暗。

その中に思わず目を瞑りたくなるような、
冷たい輝きを放っている真っ白い大きな月が見える。


マンションの駐車場について指定の場所に車を止めた後に、
空を仰ぐようにしてその月を見上げた。

そう言えば、月を見上げるのは……久しぶりかもしれない。

海鳴にいた頃は、よく満天の星と共に白い大きな月を見ていたけれど。
こちらに来てからは、仕事で忙しくてゆっくりと見上げる暇なんて
……なかったような気がする。

……それでも一度だけ。
忘れられない位に綺麗な月を見たことが、あった。

中学を卒業して、局の宿舎の相部屋になのはと二人で移り住んで。
それから3ヶ月程経ったあの日。

本局でなのはの話をしていた人たちに嫉妬して、なんだかひどく苦しくて。
どうしようもない気持ちで宿舎に帰った……あの夜。

なのはに抱きしめられながら窓越しに一緒に見上げた月は、とても綺麗で。
でもそれ以上に……月明かりに照らされたなのはの横顔が、綺麗だった。

今でもはっきりと脳裏に焼きついた様にその表情は鮮明に思い出される。

あの時はひたすらに…ああ、君と会えて本当によかった、そう思って。
君と会えたこの奇蹟を誰に感謝すればいいのかも分からなくて。

腕に感じる柔らかなぬくもりを抱きしめながら
私が知っている限りの――……この世の全てのものに、感謝した。

なのはと出会わせてくれて……本当にありがとう、と。

------------------

夜風に当たっていた身体は幾ばくか冷えてしまい、その事で我に返り、
温かさを求めて足音を立てないようにして部屋へと向かいだす。

硬いタイルの床は革靴の音をよく反響させてしまうから、
隣人を起こしてしまわないように気をつけないといけない。


かつかつかつ。


エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。
身を切るような静寂の中で、エレベーターが駆動する音だけが響き出した。

――……こんなに長くかかるとは思わなかったな…。
壁に寄りかかって段々と上がっていく回数ボタンを
何気なく見つめたままで、誰に言うでもなくそう呟く。

紡がれたその言葉は情けない位に擦れていて。
それがなんだかひどく可笑しくて、自嘲交じりの笑いが口から零れた。

今回の任務は多数にわたって発見された未確認のロストロギアの調査。
性質検査にも加わっていた為に気づけば2ヶ月と言う期間が経っていた。

モニター越しに何度も会話をしたけれど、やっぱり会えないのは寂しくて。

特に今回はヴィヴィオの入学式が期間内にあった為に、
結局はヴィヴィオの新しいスタートをなのはと見守ることが出来なかった。

「……入学式……行きたかったなぁ…」

「大丈夫だから気にしないで?フェイトママ」
そう言ってくれたヴィヴィオの顔はちょっとだけ寂しそうで。
「お仕事なんだから気にしなくていいんだよ? フェイトちゃん」
……そう言ってくれたなのはの言葉に思わず涙が出そうになった。

任務にもよるけれど、執務官は年の半分位が船の中。

執務官になったことを後悔するはずもないけれど、
こうやって大切な人達に寂しい思いをさせてしまうのは

――……やはりどうしようもないほどに、辛い。


ピンポーン。

私の重い心とは別に、軽快な音を立てエレベーターのドアが開く。

……今日帰るとは言ったけど、もう12時過ぎだからきっと寝静まってるかな。
ぼんやりとそう考えながら玄関のドアの前に立って、鞄から鍵を取り出した。

そうして差し込もうとした所で急に、がちゃりと音を立てて扉が大きく開いて。

「わ……っ」

突然のことに思わず仰け反ると、まるで悪戯が成功した子供のように、
満面の笑顔を浮かべたなのはが顔を出した。

「おかえり、フェイトちゃん。……びっくりした?」
「それはびっくりするよ、急に開くから。……寝ないで待っていてくれたの?」
「それはもちろんだよ~」

ほんのり桜色に染まったなのはの頬に手を寄せてゆっくりと何度か撫でると、
嬉しそうに微笑んでくれた。

「ただいま。遅くなってごめんね、なのは」

両手を一杯に広げて腕の中にその身体を閉じ込めて、ぎゅっと抱きしめる。

腕の中に感じる温かい体温と鼻腔をくすぐるなのはの甘い香りは、
なんだかひどく久しぶりな気がした。そのことに今更ながら
本当に長い時間なのはと離れていたんだな、という事が実感される。

「うん。お帰りなさい、フェイトちゃん」

嬉しそうに目を細めたなのはの唇に、引き寄せられる様に自分の唇を寄せて、
何度か触れ合わせる角度を変える様に口付けていく。

なのはの唇から伝わってくる温かさが、今までの寂しかった思いと、
仕事で張り詰めた緊張をゆっくりと溶かしていくような気がした。

「お腹、減ったでしょ? スープ温めておくからその間に着替えてくる?」
「ん、ありがとう。なのは」

腕の中になのはの温かな身体を抱きしめたまま玄関の扉を閉めて、
最後にもう一度だけ触れるだけのキスをして靴を脱ぐ。

キッチンへと向かったなのはの背中を見送ってから
音を立てないように寝室のドアを開くと、薄暗い闇が広がった。

遮光にすると朝起きられなくなっちゃうから、そんな理由で選んだカーテンは
よく光を通すから朝はちょっと眩しかったりするのだけれど。

夕暮れ時にもなると、うっすらと月明かりが入りこんで色が変わり、
いつもは白いカーテンが夜だけはその日の空の色に染められていく。

――……それが実は密かに好きだったりする。

月の明るい夜はカーテンから漏れ出た光がいくつもの帯を作り、
部屋の中に金色のリボンが施されていく。そのリボンが重なり合う
一際明るいところに彼女のベットが来るように配置したのは、大分前のこと。

――……ヴィヴィオはまだ暗がりを怖がるから。

少しでも怖くないようにとなのはが提案して、二つ返事で私もそれに
同意したのが始まり。ヴィヴィオのベットに寄り添うように置かれた
私達のベットにもやはり月明かりが当たるから、最初の頃は少しだけ
明るくて、すぐには眠りにつけなかったのだけれど。

月明かりに照らされたなのはやヴィヴィオの穏やかな寝顔を見ると
とても幸せな気分になれるから、それでもいいなって思っていた。

「ただいま、ヴィヴィオ」

緩やかに肩を上下させて寝息を立てているヴィヴィオの頭を
何度か柔らかく撫でて。中々帰って来れなくて、淋しい思いさせて
ごめんねって想いを乗せて、小さなおでこにキスを一つ落とす。

「うみゅ……」

くすぐったそうに身を捩ったヴィヴィオは、なんだか嬉しそうにも見えて。
その表情を見つめて、自然と自分も頬が緩んだのがわかった。

少しだけずれていた上掛けを掛け直した後に、身を包んでいた上着を
ハンガーにかけて。そのまま、音を立てないようにして、
なのはが待っているキッチンへと向かった

***

「ごちそうさま。おいしかったよ、なのは」
「にゃはは、そう言って貰えると嬉しいな」

ソファーに座って一息ついていた所に、なのはからコーヒーが入った
マグカップの一つを手渡された。

ドリップされたばかりのそれは、ふくよかな香りを醸し出して。

部屋いっぱいにコーヒーの凄くいい匂いがする。
一口飲むと程よい柔らかな甘さがじんわりと口いっぱいに広がった。

「疲れてる時は甘いものがいいって言うから、いつもよりお砂糖少し多めだよ?」
「うん。……甘くて美味しい。ありがとね」

その言葉に、本当に嬉しそうに笑うなのはの頬に手を寄せて撫でると、
その手に頬を摺り寄せられる。そのしぐさが可愛くて、
飽きもせずに何度も撫でて、おでこに啄ばむようなキスを落とす。

「……なのは、最近ヴィヴィオはどう?」
「うん。ちゃんといい子に育ってるよ?」
「そっか……よかった。」

その言葉に、嬉しいような悲しいような……少しだけ複雑な気持ちになる。
私は、なのはみたいにヴィヴィオに何かしてあげられているんだろうか……って。

入学式にも行けなくて。
普段の生活でも出張が多いから中々かまってあげられなくて。
そう考えるとどうしようもない位に――……申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「ヴィヴィオね?」

俯いたまま黙り込んでしまった私の頬に手が寄せられて、
そのままやんわりと前を向かされる。
眼前に広がるのは、どこまでも優しいなのはの笑顔と

「この間翠屋でお母さんにケーキを貰ってきた時とかもね。
 後でフェイトちゃんと食べるんだって言って大事に残しててね? 
 結局は食べちゃったんだけど、フェイトちゃん来たら
 皆で一緒に作ろうねって  約束もしてね」

「……うん…」

「いっぱいお話したいことあるんだって。
 だから大好きなフェイトママに早く会いたいなって、いつも言ってるんだよ?」

「……っ、うん」

緩やかな曲の様などこまでも優しいなのはの、声。
眼前に移りこんだなのはの輪郭がにじんで、徐々にぼやけていく。

――……聞かされたその言葉が嬉しくて。
本当にどうしようもないほどに……本当に、嬉しくて。

涙の止まらない震える私の身体が、柔らかななのはの温かい体温に
包み込まれていく。小さい子をあやすように頭を撫でてくれるその手に、
今まで凝り固まった様に心の奥底に潜んでいた不安が溶かされていく。

――……溶けた不安は涙となって、私の中から流れ出て行った。


「ごめんね、なのは……ありがとう」

気分が落ち着くまでなのはにしがみついて、泣いて。
ふと我に返って顔をあげると、嬉しそうに目を細めたなのはと目がかち合う。

どこまでも優しい――……私が大好きな、なのはの瞳。

久しぶりに泣いてしまったことに少しだけ気恥ずかしくなって視線を背けると、
くすくすと笑うなのはにぎゅっと力を込めて抱きしめられた。

「フェイトちゃん、愛されてるんだからもっと自信持っていいのに」
「……ん」

涙で頬に張り付いてしまった髪の毛を指先で除けられて、
涙で濡れたそこにキスを落とされる。何度も何度も目元に柔らかな唇で
触れられ、溢れた涙をゆっくりと唇で吸い取られていく。

「でもフェイトちゃん、ヴィヴィオのことばっかり。
 私だってすご~く淋しかったんだけどな~?」

少しだけわざとらしくそう言って、満面の笑みを浮かべるなのはに
いきなり弱いところをくすぐられる。

「う……ごめ…ひゃっ! な、なのは……ふふっ、やめ…! あはっ」

笑いを耐えることに我慢できなくなってなのはの頭に手を回して引き寄せると、
優しく笑うなのはの綺麗な顔が眼前に広がった。

少し動けば鼻先が触れてしまうほどに、近い。
目が合って微笑まれて。

その表情に――……どくん、と心臓が早鐘を打ち始める。

なんだか胸が苦しくなって。
それを誤魔化すようにさらに引き寄せて噛み付くようなキスをする。

何度か唇の角度を変えて触れ合わせると、
ゆっくりとなのはの身体から力が抜けていくのを感じた。

「ん……ふぁ…」
「…ちゅ……っ、んはっ」

舌でなのはの唇を割り開いて、ゆっくりと口内に這わせる。
久しぶりに感じる甘い味に、段々と脳が蕩けていくのを感じた。

綺麗に整った歯列に這わせて、その柔らかい舌に自分のそれを絡める。


くちゅ…っちゅ…ぷ

静寂に包まれた部屋の中に絡み合う水音が響き渡る。
私の腕の中でもう力が抜けきっているなのはの身体は、
舌が擦られるたびに、ぴくんと小さく跳ねて。

……それが可愛らしくてたまらない。

なのはの唇を隙間も出来ないくらいに自分の唇で塞いだそのままに、ゆっくりと
体重をかけて、自分の身体ごとなのはの身体をソファーへと沈めていく。

仰向けに倒れこんだなのはの亜麻色の髪がさらさらとソファ―から流れ落ちて、
緩やかに床へと広がった。絹の様なその髪は光を蓄えて艶々と輝いていて。

相変わらず凄く綺麗だなって――……そう思った。

「ふぇいと、ちゃん」

ゆっくりと唇を離して。部屋の蛍光灯の光を反射してきらきらと輝くお互いを
繋いでいた糸を舐め取ると、それを見ていたなのはと視線がかち合った。
ぼんやりと視点があっていないその瞳は、いつもと違ってあどけない子供の様で。

「…なのは、その……いい、かな?」
「うん……いい、よ? ……ふぇいとちゃん」

一人でいた淋しかった時間を、早くお互いで埋めてしまいたい。
そう考えていたのは私だけじゃなくなのはも同じでいてくれたようで。

真っ赤になった頬を隠そうともせずに、
背中に腕を回されてぎゅっと抱きしめられた。

「うん、ありがとう…なのは」

前髪を指先で除けてキスを落とす。

緩やかに閉じられた瞼と綺麗に通った鼻筋
真っ赤に染まった頬の順に唇を寄せて。

私の着ていた服をなのはに脱がせて貰って、
私も逸る気持ちを押さえつけて、少しだけ震える手で
なのはのパジャマのボタンを一つ一つ丁寧に外して。

首筋に唇を滑らせて所々を強く吸い立てると、真っ赤な花が咲き誇っていく。
薄っすらと上気して桜色に染まった肌にその花はとても綺麗に映えて
より一層の赤みを強調させて。それを嬉しく思いながら、
壊れ物を扱うように出来るだけ優しく、その豊かなふくらみを
包み込んで少しだけ力を入れて指を動かしてみる。

「……ひんっ!」

触れていないもう片方を口に含んで、舌でつついて転がすように撫でると
急な刺激に驚いたようななのはの声が上がった。
その声をもっと聞きたくて少しだけ歯を立てて強く吸い立てていくと、
口に含んでいた先端が次第に硬さを増していくのが、舌先でも感じられる。

「あ、あぅ……んぁっ…やぁっ!ふぇいとちゃ、そこばっか…りっ…ひぅっ!」
「……ん、ごめんね、なのは」

そのまま覆いかぶさっていた身体を少しずつずらしていって
熱が篭って熱くなった手のひらで太ももを撫で上げて。

何度もキスを落として、少しだけ開かれた両足の間へと身体を滑り込ませた。

震える指先で……ショーツ越しにそっとそこに触れてみる。

ゆっくりと中心をなぞると、指先にかすかな水気が感じられた。
そのまま何度か触れるか触れないか位に指を動かしていくと、小刻みに
震えるなのはの身体に比例する様に、その水気は段々と目に見えて増していく。

「凄い濡れてるよ? そんなに気持ちいいんだ?」
「ん…っ、あ……ふっ、そんなこと、言わないでよぉ…」

少しだけ意地悪く囁いたその言葉に、赤くなった顔を更に赤くするなのはは、
凄く可愛くて。――……背中から甘い痺れが走る。

――……理性が情欲に押し上げられて。
上手く形を成す前に、その甘い痺れに崩されていく。

「…なのは」
「……ひぐっ!んあああぁっ!」

ショーツ越しに中心にキスを落とすと、
胸が高鳴る様ななのはの香りが鼻腔をくすぐって。

――……完全に思考が熱に溶かされたのを、感じた。

びくびくと震えるなのはの腰をやんわりと押さえつけて、
何度も飽きることなくそこに舌を這わせていく。

少しずつ強く。でも決して強すぎる刺激にならない様に優しく。
なのはの奥に潜んでいる快感を引き出すように。

私だけが引き出すことが出来るその快感の海に、溺れて欲しくて。
その海の中で、恥ずかしさなんて感じない位にただ私だけを感じて欲しくて。

「ん、あぅっ…、――っ! やらぁっ、ふぇいとちゃ、も…、んやあぁっ!」
「――っ! …なのは……今凄く可愛い顔、してるよ」

半べそをかいたようななのはの声に顔を上げると、
そこには真っ赤にして蕩けきったような表情のなのは。

その顔が、その声が、とても可愛くて。
ぞくぞくと腰から背中へと、先ほどよりも強い痺れが走っていく。

その痺れは、私の中にくすぶっている炎をさらに大きなものへと変えて。
その炎は、跡形もなくなった理性を焼け焦がす。

そして私はひたすらに。
乱れて絡み合った体温だけを、幸せで溢れた脳に焼き付けた

***

「なのは、大丈夫?」
「う~……だいじょ~ぶ…じゃ、ないかも……」
「あう……ごごご、ごめんね! なのは」

あれからお互いを蝕んでいた寂しさが埋められるまで何度も何度も抱き合って
――……気がつけばもう夜もすっかり更けてしまう時刻になってしまっていた。
空調が効いているとはいえ、少し冷えてしまった身体はやはり肌寒い。

寝る前にもう一度コーヒーを飲んでから寝ようか、
そう切り出したのはなのはの方だった。

コーヒーを淹れているなのはの後ろ姿はやはり少しダルそうで。
私が用意するから、そう言うと、これは私の仕事だから、
フェイトちゃんは待ってて?とその行動を制されてしまったのは、先ほどの話。

強情だなぁ、なんてため息を吐きつつもなんだかくすぐったい気持ちでなのはの
背中を見つめていると、パタパタと廊下からたどたどしい足音が聞こえてくる。

今、私達はここにいる……から
その足音はなのはなはずがない……よね?

と、言うことは……


「ん~……なのはママ?」

しばらくすると足音は扉の前でぴたりと止まり、大きく開いたドアから
眠たそうに目を擦りながらヴィヴィオが顔を出した。

「あ、ごめんねヴィヴィオ! 起こしちゃったかな?」
「ん~ん、へ~き。お水、飲みに来たの」

そんななのはとヴィヴィオのそんなやり取りを見つめながら、
胸に温かいものがこみ上げてくるのを感じて。

「ただいま、ヴィヴィオ」

その声に俯いていた顔が上げられて。
次の瞬間には先ほどまでの眠気を帯びたものから一変して、花開いた様な笑顔。

「フェイトママ!」

飛びつくように抱きつかれ、バランスを崩しそうになった身体を足で支えて
その小さな柔らかい身体を優しく両腕で包み込んだ。

やんわりと頭を何度か撫でると、嬉しそうにえへへ…と笑う声が聞こえてくる。

「お帰りなさい、フェイトママ」
「ん、ただいま。なのはママの言う事をちゃんと聞いて、いい子にしてたかな?」
「いい子だったよ、ね~? ヴィヴィオ?」

「うん!あのね、ヴィヴィオ、ちゃんとぴーまん食べれるようになったんだよ!」

えっへんと胸を張るそのしぐさが可愛い一方で、本当に頑張ったんだなって。
……そんな笑顔だなって思った。

「ん、そっか! いい子だね~。偉いよ、ヴィヴィオ」
「えへへへへ」

そうして、眠るまでの少し前に3人そろって
ちょっとだけのお茶会が開かれることになった。

ヴィヴィオは凄くたくさんの話を私にしてくれた。

たとえば学校のこと。友達のこと。勉強のこと。

……思いつく限りに、とにかくたくさん。

言いたいことが上手く言えずに、もどかしそうに話すヴィヴィオの目を見ながら、
私となのははその話に一つ一つ相槌を打つ。

緩やかで、ほわほわとして。凄く凄く――……あったかい時間が流れて。
私は眠気も忘れて、その幸せな時間に身を委ねた。

それから少しして、こくこくと船を漕ぎ出したヴィヴィオは、
今はもうすっかり夢の中。幸せそうな顔をして眠る娘を起こさないように、
できるだけゆっくりと抱き上げて寝室へと連れて行く。

緩やかな寝息を吐くその身体に上掛けをかけて。
私も自分のベットへと滑り込むと、片づけを終えたなのはも寝室へ戻ってきた。

「ヴィヴィオ、幸せそうな顔してるね。」

そう微笑んでぷにぷにと頬をつつくなのはのその表情はとても穏やかで優しくて。
嬉しそうに目を細めているなのはの頬に指先を這わせると、
柔らかな視線がこちらへと向けられる。

「…なのはも、幸せそうな顔してるよ?」
「そういうフェイトちゃんだって。もう溶けちゃいそうな顔してるよ?」

私の頬に這わされたなのはの指先はとても温かくて。
その手を取って、きゅっと握り締める。

「…ん。だって私、今凄く幸せだから」
「うん、私もだよ? フェイトちゃん。」

「もう遅いから寝よっか?」
「うん、そうだね」

触れるだけのキスを交わして。

布団に潜り込んだなのはを腕の中に抱きしめながら頭を何度か撫でると、
先ほどの疲れも出てきたのだろう、すぐに緩やかな寝息が聞こえてきた。

「なのは……」

なのはの身体越しに見える、夜の色に変わったカーテンにうっすらと
浮かび上がるのは、真っ白な月。その放たれた光は、先ほど車の中で感じた
目にしみるような眩しさや冷たさはもう微塵も感じられず、ただ綺麗で。

――でも、こんなにも綺麗な月よりも。
やっぱり、月明かりに照らし出されたなのはの方が、ずっと綺麗だなって思う。
……そんなことを言ったら、きっと君は顔を真っ赤にしながら
照れた笑いを浮かべるんだろうけど。

そんなことを考えながらなのはの穏やかな寝顔を見つめていると、
ふいにあの時のなのはの言葉が甦ってくる。

中学1年生の時。
私がなのはに告白した……あの時。

「私じゃ……フェイトちゃんに、なにもあげられない」
「家族をあげられない」

――……そう言って君は苦しそうに泣いたけれど。

今の私の傍にはヴィヴィオがいてくれて。
そして隣には、いつもなのはがいてくれる。

こうして、両手では抱えきれないような胸に溢れかえるような
幸せな日々の中に私は、いる。

――……それはすべて、紛れも無くなのはが私にくれたもの。

冷たい光しか放てなかった弱い私を、優しく包みこんでくれて。
暖かい光の出し方を教えてくれた……太陽みたいな女の子。

数え切れない位に、私にたくさんのものをくれて。
かけがえのない大切な家族をくれた私の大好きな、恋人。

本当に大切で愛おしい――……私のセカイの、全て。

「なのは…私と出会ってくれて。私の隣を一緒に歩いてくれて。
 ……本当に、ありがとうね」

そのおでこに一つ、キスを落として。

緩やかに降りてきた暗闇に身を任せて
幸せで溢れかえる温かい心を胸に、やんわりと目を閉じていった。


END
----------
掲載文字数オーバーしたんでいちはち部分半分カットしました。ごめんなさい。
と言うか5本中3本いちはちとかさ。なんてありえない本を… orz

寝不足って怖いですよ(え?そっち?)
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プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

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