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【優しい煉獄 ~8話~】


少しばかり更新スピードを上げて行きたいと思います。
いや、ここで止めるのもあれかな、と。

……や、この辺りはどこで止めてもそうですね orz
すみません;

というわけでの投下です!
フェイト視点第1部がこれにて終了です。
そして相変わらず長いです; 本当にすみません;;

次からなのは視点に入りますー!


では、大丈夫!という方のみ続きからどうぞ!





ただ君の傍に、居たかった。
願いは、ただそれだけだった。


それは簡単なことだったのに。
   ひどく、簡単なことだったのに。
 

どうしてできなかったんだろう?
どうして、こうなってしまったんだろう?

どんなに泣いて叫んでも。嘆いても。


        
       もう――あの頃には、戻らない。



***【~8話~】***


しん、と。刹那、静寂に包まれた。
ただただ胸が痛くて、握りこんでいた手のひらを、よりきつく握りこむ。

「……ど、して」

掠れたなのはの声が聞こえて。

「どうして!?」

なのはが立ち上がり、その拍子に、がたん、とテーブルが揺れる。
上に乗ったカップとソーサーがぶつかり合って鈍い音を立て、中に入っていた琥珀色の液体が
勢いよくテーブルに広がって溢れて。行き場のなくなったそれが、最後には、零れた。

ぽたぽたと、床に雫が落ちていく音だけが、聞こえて。
私はそのまま、ゆっくりと瞼を開いた。

溢れそうな蒼が、揺らいで。

「……約束、したのに……」

小さな掠れる声。
でもそれは、大きく叫ばれた悲鳴のようにも聞こえた。

自分の小指に視線を向ける。

ずっと一緒だと約束して、なのはと指を絡めて。指切りをした。
嬉しかった。暖かかった。

幸せ、だった。

「……約束? なんのこと?」

         ――嘘じゃない。

 今だって、君だけを愛してる。


本当の気持ちを抱えたまま、私はそれを嘘で覆い隠して言葉を紡ぐ。
私から顔を背けず真っ直ぐに向けられた蒼が、歪んだ。

その言葉に打ちのめされたように、力なく崩れ落ちるように椅子へ座り込む。
どうして? 控えめに返された質問に答えず、私はただなのはだけを見ていた。

君が、大切だからだよ。


言葉には出さず、心の中で一言だけ。ぽつり、と。
そのまま一度だけ深く息を吸い込んで。こみ上げそうな涙をぐっと堪えた。

「……ごめん、場の雰囲気、悪くしちゃった。……私、帰るね」

腰を掛けていた椅子を引くとその足が床に擦れ、ぎ、と小さな音が鳴った。
立ち上がって、なのはから視線を外し踵を返す。

「なのはを、お願い」


いくつか歩を進め玄関から足を踏み出したところで、後ろから追いかけてくるような
忙しない足音が聞こえてきた。

「フェイト!」

肩を掴まれ強引に振り向かせられる。引きあがった細い眉。
私よりも幾分低いその肩を怒らせて、アリサはそのまま力任せに私の背をドアへと押し付けた。

衝撃と共に、幾ばくかの痛みが背を走る。
外気に晒されたひんやりと冷たいその感触が服越しに伝わってきた。

「……アンタ。本当にその子のこと、好きなの?」
「…………。」

何も答えられなかった私。
アリサは気づいていたんだろうか?

「……これから好きになるよ」
  
アリサの手をやんわりと外し、そのまま背を向ける。


「……何よ、それ。何なのよ!」

  だって、仕方ないじゃないか。


「そうやって……いつまでもぐじぐじ逃げてんじゃないわよ!!」


                逃げて、なんか…………。




部屋に戻ると着替えもそこそこに床に座り込んだ。
後数歩。ほんの数歩足を踏み出せばベッドにたどり着くけれど、そんな元気はもうなかった。
ずきずきと痛む胸を握りこむ。とにかく気分が悪かった。

胃から昇り上がった胃液が口内に広がり、ただ舌先が痺れる。
そのまま深く息を吐くと、こんこん、と控えめにドアが叩かれた。

「……フェイトちゃん、開けて?」


なのはの、声がした。
普段なら喜んで開けただろう。抱きしめてくれたなら、喜んで抱き返したろう。
少し前なら、その柔らかい唇に触れることだって出来たのに。


 ああ、馬鹿だ。

「……フェイトちゃん……どうしてなの?」
「聞いた通りだよ。好きだったから、付き合う。それだけのことだよ」


同じ想いなのに。
君と私は、そんなことさえも出来ない。


「……一緒に居ようって、……っ」


なのはは、それ以上言葉を続けなかった。
急なことに混乱して言葉が出なかったのかも知れない。

ただ一言、フェイトちゃんが好きだと。
――そう、何度も。告げられた。

「……なのは。お母さん達に聞こえちゃうよ」
「聞こえたっていい!だって、本当のことだもん! なくなったりなんかしない!」


泣きたかった。
こんなにも強く想っているのに。想ってくれているのに。


どうして、姉妹だったんだろう。

血のつながりさえなければ、君を守ると言い切れたのに。
だって知ってた。君がどれだけ家族を愛しているのか。私を姉として慕っているのか。

何一つ奪いたくない。奪いたくなんかない。
だから、ああ――どうして。

 何がしたい何ができるどうしたらいい。どうすればいい。
だれか、だれか。だれか。だれか。


 誰か。

「……君は、私の大切な”妹”だよ」



                      助ケテ。



   ◇


もう、全てが、遅かった。
理解したときには。全てが遅かったんだ。

……本当に。遅かったんだろうか?
 
 ◇

私はなのはを避け続けた。
家でもすれ違うことは少なくなり、食事の時間は顔さえも見ることはなくなった。

なのはは、笑わなくなった。
私も、笑えなくなった。


付き合い始めたあの子との会話もどこか虚ろで、よく不安そうな顔をされる。
その度に「ごめん」と謝るのが申し訳なく、でも私の心の中からなのはが消えることはなかった。
むしろ、より一層強い想い胸に宿して。

どうしてこうなってしまったんだろう。
ぽっかりと大きく開いた穴は私の心を侵食し、もうどこが痛むのか分からなかった。
過ぎていく日常をむさぼるように過ごし、朝起きて、夜になる。その繰り返し。

ひどくつまらない日々だった。
鮮やかさは陰を潜め、ただ白と黒との背景の中ひとり歩いていく。

こうなることなんて、初めから分かっていたのに。
――なのはの存在はそれほどまでに私の中で大きくて。

「…………なのは」

名前を呼べば更なる痛みに襲われるのに、
それでも私はそれを止めることはできなくて。



今までで一番長く感じられた春休みの終わり、出かけていた私は家に帰ると
玄関に見慣れない靴が一足あった。

誰だろう? 母さんのお客さんだろうか?
……いや、母さん達は今日はお店だ。それはないだろう。

まぁ、いいか。私には関係ない。
ぼんやりとした思考で階段を上がると、小さく声が聞こえてきた。
少し耳を澄ませると。その先にはなのはの部屋があった。

聞き覚えのある、特徴のある言葉遣い。
聞くつもりはまったくなかった。そう思っても、足は自然とそちらへ向かう。

「……なのはちゃん、」
「にゃはは……大丈夫だよ、もう大丈夫!」

嘘だ。そんなのすぐに分かってしまう。
それほどまでにか細く、いつものなのはらしくない声だった。

それをさせたのは、私なのに。

「……なのはちゃん、」

幾ばくかの沈黙の後。ぎ、と気配が動いて。

「……泣きたいときは、泣いてええんよ?」

優しいはやての声がして。
誤魔化すようになのはが笑って。

ややあって、少しだけ篭ったなのはの泣き声が聴こえ始めて。

「……っ、う……あ、あぁ……うあ……ぁ、っ」


それは、ずっとずっと、静かな部屋に響いていた。


「凄く、凄く……大好き、だった、のにっ」


     胸が、引き裂かれそうだった。


傷つけたくないのに、当の私が傷つけた。
そんなことしたかった訳じゃないのに。

本当に大切で、だから……


 だから?


やがて泣き声は止まり。ぎ、と小さくベッドが軋む音がした。
聞き覚えのある音。体重がかかり、軋むソファのスプリングの音に酷く似ていて。

 頭が真っ白になった。


だめだ、止めて……止めて!!


脳裏に浮かんだ映像を、必死で振り払って。
涙が溢れて喉が詰まった。上手く呼吸ができない。声が出ない。

「……だ、め……駄目だ!!」




 止めて!





震える手でドアを開こうとしたところで、急にドアが開いた。
少しだけ身を離すと、視界に驚いたようなはやての顔が映りこんだ。

「……フェイト、ちゃん?」

その声を遮り、ドアから部屋の中へと視線を向ける。
不器用に布団がかかり、泣き疲れたのか寝入ったなのはの姿。
ベッドに寝かせたはいいものの、寝入ったなのはの身体を上手くどかせられなかったのか
悪戦苦闘して毛布が掛けられたような痕跡が伺えた。

何もなかったことにほっとして力を抜くと、その肩をそっと押された。
なのはちゃんが起きてしまうから、そう耳元で告げられて。足をずらすと静かにドアが閉められる。

「……聞いてたんか」

静かなはやての声。

「聞いての通り、なのはちゃんはボロボロや。フェイトちゃんかてそうかも知れん。」
「………………」

言葉が詰まって。俯く。

「詳しい事情なんて聞いとらんけどね。だけど、……なのはちゃん、逃げんかったのに」

ずきりと、胸が、抉られた。
         私は、――逃げ、た。

大切だからと言い訳して、傷つけるのが怖くて。
自分が悪いのに。それでも、その手を離し切れずに、今もバカみたいに。

「その道で決めたんなら、私はとやかく言わん。けどな……」

ぐっと。青い瞳が向けられる。
どこかなのはを思わせるその色と輝きは、とても真っ直ぐだった。

「なのはちゃんを傷つけたら、フェイトちゃんだって許さんよ」


続けられた言葉は、
かつて、私がなのはへ思っていたことで。

私の役目だった、はずだった。


「私はいつだって、         」

瞼を伏せて。そっと息を吐いて。
そのまま踵を返すはやてに、私はなにも言えなくて。



「皆……一体どうしろって言うの……私に……」

そんなの自分だって、分かってるくせに。
嘘を吐いて、気持ちを覆い隠して。

このままじゃ、私は――、

でも。

好きなんて、言う資格、私にはない。

そんなことをふと考えて、ああ、資格なんて本当に必要なのかと思った。
こんなのだめだって勝手に決め付けて、突き放して。

「あ、ぁ……馬鹿だ、私……」


人を愛するのに、そんなこと、必要なかったんだ。
だけど、気づくのには――もう遅すぎた。道を、外しすぎてしまった。

たくさん、傷つけてしまった。


「あ、ぁあ……あああああぁぁぁ…………あああああああ!」



愚か者の咆哮が。
痛いくらい真っ青なその空に吸い込まれて、誰にも伝われずに。


ひっそりと、消えた。




やがて春が終わり、私達は進級した。
私はすずかと一緒のクラスとなり、なのはは、アリサとはやてと一緒になった。
私達のクラス同士は離れていて、体育でも合同で授業を受けるということはなくなった。
廊下でもすれ違うことは珍しく家でもなのはは意図的に私を避けるようになっていた。

おはよう、おやすみ。
そんな事務的な会話と、必要のない血縁という関係だけが今のなのはと私の絆だった。
そして、いつしかなのはは、私のことをフェイトちゃんと呼ぶことはなくなり、
お姉ちゃんと呼ぶようになって。

痛みに疼く胸と共に、その変化を受け取って。


それにも慣れた、夏の終わり。
二人と同じクラスのアリサの口から、ふと。

はやてとなのはが付き合いだしたことを、聞かされた。




     その時に、もう。
            完全に。全てが、戻らないことを知った。

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う…っ! やばい! 涙腺がやばいぃぃ!
唇かんでないと、ワナワナしちゃうよぉ…。
すみません…ちょっといつもの調子では、コメできません…悔しい!orz

このこのぉぉぉ!汐薙さんのアフォォォォォォ・゚・(ノ▽`)・゚・
ま、負けないんだからねぇぇぇぇ!

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あわわわわ、今回もかなり泣きそうになりました(;◇;)
というか涙が目から……

あぁー、辛いって分かってるのに読んでしまい切ない気持ちになって次の更新までドキドキと過ごす日々が(笑)
汐薙さん、最高です!!

はやてとなのはが付き合いだして、フェイトは更にボロボロになりそうです。
かなり空回ってるフェイトも、そしてなのはも幸せになって欲しいですーー!!


でもやっぱり、こういうモヤモヤするSS好きです(*゜∀゜)
どんなに痛い内容でも最後に幸せになってくれればドントコイ、ですよww



参加した時は、是非汐薙さんさえよろしければ挨拶させてください☆笑

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おつかれさまです。。。。
汐薙さまはこの季節に風邪などひいてないでしょうか・・・?

もしかしたら、存在が忘れられている気がするっあかいひとです。。。。 
仕事が片付いたので久々に来てみましたw(今度はいつ来れるやら・・・)

ときどき、分かっているのに逆境に挑みたくなるものです。
フェイトさんはきっと分かっているのだとおもいます...。
しかし、周囲の(おもにっなのはさん)方々にはそのように受け取られないものですっ・・・。

なにげに苦しくなるようなssに惹かれてしまうwww

長文失礼しましたっ

>TOMさん

ほあああ、ハチさんと違う意味でドキドキさせてしまってすみません;
そしてまさかの、TOMさんMになる発言!! ∑(@△@)
ここここんな人間のためになっちゃだめなんだらかね!ちょ、ドキドキして眠れなくなりs(ry
すみません、落ち着きます;

堕ちていくのはこの辺が最高潮なので、後は徐々に昇っていく……かも?(ぉ
あああ、ありがとうございます!続きもがんばりますのでお付き合いいただければ光栄です(土下座



>サンぽんさん

いや、そう言っていただけると書き手としては光栄です、……って!
アフォォォォォォって!そんな! ∑(つ□T) いつの間に勝負にwww
わわわわ、私だって負けないんだからね!(ちょ



>NoNameさん

おお!はやなの派様が!www
いやすみません、お察しの通りです……ね(土下座
はやなのの心行くまでのイチャベタは風花の方になると思われ、ま、す(吐血
ヘタレなフェイトさんも大好きと言っていただけて安心致しました;;
おあああ……続きが楽しみというお言葉、純粋に嬉しいです。本当にありがとうございます!
短いかも知れませんがその分思いっきり愛をこめますので、どうか宜しくお願い致します;;



>もっけ さん

目から汁ですと!!!???? おああああ、すすすすみません!∑(TΔT;)大切な水分が!!
そうですね……ここまで来ちゃうと普通は修復不可能ですよね……は、早くなんとかしなければ;;
本当に早くなのはさんを笑顔に戻して……フェイトさん…… orz
多分フェイトさんも頑張ってくれると信じてます!ええ!頑張ります!!



>杏香さん

おああ、それほどまでに感情を移入してくださり本当にありがとうございます(土下座
いやもう、もったいない限りのお言葉です。光栄です(><;)
フェイトさんもボロボロになって……行き、ます、ね。確実に;; やばそうです;;
早く二人には幸せになってもらいたいものですが……なかなか……;;

こういうSSが好きだといってくださって嬉しいですww
精一杯がんばりますので、どうかお付き合いの程、宜しくお願い致します;;

ご挨拶の方は、是非させて頂きたく……!!
機会がございましたら、どうか宜しくお願い致しますwww



>namelessさん

ほごああああ、すすすすすみません;
いやもう本当に、書きながらグロッキーになってます。分かって下さいますか、namelessさん!
そうです、2人の方がきっと辛いんだ!主に書き手の汐薙のせいで!(お前か

いつもnamelessさんのコメントには癒しと勇気を頂いています。本当にありがとうございます。
リアルに、名前を呼んで!な気分でいっぱいです(自重  すみません、暴走しすぎましたw
て、ちょww そこですずか嬢とか!へへへ変なプレッシャーをかけてはいけません(((((((つ□T)コソコソ
ありがとうございます!最後まで頑張る気満々ですので、見放さずに見守っていただけると幸いです(土下座



>あかいひと さん

うああああお久しぶりですーーーーー!
大丈夫ですよー!ぴんぴんしてます!ほら、バカは風邪引かないっていいますかr(ry
あかいひとさんは大丈夫ですか? 風邪、引かないようになさってくださいね?

いやもう、お久しぶりに名前拝見できてほっとしました。
わ、忘れるわけないんだからね!更新欄を開くごとにどうしてるかなって思ってるんだからね!(自重
いやすみませんw しかし相変わらずお仕事お忙しいご様子。ほんとに死なないで下さいね(つ□T)

フェイトさんもわかってるとは思うのですが……なかなか素直になってくれませんね;
はやく気づいて、といった感じです;
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
一報を頂けると管理人が喜びますw

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