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【バンソウコウ】


ひさしぶりの短編ですね。フェイト×なのはです。
いやー、今日も凄い雨降ってますねーということでできたSS。

例によって例のごとく最後の方は何が言いたかったのか
自分でもわからなくなったという……。 ごああああああああ orz

しかし……もう6月も終わってしまうのですね……(トオイメ



しとしとと、雨が降り注ぐ。

視線を向けたその先には、白いカーテン。
そのカーテンから覗き見える空は、未だ深い色をしていた。

真っ暗なその空は、雨雲が全てを覆い隠してしまい、
私が見たかったはずの月を見ることが出来なかった。

――雨が、降る。

そのおかげか、いつもより、しん、と静まり返った世界。
外からは何も聞こえない。風が木の葉を揺らす音すらも。

まるで、降り止まない雨が、外界と部屋の中を分けるカーテンのようだった。


静寂が、耳に痛い。
向けていた意識を、外から部屋の中へと移す。

かちかちと規則正しく時を刻み込む、時計の針の音。
緩やかな呼吸音。シーツが肌に擦れる小さな音。

まるっきり静寂でなかったことに安堵し、ため息を一つ。
一人きりの世界ではないと分かり、少しだけ心細かった不安が解けていくのを感じた。

世界には、この部屋には。――私一人だけなんかじゃ、ないのに。
一体どうしてそんなことを考えてしまったんだろう?

また、ため息を一つ。

今何時だろう? そう思って視線を向けても、何も見えない。電気をつけてしまおうか? 
ああ、でも……それだと、隣にいる彼女を起こしてしまうかも知れない。

耳元を掠める息は穏やかで、彼女がまだ深い眠りの淵にいることが伺い知れた。
せっかく取れたお休みなのだから、ゆっくりと寝かせてあげたい。

私にとっても久しぶりのお休みなのだから、疲れを取るために寝なくてはならない。
――それは分かっているのに、思うように睡魔はやってこなかった。

「……っ、」

少し寝返りを打ったところで、ずきん、と鈍い痛みが走った。
その痛みの元、左腕をゆっくりと指先で何度かなぞる。

そこには、まだ少しだけうっすらと残る、ひきつれた痕。
――退院してからもう半年が経つというのに、痛む傷痕。

「ああ、そっか……」

屋根を叩く軽い音。水溜りをかきわけて走る、車のタイヤの音。

――雨、だからだ。

よく、気候が崩れるときには古傷が痛むというけれど、
どうやら私にもそれが当てはまるらしい。

「…………んっ、」

つい先ほどまでは平気だったのに、ずきずきと痛む腕。
痛みと共に思い出される、目を焼く銀世界と。深い赤。
もう二度と空を飛べなくなると言われた瞬間の、――絶望。

今はもう、歩くことも出来、空も飛べるようになったというのに。
ふと、――こうした瞬間に思い出される、その光景。


「こんなことじゃ……だめなのに」

痛む左腕を、ぎゅっと握り締める。
痛みなんて感じなくなるくらいに。気にならなくなるくらいに。

――痛むのは傷痕ではなく、掴んだ手のひらの、力のせいなのだと。

そう、思えるように。


「……だめ、なのに」

そんな弱気な自分に、思わず苦笑を漏らす。


不屈のエース・オブ・エース。
みんなの期待を裏切らないためにも、私は、こんなことじゃ、だめなのに。
こんなことくらい跳ね飛ばして。――いつも笑っていなければならないのに。

「……っ」


ずきん、と。更に痛む腕。

揺らいでしまった気持ちを立て直そうと、顔を洗いにいこうとして。
腕枕をしてくれていた彼女の右手を潰さないように、少し頭を浮かせる。

身じろぎをして、その腕の中を抜け出した。

少しだけひんやりとした外気が、裸の肩を撫でる。
フェイトちゃんの身体が冷えないように、自分にかかっていたシーツの分を、
その肩口まで引き上げた。

「ん、……なの、は?」

ふと聞こえてきた、小さな声。
真っ暗な部屋の中で、ゆらゆらと揺らめく深い赤だけが、光を放つ。

「……ごめんね、起こしちゃったかな?」

溢れそうになっていた涙を、無理やり指で拭う。
フェイトちゃんに心配をかけさせないように、と笑顔を作ると、
私の顔を覗き込んでいたフェイトちゃんは、眉を引き下げた。

「痕……、痛むの?」

柔らかな声。何も言っていないのに、核心に触れるその問いかけ。
そのことに――、どくん、と。大きく心臓が跳ねた。

「……ううん、そんなんじゃないよ?ちょっと眠れなかったの」

でも、もう寝よっかな?と、笑って。
フェイトちゃんも、もう寝よう?と手を差し出す。
すると、その手とは反対の手を取られた。

鈍く痛む、左腕。


恐る恐るといった感じに触れられる。その指先がひきつれた痕をなぞろうとした瞬間、
私は思わずその腕を自分の背中に回し、フェイトちゃんに見えないように隠した。

「……なのは」

寝ていた身体が起こされる。
ずれたシーツから覗き見えた、その肌の白さと綺麗さに思わず息を呑んでいると、
伸ばされる右手に抱き寄せられて。もう一度、触れられる。

確かめるように、何度も。

「……なんでも一人でかかえこもうとしないで。なのは」

強く抱き寄せられて。指先に変わり、唇が寄せられた。
――ひきつれた傷口が、柔らかな唇に啄ばまれる。

「フェイトちゃ、……だめっ!」
「……どうして?」

フェイトちゃんの瞳は、優しかった。

未だ視界に入る、フェイトちゃんの滑らかな肌。
それに対して、うっすらと未だ傷が残っている、私の肌。

綺麗な彼女に、――傷だらけの肌なんて、見て欲しくなかった。
そう、思われて欲しくなかった。

いつでも彼女には、綺麗な部分だけを見ていて欲しかったから。


言い噤んだ私に、フェイトちゃんが目元をゆがめる。
ややあって、もう一度。今度はゆっくりと唇が寄せられた。

「……真っ暗な時じゃないと、なのはが触れさせてくれない理由」
「――……っ!」

私、ずっと前から知ってたよ、と。悲しそうなフェイトちゃんの笑顔。
……私になんか、見せたくない?そう紡がれて。

「違うの! そうじゃ…なく、て」
「……うん。」

「そう……じゃ、なくて」

言いよどむ私に、フェイトちゃんはただ困ったように笑って。
責め立てもせず、先を促すこともせず。

ただ何度も、頭を撫でてくれた。

「……だって、肌……綺麗じゃ、ないから。明るいところだと、その、」

抱きしめられた腕に、力がこもる。
耳元で、なのは、と。小さな声で名前を呼ばれた。

「……ん」
「…っ、ふぁ…むぅ」

柔らかく、唇が押し当てられる。
その感触を確かめて。ゆるゆると唇を吸い、歯を立てられた。
甘く何度も噛まれる。酸素を求めて薄く唇を開いた瞬間に、舌が割り入れられた。

ぬるり、とした感触に口内を弄られ、甘い痺れが走る。
びりびりと身体を巡るそれが、私の肌に焼きついていたフェイトちゃんの
熱を引き出していく。

「……んぁ、ふ…っ」

互いを繋ぐ糸を舐め取ったその唇が、私の肌を滑り降りていく。
くらくらと霞む意識の下、背中に少しだけ冷たいシーツの感触を感じた。
でも、それを忘れさせるかのように、次々と湧き上がる熱。
堪えるようにぎゅっとシーツを掴む。

いつの間にか雨雲は消え、月が辺りを照らし出していた。
濃い影に覆われていた室内なのに、今は目を凝らさなくても
互いの表情を、はっきりと読み取ることができた。

四角く切り取られた窓の形の光が、暗い世界からベッドを照らし出す。
私に覆いかぶさったままのフェイトちゃんは、嬉しそうに笑った。

「すごく綺麗だよ、なのは」

その表情が、照らし出される肌が、月明かりを弾く金色の髪が。
彼女のなにもかもが、すごく綺麗で。

「フェイトちゃんのほうが、……綺麗だもん」

私に覆いかぶさったままのフェイトちゃんに向かい、右手を伸ばす。
肩口から流れた髪の毛を耳にかけてあげると、フェイトちゃんが更に笑みを深くする。

「なのはの方が、ずっとずっと綺麗だ」

顔中に、キスの雨が降る。

唇が肌に触れる音、そして離れる音。それが、やけに大きく聞こえて。
どきどきと拍動を刻み込むお互いの心臓音も、いつもよりも大きい。

「心も。身体も。――私にとって、君が世界で一番綺麗だよ」
「……フェイトちゃん、恥ずかしいよ……」

顔中に熱が集まって。
真っ赤になってしまったであろう頬に、キスを一つ落とされる。


「だから、私にだけは、全部。――もっとよく見せて?」
「――っ、……ん」

肌を、なでられる。傷痕に、触れられる。
少し傷が残る体を、心を。

――柔らかく、抱きしめられる。


「本当に凄く。凄く綺麗だよ、なのは」


あれほど強かった腕の痛みは、もう分からなかった。

あの瞬間の恐怖も。目を焼く白銀も。鮮血の赤も。
こびりつく様に思考を染めていたそれらは、もうどこにもなかった。

――ただそれよりも、彼女が与えてくれる体温に疼いて。

胸の奥が、焦がされる。


「私が、君の隣にいることを忘れないで。なのは」

彼女を抱きしめて。抱きしめられて。
その熱に――今まで誰にも気づかれないように、と。
堪えていた思いが、涙と混じって。


溢れて、零れた。


END.
---------------
天気が悪い日は、結構傷が痛んだりしますよね。
あとはちょっと気持ちが不安定になっちゃったりとか。

フェイトさんの辞書に「なのは=エース・オブ・エース」という言葉はありません。
あくまで「なのは=なのは」であり、それ以上でもそれ以下でもないのです。

まぁ、あれです。
フェイトさんは、どんななのはさんでも愛してるんです、ということです!(ぉ
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非公開コメント

何という素敵な描写なんでしょう感動すら覚えます♪
待っていましたよ~原稿の方が大変みたいで更新
されない日々は寂しかったです…なのはさんには
フェイトさんがいないとダメですね(/▽/)
もう久しぶりにドキドキしちゃいました♪うん最高!
素晴らしいssをありがとうでした!ご馳走様です~
これからも応援しています♪

想いで包んで

あの事件は、なのはにとっては永遠の傷……
だからこそ、そんななのはの為に心ごと包み込んだフェイトの想い……・
暗闇に逃げるなのはの為に、精一杯の愛情を見せるフェイトさんはやっぱりなのはの最良の相手だと思います♪
ご多忙の中、更新お疲れ様です。頑張ってくださいね♪
ではでは

更新お疲れ様です。
好きな人には醜い部分を見せたくない乙女ななのはさんはいいですね~。
それを包み込むフェイトさんも大好きですがっ。
今後もまったりと頑張って下さい。

こんばんは~おひさしぶりです~仕事合間に癒されに来ますたっ~。。。

 たとえどんな障害があったってその人が受け入れて、愛してしまえるのであれば、悲しいだけの傷跡じゃないのですなあ・・・・。
   
(年齢を勝手に17才前後に脳内設定しますったっ!本当にご馳走様でしたっ!!!

>炎樹さん

あああ!温かいお言葉、本当に ありがとうございます!!
更新少なくてすみません……; なるべく頑張りますのでっ(><)ノ

ええ、もうなのはさんとフェイトさんは、2人で1人ですよね!
こちらこそ読んで頂き、本当にありがとうございました!!



>うにゃ!! さん

ありがとうございますww
なのはさんにとってやはりあの事故は一生ものな位だと思うんです。
体の傷は治りますが心の傷はなかなか治りにくいのかな、と。
嬉しいお言葉、本当にありがとうございました!

はい!頑張ります(><)ノ



> emin さん

読んで頂きありがとうございますww
やはりいくら強いといえども女の子。 気になると思いまして……。
特に好きな人の前では顕著にその感情が、うん。出るかな、と。
そう言って頂けると嬉しいですw 本当にありがとうございました!



>あかいひとさん

こんばんはー!おひさしぶりっす!!
お仕事ご無理なされていませんか? 大丈夫ですか?

うんうん。完全に治らないにしても、薄れることは出来ると思うのです。
膿まないように。痛まないようにその傷を包み込む、そんなフェイトさん。
まさしくバンソウコウだなぁ、と。(どんな例え方だ
17歳とか!いいですよね!!ww
いちばん色々といい時期だと思うのです!!(大きな声で

こちらこそ読んで頂きありがとうございました!
WEB拍手
感想やリクエストなど頂けたら嬉しいですw  返信不要の方は頭に×をお願いします
プロフィール

汐薙

Author:汐薙
初めまして、汐薙と申します。
魔法少女リリカルなのはで活動中。

主な取り扱いカップリングは
フェイト×なのは
はやて×なのは です。

リンクフリーですので、貼るも剥がすもご自由にどうぞw
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